初めてのゴールデンだったセナは、とにかく過保護に育てていました。中でも、「それ犬にやらないでしょ」と人に言われたのが、ごはんの後に口を拭いてあげること。ごはんはもちろん水を飲んでも、口の周りをきれいに拭き取ることが日課だったのです。
ところが、アンディが子犬の頃は手がかかるため、セナのごちそうさまのお口拭き拭きをついつい忘れてしまっていたのです。そんなある日、セナは口を拭いてもらえないことがわかったのか、自分で絨毯やソファで口を吹き始めたセナ。口をずずずっと布にこすりつけて拭くんです。
はじめは、何をやっているのかわからなかったその行動も、そのうち口を拭いているのだと気がつき、それ以来「ごちそうさまのダンス」と呼ぶようになりました。やがて、そのダンスは進化し、一人一本背負いの状態に。最後の最後まで、このごちそうさまのダンスを続けていたセナ。残念ながら、アンディにもディロンにもこのダンスは継承されていません。
セナは子犬の頃から、アイコンタクトが上手なコでした。目を見ていれば何でもしてもらえる、多分そう学習したのでしょう。何かをして欲しい時には、ジッと人の目を見つめるのがセナの癖。雨が降っている日のお散歩では、「僕に傘さしてください」と雨の中立ち止まって目をジッと見ます。そこにあるぬいぐるみを取って欲しいときも、ぬいぐるみと私の目をジッと見つめ、やって欲しいことを伝えます。そう、セナにとって、飼い主は召使いだったのです。
セナを見て、セナの真似をして育ったアンディ。セナは、誰にでも愛想よく優しいゴールデンらしさを全身で表す性格の持ち主ですが、一方アンディは、撫でようとするとその手を避けるタイプでした。「アンディにはさわれない!」よくそう言われたものです。
そんなアンディも、自己主張する時があります。それが、お手。普通は、おやつをもらう時の芸の一つとしてお手をしますが、アンディの場合のお手は「こんにちは」でした。
「触られるのは嫌だけれど、ご挨拶はするよ」まるでアンディはそう言っているようでした。小さな子供から工事現場の案内係にまで、誰彼構わずお手をするアンディ。お手はするけれど、おかわりはしない、ことがアンディのこだわり。そして、おやつももらわない。ちょっと人見知りのアンディが、自分で考えた癖がお手だったのかもしれません。
セナのごちそうさまのダンスを見て育ったアンディ。ある日、海で濡れた体を砂浜にこすりつけながらごちそうさまのダンスをしているではないですか。
実は、アンディはとても神経質な性格。濡れた体をすぐに拭いてもらえないと、砂浜に顔から突っ込み、ゴロスリをします。
ゴロスリはゴールデンあるあるの行動ですが、普通は匂い付のゴロスリ。ところが、アンディのそれは体拭き拭きのゴロスリなのです。砂で濡れた体を拭き取って、ゴロスリは完了です。海で遊んだ後は砂男の完成でした。
血縁関係だったセナとアンディ。似ていて当然のはずが、アンディは正統派ゴールデンのセナとは正反対の性格だったのです。ゴールデンの毛皮を着てラブラドールとよく言われたものです。
そんなアンディにとっての弟分がディロン。ディロンとアンディに血縁関係はありません。ところが、面白いことにディロンの癖はセナにそっくり。
その典型的な癖が、なんでも枕。セナはぬいぐるみや人の膝が好きでしたが、ディロンはそれだけではなく、椅子の脚、階段、たたんであるタオル、少しでも高さがあるものは全て枕にします。これは、アンディにはなかった癖。会ったことのないセナに似ているのも不思議な話です。
美味しい?と聞くと尻尾を振る、これはごく当たり前の犬の行動です。ディロンの場合は、何かをして欲しい時に尻尾を振ります。尻尾が床を叩く音がすると、ディロンが読んでいる時。はいはい、なんでしょうか?と思わす話しかけてしまう飼い主。美味しいときはもちろん、嬉しいとき、かまって欲しいとき、何かをして欲しいときに必ず尻尾を振るディロン。
そして、尻尾の振り過ぎからコールドテール症候群を発症。最近では、振っている尻尾を手で押さえ、振り過ぎさせないようにしているのです。皆さんも、愛犬の尻尾の振り過ぎには注意してあげてくださいね。
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