歳を重ねた愛犬は、少しずつ今までと違う行動をするようになりました。シニア犬と暮らしている方は、経験をしたことがあるのではないでしょうか。
動物病院での出来事や、自宅での新しい習慣など、ちょっとだけ頑固になった愛犬のお話です。
今日は動物病院で、診察と一緒に爪を切ってもらう日です。
先生が爪切りの準備を始めると、それを察知して腹ばいになり「ツチノコ」のようになる愛犬。
先生がおなかの下に隠している足をそっと出そうとすると「嫌です」と必死に隠す愛犬。
ちょっと引っ張って足が出てきても、すぐにおなかの下に隠します。
依然として「ツチノコ」を貫き通す愛犬。先生と愛犬のモグラたたきのようなやり取りを見ているうちに、不謹慎ながら微笑ましくなってくる私。
今までは、観念して爪切りをしていたのですが、最近は「嫌なことは絶対に嫌です」と頑張るようになりました。ですが、最後には看護師さんが登場し、愛犬は抱きかかえられ、敢え無く爪切りへの抵抗「ツチノコ作戦」は終局を迎えるのでした。
背後から聞こえる「ふぉ」という鳴き声。どうやら愛犬が私を呼んでいるようです。
振り向くと、愛犬がいつも食事をしている場所に待機しています。
時計を見ると昼の11時。朝の9時頃、朝食を食べたはずなのですが「ごはんの時間です」とでも言いたげにこちらを見ている愛犬。
「ご飯もおやつもまだだよ」と愛犬に伝えると「そうですよね…」とでも言いたげに、しぶしぶといつもいる場所へ戻っていきます。
そして、10分もしないうちに「ふぉ」という鳴き声。楽しそうな顔をして、またご飯を置いている場所に待機している愛犬。
「食欲があることはいいことかな」などと言い訳をつぶやきながら、愛犬に少しおやつをあげます。愛犬のかわいらしいしぐさと「ふぉ」という呼び声、待機している姿にいつも負けてしまうのです。
「ふぉふぉ」愛犬の時報のはじまりです。愛犬は0時になると、布団で一緒に寝ようと私を誘うようになりました。
ですが、0時に布団に入り眠ることは、今のライフスタイルでは難しいのが現実です。
「もう少しで布団に行くから」と愛犬をなだめると「ふぉふぉ」から「わふっわっふ」と私を呼ぶ声がどんどん大きくなり、0時アピールがさらに続きます。
そして最後には「わんわん!」と吠え始めてしまいます。
これはもうだめだと思い、愛犬を連れて布団へ。愛犬が寝たことを確認して、そっと起きて本を読んだり、残っている作業をしたりします。
そして、私が布団にいないことに気づいた愛犬は、また吠えはじめます。
布団が好きな愛犬。一緒に寝ようと誘う愛犬。明石の時計台並みの正確さで0時を知らせる愛犬。これを解決する方法は早寝早起き、これしかないのかなと思っています。
「犬も歳を重ねると頑固になるからね。」動物病院で先生がおっしゃった印象的なひと言でした。
頑固な愛犬。一生懸命に自己主張をする愛犬。歳を重ねた愛犬は、今まで我慢してきたことを、素直に表現できるようになったのではないかと思っています。
ほんとうは0時になったら一緒に布団で眠りたかった、爪を切るときも必死に我慢をしていた、おやつもいっぱいほしかった、そう考えると切なくなります。
今までたくさん我慢をしてきた愛犬。この先もっと頑固になり、わがままになるかもしれません。ですが、ちょっと頑固でシニアな愛犬は、私にとってかけがえのない大切なたいせつなパートナーであることに、これから先も変わりはないのです。
只野 アキ/ドッグライター
犬の素晴らしさを皆様にお伝えし、犬を手放さない社会の実現を目指すドッグライターです。
家庭犬ドッグトレーナーとして、トレーニングやイベント運営を経験。愛犬の病気をきっかけにトレーナー業は休止し、現在はドッグライターとして活躍中。
趣味は犬とたわむれること。愛犬との生活が豊かになる情報や、皆様のこころがほんのりと温かくなるような記事をお届けします。
「連載|シニアの愛チワワ」記事一覧