
バイカラー(bicolor)は、英語で“2色”という意味です。ちなみに、トライカラー(tricolor)は3色のことを指します。動物の毛色の表現としてもこの言葉が使われていますが、実は犬よりも猫の方が一般的に使われている言葉なのです。
犬の場合、2色の毛色のパターンのことをバイカラーと呼びます。どんな色の組み合わせでも2色のことをバイカラーと呼ぶときから色やパターンがある程度規定されている場合まで、バイカラーはさまざまな場面で使われています。ここでは、ある程度規定されたバイカラーについて解説します。
結論から言うと、バイカラーが純血種として認められる条件という犬種はありません。あくまで、バイカラーでも認められるという扱いです。
日本で純粋犬種の血統書を発行している団体JKC(ジャパンケネルクラブ)のHPで、バイカラーと入れて検索してみると、「イングリッシュ・コッカー・スパニエル」と「スパニッシュ・ウォーター・ドッグ」がヒットしますが、いずれの犬種においてもバイカラーが純血種の条件にはなっていません。
またアメリカの同様の団体であるAKC(アメリカンケネルクラブ)においても、バイカラーでも可とされているのです。
どんな毛色でも本来は2色であればバイカラーですが、最近では白がベースとなる2色の毛色のことをバイカラーと呼ぶケースが多くなっています。特にケンネルクラブによって色のパターンや柄が決められているわけではありませんが、同じバイカラーでもその呼び方はさまざまです。
例えば、ダルメシアンのように白ベースに黒い班点が入っている場合は「スポット」、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルのバイカラーは「ブレンハイム」、基調色が黒で茶褐色が入ったものを「ブラック&タン」と呼ぶなど、バイカラーの呼び方も細分化されてきているのが現状です。
そのためバイカラーは固有名詞というよりも、一般名詞的な毛色パターンの表現と捕らえた方がいいのかもしれません。
たとえ純血種の条件でなくても、また明確に定義されていなくても、バイカラーがトレードマークであったり、ポピュラーとなっている犬種は多く存在します。ここでは、主流である白をベースとしたバイカラーの犬種をご紹介します。
明るくて友好的、攻撃性も神経質な傾向も少なく、小型の家庭犬として日本でも高い人気を誇るイギリス原産の犬種です。ホワイトのベースにチェスナット(栗色)の班が分布しているブレンハイムと呼ばれる鮮やかなバイカラーが特徴です。
イギリス原産の牧羊犬の中で最も作業能力が高いとされる犬種がボーダー・コリーです。鋭敏で注意深く、責任感が強い中型犬で、訓練性にも優れています。その高い運動能力と聡明さに加え、魅力的なアーモンドアイがトレードマークで、家庭犬として日本でも人気があります。ロングコートで白黒のバイカラーが一般的ですが、レッド、セーブル、ブルーなどさまざまな毛色とパターンがあります。
その名の通りアメリカ・ボストン原産で、アメリカ原産としては三番目に古い犬種です。快活で活動的な性質で、人には優しく、理解力、決断力、耐久力を備えています。コンパクトな体格で、つぶれたような頭部と尻尾が短いブサカワ犬種として人気があります。色は白がベースのバイカラーで、シール(明るい時は赤みを帯びた黒)またはブラックの組み合わせが好ましいとさrています。なお、ブリンドルはバイカラーとして認められていません。
その名の通りスプリングの効いた飛び出しで獲物を追うことを得意とする鳥猟犬がイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルです。イギリス原産で、スポーティングドッグとしても古い歴史を持つ犬種として知られています。明るく友好的な性格で、運動能力に優れていることが特徴です。レバー&ホワイト、ブラック&ホワイトのバイカラーがトレードマークとなっている犬種でもあります。
ジョン・ラッセル牧師により1800年代にイングランドで誕生したジャック・ラッセル・テリア。テリア系らしく活発で機敏で、大胆かつ沈着冷静なので作業犬として適した能力を備えています。特に、穴に入りこむことを得意としている犬種です。性格は友好的ですが、テリア気質も備えていることが特徴です。毛色は白がベースで、黒またはタンのバイカラーです。
バイカラーの意味を最近主流となっている白をベースとしたものに限定すると、身近でポピュラーな犬種が多いことに気がつきます。バイカラーは2頭と同じパターンがないことが大きな特徴です。世界にうちの子だけ、そんな愛らしさもバイカラーの持つ魅力です。また、白とその他の色の組み合わせのバイカラーは、ぬいぐるみのようにチャーミングに見えることも人気の秘密かもしれません。
西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級
ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。