
犬がブルブルをする理由は、大きく分けて4つです。次のようなものが挙げられます。
犬は身体が濡れたままになっていると、体温調整が上手くできなくなってしまいます。人のように手を使ってタオルで吹くわけにはいかないので、犬自身で身体をブルブルと震わせることで、水をより早くはじき出そうとします。耳に水が入ってしまったときも、頭をブルブル振ると遠心力で水を外に出すことができます。
外耳炎になったり、耳に寄生虫がいることで頭をブルブルする場合もあります。犬は耳の中が痒くても、ピンポイントで痒い場所を掻くことができないので、耳が痒いと頭を激しく振ったり、後足で耳の後ろや首を掻くようになります。
飼い主さんに叱られたり、他の犬に吠えられたりして緊張状態になると、犬は自分を落ち着かせるために「カーミングシグナル」と呼ばれる仕草をすることがあります。敵意がないときに相手にお腹を見せたり、ストレスを感じたときにあくびをする動作をカーミングシグナルと言いますが、実はリラックスするために身体をブルブルするカーミングシグナルを見せることもあります。
犬の耳に入った水を出したいときなど、もし犬自身でブルブルしてほしいのにしてくれない場合は、耳の中にフッと息を吹きかけてみましょう。多くの子はこの方法で頭をブルブルと振ります。また、いつもは身体をブルブルするのにしなくなった場合には、次のような理由が考えられます。
何らの原因で身体に痛みを感じており、身体を震わせると余計に痛みが強くなるような場合にはブルブルしなくなります。運動したがらなくなったり、抱き上げるとキャンと悲鳴をあげるような場合には椎間板ヘルニアの疑いがあります。
高齢になると関節がこわばり、身体を支えるための筋肉も衰えてきます。また、ブルブルするには体力も必要なので、高齢犬はシャンプーした後もぼーっと立ったままでいたり、座ってしまうことがあります。
外耳炎などで頭をブルブルと振る動作が続いたり、頭の振り方が激しいと「耳血腫」という病気に繋がることがあります。耳の、目に見える部分を耳介と言いますが、この耳介は皮膚と耳介軟膏からできています。耳介内にある血管が刺激を受けると破れることがあり、血管から漏れ出た血液が皮膚と耳介軟膏の間に溜まることで耳血腫になります。
耳血腫は耳に物理的な刺激か加わることで発症しますが、その原因の多くは外耳炎です。日頃から耳に異常がないかチェックし、外耳炎の疑いがあれば早めに治療を受けましょう。耳血腫になってしまった場合は、注射器で耳に貯まった血様液を吸引したり、耳を切開する治療法があります。再発するケースが多く、治癒しても耳は元の形に戻らず変形してしまいます。
犬がブルブルする仕草には、必ず何かしらの理由があります。身体に付いた水分を飛ばすためなど、理由がはっきりしていれば問題ありませんが、原因がわからない場合や頻繁にブルブルしている場合、他の症状を併発しているような場合には、病気の可能性があります。外耳炎などの病気は、治療せずに放置しておくと徐々に悪化し、完治が困難になってしまう可能性もあるので、ブルブルが気になる場合は早めに動物病院を受診することをおすすめします。
江野 友紀/認定動物看護士
地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。