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健康管理 / 病気

2020.06.04

【獣医師監修】人獣共通感染症の代表的な病気とは?狂犬病だけじゃない!

同一の病原体により、動物から人へ、人から動物へうつる感染症を人獣共通感染症と言います。ペットの飼い主さんにとっては身近な感染症とも言えるので、病気について知っておいて損はありません。
ここでは、人獣共通感染症の感染経路や原因、代表的な病気などについてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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人獣共通感染症とは?

人獣共通感染症

人獣共通感染症はズーノーシスとも言い、人と動物に共通する感染症の総称です。厚生労働省では人の健康問題という視点から考え、「動物由来感染症」という言葉が使われています。
また、世界保健機関(WHO)では「脊椎動物と人の間で自然に移行するすべての病気または感染」と定義されています。

症状の程度は様々

人獣共通感染症の症状は、動物では無症状で人が重症になるもの、動物も人も重症になるものなど、病原体や動物の免疫力などによって変わってきます。

人獣共通感染症の感染経路・原因

人獣共通感染症

病原体が感染することを「伝播」と言いますが、伝播には動物と人の間で直接うつる「直接伝播」と、動物と人との間に何らかの媒介物が存在する「間接伝播」に分けられます。

直接伝播

感染した動物の咬み傷、ひっかき傷から感染したり、感染した動物の糞尿中に排出された病原体により感染します。

間接伝播

病原体をもつダニや蚊、ノミを介して感染したり、病原体に汚染された土壌や水から感染します。

人獣共通感染症の代表的な病気

人獣共通感染症

人獣共通感染症は、全ての感染症のうち約半数を占めているとされています。人獣共通感染症の代表的な病気をご紹介します。

狂犬病

狂犬病は発症すると治療方法がなく、重篤な神経症状を示してほぼ100%死亡する極めて危険なウイルス性の人獣共通感染症です。世界では毎年約五万人と十数万匹の動物が発症し、死亡していると推定されています。日本では、狂犬病予防法により狂犬病予防ワクチンの接種が義務付けられています。

レプトスピラ症

レプトスピラを保有しているネズミやイヌ、ウシ、ウマ、ブタなどの尿により汚染された下水や河川、泥などから経皮的に感染したり、汚染された飲食物の摂取により経口的に感染します。農業従事者、下水管作業従事者、食肉処理業者にとっての職業病とも言われています。

トキソプラズマ症

トキソプラズマという原虫によって引き起こされる病気です。人の女性が妊娠初期にトキソプラズマ症に初感染すると、胎児にも感染し、流産や死産などの原因になる可能性があるので注意が必要です。猫の糞便などから経口的に感染することで有名ですが、欧米では感染した生肉や生乳から感染するケースが多いと言われています。

回虫症

回虫症は、犬や猫に寄生する回虫によって引き起こされる病気で「公園の砂場が虫卵に汚染されている」と話題になった感染症です。人に回虫が感染した場合、回虫は成虫にまで発育することはできず幼虫のまま体内を移行し、内臓や眼などに侵入して「幼虫移行症」と呼ばれる様々な障害を引き起こします。

重症熱性血小板減少症(SFTS)

重症熱性血小板減少症(SFTS)は、主にウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染します。2013年1月、SFTSの患者(2012年秋に死亡)が国内で初めて確認されて以降、毎年60~90名前後の患者が報告されており、致死率は10~30%程度と言われています。

人獣共通感染症の検査と診断方法

人獣共通感染症

血液の中のウイルスの有無を調べるため、血液検査が行われます。皮膚に傷がつき炎症がある場合はその傷から出ている体液を調べる事もあります。

人獣共通感染症の治療方法

治療法は感染症の種類や症状によって異なりますが、抗ウイルス薬や抗菌薬などを使用します。狂犬病では有効な治療方法がありません。発見が遅れがちな病気であるため、特に小さな子供や高齢者は注意が必要です。

人獣共通感染症にかからないために

人獣共通感染症

動物自身が伝播を防ぐことはできないので、人が感染を予防する必要があります。動物に触ったら必ず手を洗い、排泄物は速やかに処理しましょう。動物が排泄しやすい公園や砂場には寄生虫の卵(オーシストと呼ばれる卵のようなもの)が潜んでいるかもしれません。砂あそび、ガーデニングの土いじりをした後も十分に手洗いしましょう。
人獣共通感染症は発症しても軽症で済んだり、風邪や皮膚病に似た症状が出ることが多く、病気の発見が遅れがちです。人獣共通感染症の疑いがあれば、早めに病院を受診しましょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

  • 更新日:

    2020.06.04

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