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健康管理 / 病気

2020.06.20

犬の「うつ病」との向き合い方|症状・原因から治療・改善方法まで【獣医師監修】

気分が落ち込んだり、食欲が低下したり、何をしても楽しめなくなる「うつ病」。私たちにとってはごく身近な病気で、誰でも発症する可能性があります。では、犬には「うつ病」はあるのでしょうか?ここでは、犬のうつ病についてご紹介します。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:江野 友紀/認定動物看護士)

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犬のうつ病とは?

犬 うつ病

人のうつ病の場合、医師が患者さんに気分が落ち込む頻度やきっかけなどを問診し、心の中をきちんと知った上でうつ病という診断を下します。言葉が話せない犬の心の中を理解することは困難であるため、動物病院で「うつ病です」と診断が下ることはまずないと言えます。

ただし、犬にも次に挙げるような心の病にかかることが分かっており、うつ病になる可能性は十分に考えられます。

犬のうつ病?分離不安

飼い主さんと離れて一人になることに強い不安感を抱き、その不安から無駄吠えが増えたり、不適切な場所で排泄するなど様々な問題行動を起こすことを分離不安症と言います。ストレスが限界を超えると無気力、食欲不振、抑うつ、嘔吐や下痢などの身体的な症状が現われます。

犬のうつ病?常同障害

長時間の孤独やストレスにより、意味のない同じ行動をひたすら続けたり、何度も繰り返してしまう心の病です。足先をなめ続ける、自分の尾を追いかけてくるくる回る、同じ場所を歩き回るといった行動が見られ、ひどい時には自分の身体を傷つけてしまいます。

うつ病は他の犬や人にうつる?

うつ病そのものは感染性の病気ではないので、他の犬や人にうつるという心配はありません。しかし、いつも一緒に生活している犬がうつ病になっていつもと様子が変わってしまうことで、同居する犬が不安になりうつ病を発症する、という可能性は否定できません。

犬のうつ病の原因とは?

犬 うつ病

犬が心の病を患う原因には次のようなものがあります。

犬の心の病の原因|1.長時間の留守番

犬はもともと集団の中で生活してきた生き物であるため、一人で過ごす時間が苦手です。飼い主さんが留守がちで、犬が独りで過ごす時間が長いと、犬は強いストレスを感じます。

犬の心の病の原因|2.コミュニケーション不足や運動不足

飼い主さんと遊ぶ時間が不足していたり、散歩の時間が短いなど、コミュニケーション不足や運動不足が原因で心の病を患うことがあります。

犬の心の病の原因|3.環境の変化

新しく同居することになった犬と相性が合わなかったり、大好きだった飼い主さんとお別れするなど、生活環境の変化がストレスの原因になります。

かかりやすい犬種や年齢

分離不安はどの犬種・年齢であっても起こり得る病気であり、飼い主さんとの関係性や環境による影響が大きいとされています。特に高齢の犬の場合、視力や聴力が衰えるために不安感を抱きやすいことから、分離不安になりやすいとも言われています。

犬のうつ病の治療とは?

犬 うつ病

犬の症状が重度の場合は、不安を和らげる作用がある抗うつ薬が処方されることがあります。家庭でできる対処としては、十分にお散歩させたり、一緒に遊んだり、犬の前ではイライラせず明るく接するといったものが挙げられます。また、あまり知られていませんが、心療内科を行う動物病院もあるので、相談してみるのも手でしょう。

治療にかかる費用

生活改善の指導のみ受ける場合も多いですが、抗うつ剤などが処方されることもあります。診察と薬代で数千円程度かかると考えましょう。

犬のうつ病の予防方法とは?

犬 うつ病

犬のうつ病の多くは、コミュニケーションを取る時間を十分に設けたり、運動不足を解消することで予防できます。雨の日でも室内でボールを使って遊んだり、お散歩だけでは足りないようであればドッグランで思い切り走らせるなど、犬と過ごす時間を大切にしましょう。

再発する可能性

ストレスを原因とする心の病や異常行動は、一般的な治療で完治するとは限りません。中には、自傷行為を繰り返してしまう子もいます。ストレスの原因が判明しているようであれば、可能な限り原因を排除することが大切です。

犬のうつ病との向き合い方

犬 うつ病

犬に持続的にストレスがかかると、心だけでなく身体にも悪影響を及ぼします。もし愛犬がずっと身体を舐め続けていたり、不適切な場所で排泄したり、破壊行動に出るような場合にはうつ病になっている可能性があります。日頃から愛犬にストレスをかけない生活を心がけ、気になる様子があれば動物病院に相談しましょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.06.20

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