magazine

健康管理 / 病気

2020.06.14

【獣医師監修】犬の破傷風はどんな病気?原因から治療法、予防法まで

「破傷風」と聞くと、人が犬や猫に噛まれたり引っかかれることで発症する病気、というイメージがあるのではないでしょうか。あまり知られていませんが、犬も破傷風にかかることがあります。
ここでは、犬の破傷風の原因や治療法、予防法などについてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士(監修:加藤 みゆき/獣医師)

この記事をシェアする

犬の破傷風とは?

犬 破傷風

破傷風は、土壌中に広く存在する破傷風菌が傷口から体内に侵入することで感染します。破傷風菌から産生される神経毒「テタノスパスミン」が神経を障害することにより、様々な神経症状が引き起こされます。
人獣共通感染症であり、馬や牛、人、犬などが感染しますが、抵抗性がもっとも低い馬と比べ、犬は600倍ほど抵抗性があるとされています。

犬の破傷風の症状

破傷風の潜伏期間は、数日~2週間くらいと言われています。口が開きにくくなる、よだれを垂らす、食べ物が飲み込めなくなるなどの神経症状を示し、全身性の痙攣が起こり死に至ることもあります。

他の犬や人にうつる?

破傷風は、感染した犬から同居する犬や人にうつる、という病気ではありません。
ただし、犬が破傷風菌が存在する土を舐めることで犬の舌に破傷風菌が付着し、その口で他の犬や飼い主の手などに咬みつき傷を負うと、咬まれた犬や人が破傷風に感染する可能性があります。

犬の破傷風の原因

犬 破傷風

犬が破傷風に感染する原因についてご紹介します。

破傷風菌は傷口から感染する

散歩中にすり傷や切り傷を負うことや、事故による開放骨折、他の犬や猫との喧嘩による外傷から破傷風菌が感染して発症します。すぐに治ってしまうような小さな傷から感染することもあるので、動物病院を受診した時には既に傷が見当たらず、原因が分からないこともよくあります。

かかりやすい犬種や年齢

破傷風に感染しやすい犬種や年齢は特にありません。犬が外傷を負っている場合には注意が必要です。

犬の破傷風の治療法

犬 破傷風

破傷風の毒素をコントロールするための抗毒素血清の投与や抗菌剤の投与、筋硬直を緩和するための投薬のほか、対症療法として脱水を改善するための輸液、呼吸困難になった場合の酸素吸入、外傷の処置などが行われます。
また、破傷風にかかると接触や音、光などの刺激に敏感になり、これらの刺激によって筋硬直が悪化する可能性があるため、暗い静かな場所で安静にします。

予後について

診断後、すぐに治療が開始された場合はおよそ4週間で回復すると言われていますが、中には完全に回復するまで3ヶ月ほどかかるケースもあります。重篤な場合は、積極的な治療が施されても命を落とすことがあります。

治療にかかる費用

破傷風は病原体の存在を証明することが困難です。迅速に治療が求められる病気であるため、飼い主さんから発症するまでの経緯を聞いたり、一般的な血液検査やレントゲン検査で他の病気の可能性を排除し、診断・治療をします。一般的な検査費用や抗菌剤の投与などに、1万円~数万円程度かかると考えられます。

犬の破傷風の予防

犬 破傷風

人や馬には破傷風のワクチンがありますが、犬用のワクチンはありません。犬が怪我を負っているときに土壌から感染する危険があるので、怪我をした後には適切に手当てすることが大切です。

再発する可能性

人の破傷風では再発の可能性があることが分かっています。犬は破傷風の発生自体がまれであり、再発の可能性についてはよく分かっていません。

犬の破傷風との向き合い方

犬 破傷風

破傷風は、破傷風菌が産生する神経毒によって神経症状を引き起こす危険度の高い病気です。傷口から感染するので怪我には十分注意し、犬が傷を負った時には、小さな傷であっても早目に動物病院で治療を受けましょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

  • 更新日:

    2020.06.14

この記事をシェアする