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健康管理 / 病気

2020.06.21

【獣医師監修】犬の膝蓋骨脱臼とは?症状・治療のアプローチ方法を解説

愛犬がぴょこぴょこと後足を挙げて歩いたり、大好きな散歩を嫌がるときには、膝蓋骨脱臼という病気の疑いがあります。膝蓋骨脱臼は小型犬に多く見られる関節疾患で、決して珍しい病気ではありません。ここでは、犬の膝蓋骨脱臼の原因や治療法、予防法などについてご紹介します。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:江野 友紀/認定動物看護士)

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犬の膝蓋骨脱臼とは?

犬 膝蓋骨脱臼

犬の膝にあるお皿のような骨「膝蓋骨(しつがいこつ)」は通常、大腿骨の滑車溝(かっしゃこう)というくぼみにはまっており、膝関節のスムーズな動きをサポートしています。この膝蓋骨が何らかの理由で外れた状態を膝蓋骨脱臼と言います。

膝蓋骨が内側に外れることを「内方脱臼」、外側に外れることを「外方脱臼」と言い、犬は内方脱臼が多く見られます。脱臼の程度や症状、整復可能かどうかなどによってグレード1~グレード4に分類されます。

膝蓋骨脱臼の症状

膝蓋骨脱臼の症状は程度によって様々です。軽度の場合は無症状で、定期検診のときに膝の触診で判明することもよくあります。飼い主さんが気付く症状としては、後足を挙上して歩いたり、膝を曲げにくそうにしたり、足を伸ばす(自分で膝蓋骨を滑車溝に戻そうとしている)などの様子が見られます。

重度になると常に脱臼したままの状態になり、整復できず、歩行できなくなることもあります。

他の犬や人にうつる?

膝蓋骨脱臼は、膝関節や膝関節周囲などの形態の異常によるものなので、他の犬や人にうつるということはありません。

犬の膝蓋骨脱臼の原因とは?

犬 膝蓋骨脱臼

犬の膝蓋骨脱臼の原因や、かかりやすい犬種についてご紹介します。

犬の膝蓋骨脱臼の原因|1.先天的なもの

膝蓋骨脱臼は、ほとんどが先天的なものです。生まれつき大腿骨にある滑車溝が浅かったり、膝蓋骨を支える靭帯が弱かったりすると、ちょっとした衝撃で膝蓋骨が溝から外れてしまいます。子犬の頃から発症することもあれば、発育に伴い徐々に症状が現れる場合もあります。

犬の膝蓋骨脱臼の原因|2.後天的なもの

高所から飛び降りたり、二本足でジャンプしたり、激しく転倒するなど、関節の可動域を超えた動きをすると膝蓋骨脱臼を発症します。また、栄養障害などによって骨の変形が生じて発症することもあります。

かかりやすい犬種や年齢

膝蓋骨脱臼はトイプードルやポメラニアン、チワワ、ヨークシャーテリアなどの小型犬種に多く見られます。年齢に関係なく全ての犬に発症する可能性があり、遺伝的なものの場合には若齢期から発症することも少なくありません。

犬の膝蓋骨脱臼の治療法とは?

犬 膝蓋骨脱臼

犬の膝蓋骨の治療法には、大きく分けて保存療法と外科手術があります。

保存療法

グレードが低く症状が軽度の場合や、高齢犬など麻酔のリスクが高い犬は、症状を緩和させるための「保存療法」が選択されます。消炎剤や鎮痛剤の投与や、レーザーなどで一時的に関節炎症状を抑えたり、食事や運動管理の指導を受けることもあります。

外科手術

根本的に治療するには外科手術しかありません。手術の方法はいくつかありますが、膝蓋骨がずれにくくなるよう滑車溝の溝を深くし、脱臼を防ぐなどの手術が行われます。手術後は安静にし、マッサージなどのリハビリが行われます。

治療にかかる費用

膝蓋骨脱臼に治療にかかる費用は、原因や症状によって大きく異なります。目安として、症状が軽度の場合は内服薬やレーザー治療など一回の治療につき数千円ほど、手術をした場合には20~30万円程度かかると考えられます。

犬の膝蓋骨脱臼の予防方法とは?

犬 膝蓋骨脱臼

原因が先天性の場合は、確実な予防法がありません。体重が増えると膝にかかる負担が大きくなるので、肥満にならないよう体重管理しましょう。関節に負担をかけるような運動を制限することも大切です。階段に近付かないよう柵を設置したり、ソファから飛び降りてしまう子は着地する場所に滑り止めマットを敷くなど、室内環境を見直しましょう。

再発する可能性

犬の膝蓋骨脱臼は治療後も再発する可能性があるので、手術を受けリハビリをした後も経過をしっかりと観察していく必要があります。

犬の膝蓋骨脱臼との向き合い方

犬 膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼は、早期に発見し、関節や靭帯、骨の変形などの二次的な問題が起こる前に治療を受けることが重要です。特に膝蓋骨脱臼の好発犬種であるトイプードルなどの小型犬は日頃から様子をよく観察し、歩行に異常が見られたり、足を挙上する様子が見られる場合には動物病院を受診しましょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

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