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健康管理 / 病気

2020.06.02

【獣医師監修】短頭種気道症候群とは?フレブルやパグがかかりやすい病気を解説

短頭種とは短いマズルを持ついわゆる「鼻ペチャ」犬種で、フレンチブルドッグやパグ、ペキニーズなどが代表的です。
短頭種は、その短いマズルの特徴から短頭種気道症候群(たんとうしゅ・きどう・しょうこうぐん)という病気になるリスクが高いと言われています。今回は、短頭種気道症候群の症状や発生メカニズムなどを解説し、治療法や予防法もあわせてご紹介します。

Author :明石則実/動物ライター(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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「短頭種気道症候群」とは?

短頭種気道症候群

短頭種のワンちゃんは、他の犬種に比べて鼻や喉の気道が狭く、マズルが短いゆえに構造が凝縮されています。
そのため呼吸の際に気道に圧力が掛かりやすくなっているのです。少し歩くだけでゼイゼイと荒い息をするのもそのためです。
鼻腔狭窄によって鼻の奥の筋肉が垂れてくると気管を塞いでしまい、呼吸困難に陥ってしまいます。この症状を短頭種気道症候群と呼びます。

初期症状は?

短頭種気道症候群にかかる子は若齢の頃から発症することが多く、安静にしている時でも「ブーブー」といった呼吸をしたり、喉の奥から「ヒューヒュー」と喘息のような音が聞こえたりします。
そして重症化してくると絶えずパンディング(口を開けた速い呼吸)をするようになり、体温調節がうまくいかなくなるために失神する場合もあります。さらに悪化すると、最悪の場合は命に関わります。

短頭種気道症候群にかかる原因とは?

短頭種気道症候群

なぜ短頭種の犬にだけ短頭種気道症候群が発生するのでしょうか?原因とメカニズムを見ていきましょう。

人為的な選択繁殖による遺伝

短頭種は過去の作出の歴史から見て、非常に短い期間で選択繁殖をしてきた結果によるものだと考えられています。
頭から鼻先にかけての骨が短くなっているにもかかわらず、覆っている筋肉などの軟部組織が長いままになっており、そのまま皮膚や筋肉などが弛んだり、垂れ下がってしまうことになるのです。その結果、鼻腔狭窄や気管虚脱などを引き起こす原因となります。

肥満によるもの

短頭種のワンちゃんは比較的太りすい犬種です。ただでさえ気道や鼻腔が狭いのに、肥満によって呼吸器が圧迫されることもあります。
いわば太ってしまうことによって、短頭種気道症候群の発症リスクは格段に上がると言えるでしょう。

かかりやすい犬種や年齢

特定の犬種というよりも、短頭種全般でかかりやすい病気だと言える疾患です。

▼代表的な短頭種
ブルドッグ
フレンチブルドッグ
パグ
シー・ズー
ペキニーズ
ボストン・テリアなど

若齢から発生することが多いため、なるべく早期の治療が重要となります。

短頭種気道症候群の治療法とは?

短頭種気道症候群

症状を緩和することが目的の内科的治療もありますが、根本的な治療がしたい場合は外科手術をおこなうことがほとんどです。

外科手術では、狭まった鼻腔を切開して広げたうえで、長く筋肉が垂れ下がったところを切り取って気道を確保します。扁桃肥大と呼ばれる異常部も、患部を切除することで治療が可能です。気管虚脱の症状がある子の場合は、潰れてしまった部分の気管を補強したうえで広げる手術をします。

1歳未満で手術した場合は96%という高い改善率が期待できるとする説もあり、逆に高齢になると改善率は低くなってしまいます。若齢期に治療しておくことが重要と言えます。

治療にかかる費用はどのくらい?

症状や体重などによって費用は違ってきますが、おおむねの費用感は下記の通りです。

術前検査:2万円
手術費:3万5千円
麻酔:1万5千円
入院費:一泊の場合1万5千円~2万円程度

合計すれば約8~9万円くらいになります。手術後の経過観察など、通院にも費用が掛かってきます。

短頭種気道症候群に予防法はあるの?

短頭種気道症候群

残念ながら、短頭種気道症候群に予防法はありません。愛犬の様子を丁寧に観察し、呼吸がおかしくないか、変な呼吸音がしていないかなどを注意深く見守ることが必要です。

再発する可能性は?

外科手術によって改善できたとしても、再発する可能性はゼロではありません。軟口蓋の過長部を切除したとしても、別の部位で異常が起こるリスクは残ります。また、成長や肥満などによって気管が圧迫されることがあるかも知れません。
そういった意味では術後に安心することなく、絶えず経過を観察していくことが大切です。

短頭種気道症候群との向き合い方

短頭種気道症候群

短頭種と暮らしている飼い主さんは、ぜひ愛犬の鼻の穴を見てあげて下さい。広く隙間が空いている状態なら正常。狭く通りが悪そうなら鼻腔狭窄の症状が進行しつつあることを示しています。
また呼吸の仕方やパンディングの状態などもよく観察してあげて下さい。そうすることで獣医師と相談すべきかどうか見えてくると思います。

◎ライタープロフィール
明石則実 動物ライター

明石 則実/動物ライター

フリーライターとして動物関連や歴史系記事の執筆を多数おこなう。柴犬と暮らす傍ら、趣味の旅行や城めぐりで愛犬と駆け回る週末。
愛犬家の皆さんにとって、お悩みを解決したり、有益な情報を発信することを心掛けています。

  • 更新日:

    2020.06.02

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