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健康管理 / 病気

2020.06.03

獣医師監修|犬の目の病気【角膜潰瘍】とは?その症状と予防法を詳しく解説

犬の目の病気には白内障や緑内障、チェリーアイなど様々なものがありますが、その中でも犬の角膜潰瘍(かくまくかいよう)は病状が進行するにつれて、視力が弱まるだけでなく痛みも伴う辛い病気の1つです。しかし日頃の注意や予防だけで防げる病気でもありますので、病気の概要を解説すると共に、治療法や予防法などもご紹介していきます。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師

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犬の目の病気|角膜潰瘍ってどんな病気?

犬の目から出ている涙を拭いている様子

まずは犬の角膜潰瘍の症状について解説します。角膜は眼球の外側にあって、水晶体と共に網膜に光を集めるレンズの役割を果たしています。 角膜は4層の薄い膜が重なっているような構造になっていて、角膜潰瘍は、角膜に傷が付いたり、穴が空くことで症状が発生します。虫歯と同じように病状が進行するにつれ穴が広がったり深まったりしていくため、とても怖い病気なのです。

角膜潰瘍の初期症状とは?

まず何らかの原因で角膜に傷が付いた場合、初期段階として目を痛がったり、涙を流すなどの症状が見られます。犬がしきりに擦ったり、引っかいたりするため、さらに傷が深くなって病状が進行してしまうことがあります。

最も重い病状の場合、角膜穿孔(かくまくせんこう)という状態になって角膜にある4層の膜全てに穴が空いた状態になるのです。そういった場合には外科手術によって治療するしかありません。

他の犬や人にうつる心配は?

伝染性はありませんので、基本的に他の犬や人にうつることはありません。しかし遺伝性免疫疾患を持った犬の場合、角膜に炎症が起こることによって傷ができることがありますから注意が必要です。

犬の目の病気|角膜潰瘍が起こる原因とは?

犬の目にフォーカスが当たった写真

犬に角膜潰瘍が起こる原因としては様々なものがあります。詳しく原因を分析することによって予防法も見えてきます。

まつ毛や長い被毛などによるもの

まつ毛が眼球方向に曲がって生えていたり、目の周りの毛が長く慢性的に眼球を刺激するような場合ですと、角膜炎から角膜潰瘍が起こりやすくなります。 シーズーやミニチュアシュナウザーは、まつ毛が長くなる傾向にありますし、顔を覆うほど毛が長くなる犬種は注意が必要です。

目をこすってしまうことによる擦過傷

アレルギーや免疫疾患による目の炎症や、シャンプーなどの化学物質や異物などが眼球に付着することによって、犬はかゆみを覚えて目の周りをこすってしまいます。結果的に角膜を傷つけて角膜炎を起こし、さらにこすることを続けてしまうため、病状が進行して角膜潰瘍に陥ってしまいます。

SCCED's(特発性慢性角膜上皮欠損)によるもの

角膜を構成する膜の一部である、角膜上皮基底膜と実質表層の接着不良によって発症します。角膜上皮基底膜は角膜表面にある膜のために剥がれやすく、病状が進行すると難治性角膜潰瘍となります。たとえ完治しても再発の可能性があるため、適切な治療法が必要となります。

また多発犬種としてボクサーが知られますが、全ての犬種の中年期以降に発症する可能性があるために注意が必要です。角膜上皮の剥離などから診断されますが、非常に発見しづらい病気だと言えるかも知れません。

ただし「頻繁にまばたきする」「涙が異常に多い」「充血している」などの症状が見られることによって、病気の早期発見に繋がる可能性はあります。

角膜潰瘍にかかりやすい犬種や年齢

まずミニチュアシュナウザー、ポメラニアンなど目に毛が掛かりやすい長毛種が角膜潰瘍にかかりやすい犬種として挙げられます。 またパグやシーズーなどの眼球が大きい短頭種も、目の外傷を起こしやすいですね。

SCCED'sはボクサー潰瘍とも言われており、ボクサーに多く他にフレンチブルドッグ、ゴールデンレトリーバーなどが挙げられます。

かかりやすい年齢としては、やはり中年期~シニアにかけての発生率が高くなり、ちょうど目のトラブルが起こりやすい年代と符合しています。

犬の目の病気|角膜潰瘍の治療法

犬の目

傷が浅く軽度の症状であれば、抗生物質の入った目薬を点眼するだけで治癒します。点眼の頻度と期間を獣医師と相談してください。また目をこすらないようにエリザベスカラーを装着させましょう。

中程度の症状の場合も、潰瘍部の修復のために血清やアセチルシステインなどを点眼することで治癒は可能です。 しかし角膜穿孔やSCCED'sなど症状が重篤な場合や、難治性の場合には外科手術が必要となります。

角膜潰瘍の治療にかかる費用

軽症の場合、治療期間が1週間として通院が3回ほど。トータルで1万円を超えるくらいです。 重篤で外科手術が必要な場合は、治療期間が3ヶ月として通院が10回を超えるくらい。手術費と通院費を合計すれば、おおむね15万円前後になります。

ただし症例によっては、より専門的な手術も必要となることもあるため、思った以上に高額になることもあります。

犬の目の病気|角膜潰瘍の予防法とは?

犬の顔

まず飼い主さんが普段から犬を観察することが大切です。愛犬が涙を流していないか?目が充血していないか?異常があれば動物病院で診察を受けるようにしましょう。

まつ毛や顔周りの被毛が長すぎる場合は、必要に応じてカットしてあげてください。またアレルギーが要因となって目をかいてしまう時は、低アレルゲンのごはんを与えたり、低刺激の薬用シャンプーを使用するなど、症状に応じた対応をしましょう。

角膜潰瘍が再発する可能性は?

いったん角膜の修復ができたら再発する可能性は低いでしょう。ただしSCCED'sの場合は上皮基底膜と実質表層の癒着が元々弱いため、治りにくいと言えますし、再発の可能性もあります。より専門的な手術によって完治を目指すべき必要があるかもしれません。

愛犬の角膜潰瘍との向き合い方

犬が遠くを見つめている様子

角膜潰瘍は目に傷が付くだけでなく痛みも伴うものです。症状によっては目薬を点眼しようとしても嫌がったり、噛んだりこともあるでしょう。もちろん予防のために日頃から目を観察することも必要ですが、角膜潰瘍にかかったとき、不安にならないよう愛犬に優しく声を掛けながら病気と向き合っていきたいですよね。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

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