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健康管理 / 病気
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2021.04.16

 

犬にビオフェルミンを与える際の注意点!腸内環境を考えよう

ビオフェルミンは、人にも犬にもよく使われることがある整腸剤です。ビオフェルミンが含む乳酸菌は、様々なお腹の不調を改善してくれます。
そんなビオフェルミンを、愛犬を含む家族のために常備しているという家庭は多いのではないでしょうか。比較的安全性が高い整腸剤で、飼い主さんの判断で与えても良い薬剤ですが、いくつかの注意点を覚えておきましょう。
今回は、犬に対するビオフェルミンの使用について解説します。

docdog編集部(監修:加藤 みゆき/獣医師)

ビオフェルミンは何に効くの?

犬 ビオフェルミン

ビオフェルミンは犬にも人にも使われる薬剤ですが、そもそもビオフェルミンとはどんな薬剤なのでしょうか。
まずは、その成分や効果、種類を見ていきましょう。

キーワードは「腸内フローラ」

動物の腸内には、とんでもなく多くの種類の細菌が生息しています。「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」と呼ばれることもあるこの細菌たちは、それぞれ「群れ」を作って集団で生活し互いにバランスを取りながら腸内環境を整えています。

顕微鏡で腸内を覗くと、この細菌集団たちの共同生活の様子がまるで「お花畑(フローラ)」のように見えるため、「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。

腸内フローラは、食べものを栄養に作り変えたり、身体の免疫力を高めたり、健康を維持するために一躍買っています。腸内フローラのバランスを整えることは、身体のバランスを整えることに直結するので非常に重要なことなのです。

ビオフェルミンの有効成分

ビオフェルミン製薬から発売されている「新ビオフェルミンS剤」には役割の異なる3つの乳酸菌が含まれており、それらが腸内フローラを整えてくれます。

KS-13 アシドフィルス菌

小腸にすみつく乳酸菌です。乳酸と酢酸を生成して、腸内で有害物質をつくり出す「悪玉菌」の増殖を抑える役割を持っています。悪玉菌が増えると、便秘や下痢に繋がることもあります。

G9-1 ビフィズス菌

大腸にすみつく乳酸菌で、健康なヒトの腸の研究を重ねて発見されたビフィズス菌です。こちらも「悪玉菌」が増えるのを抑制する働きをします。

129 BIO 3B フェーカリス菌

小腸にすみつく乳酸菌で、腸内に到着するとスピーディーに増殖して腸内フローラを整えます。他の有益菌が増えるのをサポートする役割を果たします。

ビオフェルミンの効果は?

3つの乳酸菌が腸内に届くと、それぞれ小腸や大腸で腸内フローラを整えながら悪玉菌が増えるのを抑制します。腸内フローラが整い改善されると、乱れていた便通が整い、下痢・便秘・ガスの発生が改善されます。

抗生剤を併用する場合は「ビオフェルミンR錠」

実はビオフェルミンには色んな種類があります。その中でも、ビオフェルミンR錠は「耐性乳酸菌製剤」と呼ばれる特殊な薬剤です。

抗生剤を服用するとおなかの調子が悪くなることがありますが、これは抗生物質が腸内フローラを崩すからだとされています。ビオフェルミンR錠は、抗生剤を飲んでいても増殖する性質を持つ乳酸菌が含まれているため、抗生物質が原因で腸内フローラが乱れている状況で使用することができます。

医薬品であるビオフェルミンR錠は市販されていないので、動物病院で処方してもらう必要があります。

犬に人用のビオフェルミンを与えてもいい?

犬 ビオフェルミン

ビオフェルミンには、人間用と動物用があります。犬に与える場合、必ずしも動物用出なければいけないというわけではありませんが、与え方には注意が必要です。
また、与える際には、愛犬をいつも診ている獣医師に相談してからにしましょう。

人用と犬用で何が違う?

犬用のビオフェルミンは、人用のものと比べて以下のような違いがあります。
主には、容量と配合成分の違いです。人と犬では身体のサイズ(体重)が異なるため、用量には留意しなければなりません。また、人と比べて犬の場合は胃酸がより強酸なので、胃酸によって死なずに腸まで届くような菌が配合されています。

  • 用量が違う
  • 配合されている成分が違う

犬に対するビオフェルミンの与え方

犬 ビオフェルミン

腸内環境を整える効果が期待できるビオフェルミンは、副作用が少ないことから犬にも使用しやすい薬として有名です。
実際に愛犬に使用する場合の使用法を見ていきましょう。

与える量と頻度は?

通常のビオフェルミン錠剤であれば、犬の体重1kgあたり10~20mgを1日2~3回使用します。
耐性乳酸菌製剤のビオフェルミンRについても、同様に犬の体重1kgあたり10~20mgを1日2~3回が適量です。

例えば・・・

チワワに多い2kgくらいの体重の子の場合、ビオフェルミン1錠にビフィズス菌が12mg含まれているので1錠を飲ませます。
また、ミニチュアダックスフンドに多い4kgくらいの体重の子だと、1錠~2錠くらいを飲ませます。

犬に使いやすい与え方

錠剤で1錠の中にどれだけ成分が入っているかを調べて換算する方法もありますが、用量が少なくなる可能性の高い小型犬などは粉薬のタイプを選ぶと、計算したグラム数を与えるだけなので便利です。

犬にビオフェルミンを与えるときの注意点

犬 ビオフェルミン

自己判断で愛犬にビオフェルミンを与えることについては特に問題はありませんが、与える際は以下のような点に注意が必要です。

何らかの病気の疑いがあるなら、まずは動物病院へ

愛犬のお腹の調子が良くないからとビオフェルミンを飲ませたものの、いっこうに効果が見られない・・。ビオフェルミンはあくまで整腸剤ですので、下痢などの不調の原因がほかにある場合は根本的な治療をおこなわなければいけません。
下痢以外にも発熱など他の症状を伴う、ビオフェルミンを2~3日与えても下痢が止まらないなどといった場合には、早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。その際、愛犬の調子が悪くなる前後の様子や生活を詳しく伝えられるように記録しておくと良いでしょう。

ビオフェルミンを与えても治らない場合、次のような病気が隠れている可能性があります。

感染症

ウイルスや寄生虫などの病原体の感染により、腸が炎症を起こして下痢になります。
下痢を起こすウイルス感染症には犬パルボウイルス感染症や犬コロナウイルス感染症、犬ジステンパーウイルス感染症などがあります。これらの病気はワクチンによる予防が可能です。獣医師の指示に従いワクチンを接種しましょう。
腸炎の原因になる寄生虫には回虫や鉤虫(こうちゅう)、鞭虫(べんちゅう)、瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)などがあり、虫の種類によっては定期的な予防薬の投与により防が可能です。寄生虫感染が疑われる場合は、動物病院を受診する際になるべく新鮮な便を持参すると良いでしょう。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患(IBD)は慢性的に腸が炎症を起こす病気で、原因は明らかになっていませんが、腸粘膜が異常な免疫反応を起こすことが関係していると考えられいます。
発症すると慢性的な下痢や嘔吐、食欲不振、体重減少などの症状が現れます。子犬や高齢犬、病気により体力が落ちている犬などは、下痢や嘔吐が続くことにより脱水症状を引き起こしてしまう危険性があります。
炎症性腸疾患は予防が困難な病気であるため、早期発見、早期治療に努めることが大切です。

中毒アレルギーによる腸炎

食物アレルギーにより、腸が反応してしまい下痢を起こすこともあります。原因を特定し、食事から改善する必要がありますので、下痢が続くようであれば受診をするようにしましょう。

ビオフェルミンのアレルギーに注意

乳製品に対するアレルギーを持っている子の場合は、乳酸菌製剤であるビオフェルミンを与えることで更に調子が悪くなってしまうことが考えられます。アレルギーによって引き起こされる症状には痒みを伴う皮膚炎や下痢や嘔吐などの消化器症状、鼻炎、目の炎症などがあり、特に皮膚症状を起こすケースが多いようです。
愛犬がこれまでビオフェルミンを飲んだことがないのであれば、まずは動物病院に相談することをおすすめします。

用法用量を守ること

ビオフェルミンは過剰に与えても効果が上がる性質のものではありません。また反対に、用量が少なすぎる場合も期待する効果が得られません。
また、抗生物質を飲んでいる場合は通常の「ビオフェルミンS」では効果が十分に得られないことが考えられます。しっかりとビオフェルミンの効果を得るには、まず用量用法を守って与えることが大切です。

ビオフェルミン以外の整腸剤

犬 ビオフェルミン

ビオフェルミン以外にも、犬に与えることのできる整腸剤があります。これらの薬も、獣医師の指導のもとで使用しましょう。

ビオイムバスター

犬猫用整腸剤「ビオイムバスター錠」には、整腸作用のある有胞子性乳酸菌と総合消化酵素パンクレアチンが配合されています。嗜好性が高く、片面に1/4錠割線があるので、小型犬や猫にも比較的容易に投与できるでしょう。
投与は1日2回、5kg未満の犬は1錠、5kg~20kg未満で2錠です。

ミヤリサン

ミヤリサンは日本で開発された医薬品で、動物用の製品も存在します。
整腸生菌成分の1つであり、生物でもっとも耐久性があると言われている芽胞を形成する「酪酸菌(宮入菌)」を主成分とした整腸薬であり、ビオフェルミンとの作用機序が異なるため、犬での併用による相乗効果なども期待されています。

犬へのビオフェルミンの使用

犬 ビオフェルミン

今回は犬に対するビオフェルミンの使用についてご紹介しました。
軟便や下痢などの対処法として比較的用いられやすいビオフェルミンではありますが、消化器症状が起こる原因は様々であるため、必ずしも治るとは限りません。長く続く下痢や、下痢以外にも嘔吐や元気消失などがある場合には何らかの重い病気の可能性もあり、安易にビオフェルミンを使用して様子を見ていると病気が進行したり、治療が長引いてしまうことも考えられます。
原因がわからない場合や重い症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診し獣医師に相談しましょう。

  • 公開日:

    2020.06.25

  • 更新日:

    2021.04.16

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