
結論から言えば、食べ過ぎないようにすれば、犬がライチを食べても大丈夫です。含まれている栄養素について見ていきましょう。
ライチに含まれる栄養素には、犬にとってうれしい成分がたっぷりと含まれています。主なものを挙げていきます。
犬は体内でビタミンCを生成できますが、激しい運動をした後であったり、病気を発症している犬、また免疫力が低下傾向にあるシニア犬などは、体内で生成されるビタミンCだけでは足りなくなってしまうことがあります。
そんなときは食事でビタミンCを摂取することで、細胞の老化を防ぎ、免疫力の向上が期待できるのです。
ライチに豊富に含まれているミネラルがカリウムです。細胞の働きを正常に整え、カリウムが不足することによって起こる腎臓や心臓などの疾患を防いでくれます。
ただしカリウムはいわば塩分を意味しますので、与えすぎには注意が必要です。
水溶性のビタミンである葉酸は造血作用に関与することから、貧血などの予防に効果があると言われています。
細胞分裂や代謝が活発な子犬や妊娠中の犬に必要な栄養素とされ、特に胎児の正常な発育をサポートする働きがあります。
様々な栄養素が豊富なライチといっても、食べさせる際には、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
ライチには微量ながら植物性自然毒が含まれているとされていて、ベトナムやインド、バングラデシュなどで、ライチが起因するとみられる疑似ウイルス脳炎の発症が報告されています。
米国疾病管理予防センター(CDC)が発表した概要によれば、ライチに含まれるヒポグリシンという化合物によって、血中グルコース値が著しく低下し、それによって嘔吐や発作などが引き起こされ、最悪の場合、昏睡状態から死に至るとされているのです。
犬の場合、人間より体が小さいため、どのくらいの量を食べると発症するかは不明ですが、一度に多くの量を食べさせたり、継続的に与えるのは避けた方が良いでしょう。
人間が食べる際には種を除くことが当たり前になっていますが、犬に与える場合も必ず種は取り除きましょう。
種にはアミグダリンという化合物が含まれており、摂取すると腸内のβ-グルコシダーゼという酵素によって分解され、シアン化水素を発生させます。細胞のエネルギー産生が阻害され、やがて急性中毒に繋がる危険性があるのです。
注意点について説明させて頂きましたが、注意点をしっかりと守って与えすぎないようにすれば、ライチは危険な食材ではありません。
少量に食べさせることで健康に役立つこともあります。ここでは、ライチを使ったおすすめレシピをご紹介していきます。
ライチで作ったワンちゃんゼリーを、普段のフードにトッピングすれば食いつきも良くなるのでは?作り方は簡単。フードプロセッサーまたはミキサーで、皮と種を除いたライチを数個分潰します。ライチは裏ごしして、余分な繊維などを取り除きます。
次にゼラチン粉をお湯で溶いて、ライチ汁に加えます。そのまま常温で固めれば出来上がり。
食べやすいようにジュレやクラッシュ状にして与えて下さい。
せっかくライチを食べさせるなら、他の果物も加えた食べ応えのあるフルーツカクテルがおすすめです。
犬にとってうれしい栄養素が含まれたミカン、メロン、リンゴなどがおすすめでしょうか。それぞれの果物を食べやすいように小さく切り分け、普段のフード皿に盛りつけるだけです。
人間が食べるフルーツカクテルは、シロップを加えるのですが、犬用ですから果物オンリーです。
ライチは有益な栄養素が含まれた果物ですが、与えすぎは禁物です。注意するべき点に留意しつつ、愛犬とおいしいライチを味わってみたいものですね。
▼以下の資料を参考に執筆しました。
※葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果(e-ヘルスネット)
※米国疾病管理予防センター(CDC)、ライチ果実が関係した疑似ウイルス脳炎の推定原因を発表(内閣府食品安全委員会)
※アミグダリンについて(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)
望月 紗貴/犬の管理栄養士、ペット看護士、ペット介護士、ペットセラピスト、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー
3頭の愛犬たちと1頭の保護犬、3匹の愛猫たちと山奥で暮らす真の動物好きライター兼ペット記事監修者。
犬に関しての正しい知識共有を目的とし、ネットメディアでの情報提供活動を行っております。
休日は愛犬バーニーズマウンテンドッグ、ゴールデンレトリバー、ボーダーコリーとの時間を大切に過ごしています。
明石 則実/動物ライター
フリーライターとして動物関連や歴史系記事の執筆を多数おこなう。柴犬と暮らす傍ら、趣味の旅行や城めぐりで愛犬と駆け回る週末。
愛犬家の皆さんにとって、お悩みを解決したり、有益な情報を発信することを心掛けています。