
水分が88%を占める梨は、実はりんごよりもカロリーが低い果物です。犬にとっても甘くて美味しい梨は、健康な犬が適量食べる分には問題のない食材です。ただし、犬は甘いものが大好きなため与えすぎには注意が必要です。
水分が多い梨ですが、カラダにうれしい栄養成分も含まれています。ここでは、犬の体にも役立つ梨の栄養素についてご紹介します。
アスパラガスに多く含まれているアスパラギン酸は、体内でエネルギー源として利用されるアミノ酸の一種です。疲労回復効果や持久力の向上が期待できる成分として報告されています。
ソルビトールは、お菓子などの原材料に必ずと言って良いほど表記されている甘味料として知られていますが、梨に含まれているソルビトールは、ブドウ糖から合成されてできる糖アルコールの一種で天然の甘味料です。カロリーが低いのが特徴で、梨は果物の中でもこのソルビトールの含有量がトップクラスなのです。ひやっとする清涼感はこのソルビトールから得られる効果で、喉の痛みの緩和などの効果が期待されています。
消化酵素の一種であるプロテアーゼは、たんぱく質を分解する働きがある成分です。梨のすりおろしを肉料理に使用するのは、このプロテアーゼの性質を利用して肉を柔らかくするため。また、肉の消化を助けるため食後のデザートに出されることもあります。
梨には、ナトリウムを排泄する役割があるカリウムが多く含まれています。カリウムは神経の伝達やエネルギー代謝に関わる必須ミネラルで、心臓の機能に関しても重要な働きを補う成分です。
水分が全体の大部分を占める梨ですが、含まれている成分の中には注意を要するものがあります。また、食べさせる時には次のことも気をつけましょう。
甘くてみずみずしいことから、犬も大好きな梨ですが、梨に含まれているソルビトールは、腸の外から水分を取り込もうとする働きがあり、たくさん食べてしまうと下痢をする可能性がある成分です。また、梨にはカリウムが多く含まれています。カリウムは、腎臓機能が低下している犬の場合、過剰に摂取することで高カリウム血症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
私たちが梨を食べるときには、皮をむき種や芯を取り除きます。犬に与える場合も、同じように皮をむいて種、芯を取り除きましょう。特に、種や芯は消化できないため、必ず取り除いてから与えましょう。
梨はバラ科の果物です。人間では、バラ科の果物や野菜を食べると口腔アレルギーを起こすことがあります。犬では、このアレルギーは報告されていませんが、嘔吐や皮膚のかゆみなどのアレルギー症状を起こす場合があります。初めて犬に梨を与える場合は、少量から初めて食べた後はしばらく様子を観察するようにしましょう。
通常は生で食べる梨ですが、消化しにくいのが特徴です。そこで、ひと手間加えて、犬も消化しやすいようにしてあげることをおすすめします。
夏の暑い日の水分補給にもなる梨を犬が消化しやすいすりおろしにして、シャーベットにしてみましょう。
<材料>
梨、レモン果汁、水(梨の水分が少ない場合)
<作り方>
・皮をむいた梨の半分はすりおろし、残り半分は角切りにする。
・すりおろしと角切りの梨にレモン果汁をふりかける。水分が少ない場合は、ここで水を大さじ1~2程度加える。
・好みの容器に入れ、冷凍庫で冷やし固める。2時間に一度程度、シャーベット液が分離しないようにかき混ぜると、味が均一に出来上がります。
梨と相性の良い大根をサラダにすれば、栄養豊富なご飯のトッピングになります。
<材料>
梨、大根、生姜の絞り汁、ごま油
<作り方>
・梨は皮を浮いて、芯を取り、食べやすいサイズに切る。大根も皮をむき、梨と同じ大きさにカットする。(千切りまたは角切りがおすすめ)
・少量の生姜の絞り汁とごま油をよく混ぜドレッシングを作る。
・カットした梨と大根にドレッシングを少量絡める。
水を飲むのを嫌がっても、梨ジュースならゴクゴク飲んでくれる可能性があります。ミキサーを使用すれば簡単に作れます。
<材料>
梨、水
<作り方>
・梨は皮を剥き芯を取り除いてすりおろす。ミキサーがある場合は、ミキサーに入れて攪拌する。
・すりおろした梨をガーゼなどにくるみジュースを絞る。
・絞り出したジュースを全体の3分の1程度の水で薄める。
暑い日の水分補給や疲労回復に役立つ梨。梨には、日本で作られている和梨、主にヨーロッパで作られている洋梨、中国で作られる中国梨の3種類があります。私たちに馴染みのある梨は和梨で、幸水、豊水などの赤梨と二十世紀に代表される青梨の2タイプ。人気の赤梨は、20種類以上もの品種があることをご存じですか?どの梨も栄養価に変わりはありませんが、食物繊維、カリウムが豊富なため、与えすぎには注意が必要です。特に、下痢をしている場合には与えないようにしましょう。
西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級
ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。