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犬種図鑑

2020.06.20

シェパードの種類を徹底解剖!まずは馴染み深いシェパード5犬種から

シェパードと聞くと、精悍で賢い警察犬のイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか?実は、シェパードと名がつく犬種は24種類もあるのです。ドイツが原産国と思われがちなシェパードですが、実はさまざまな国で誕生し発展した犬種なのです。そこで、今回から3回に分けて各国のシェパードをご紹介していきます。この記事では、そんなシェパードの中で私たちになじみの深い、ジャーマンシェパードドッグ、ホワイトスイスシェパードドッグ、オーストラリアンシェパードドッグ、ベルジアンシェパードドッグの4犬種に加え、多くのシェパードの祖先犬であるオールドジャーマンシェパードドッグについてご紹介します。

#ジャーマンシェパードドッグ

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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「シェパード」の語源とは?

羊と暮らすシェパード

日本では、シェパードといえば犬種のことを指すと単語と思われていますが、シェパード「shepherd」とは、「羊」を意味するshepと「群れを集める、群れ、群れを導く」などの意味があるherdを組み合わせて作られた単語です。

このことから、羊の群れを導く人=「羊飼い」「羊の世話をする」を表す言葉となり、「羊の群れを制御する、管理する犬」をシェパードドッグと呼びます。つまり、回収犬を意味するレトリーバーと同じようにその犬種が持つ作業内容を表した単語がシェパードドッグとなるのです。

当初、シェパードドッグと名付けられた犬は、敏捷で作業能力の高いヨーロッパ各地にいた土着の中型犬だったのですね。

名前に「シェパード」が付く人気犬種5選

名前にシェパードが付く犬種は、数多く存在します。その中でも、日本で出会うことができるシェパードがつく4犬種に加え、多くのシェパードの祖先犬とされているオールドジャーマンシェパードドッグについてご紹介します。

1.絶滅危惧犬種のオールドジャーマンシェパードドッグ

オールドジャーマンシェパードドッグ

現在、軍用犬、警察犬、介助犬など様々なシーンで活躍しているジャーマンシェパードドッグの基礎犬となった犬がオールドジャーマンシェパードドッグです。

誕生の歴史

ドイツ原産:ドイツでは古くから能力の高い牧畜犬が求められ、能力を重視したブリーディングが行われていました。当時は、犬種の外観についてよりも作業能力が重視されていたため、ドイツ各地から集められた土着のさまざまな犬が牧畜犬として働いていたのです。

1880年代、有能な軍用犬の作出を計画したフォンステファニッツ中佐は、ドイツ各地にいた作業犬の中から最も有能な犬を選び出し、軍用犬の基礎犬としたのでした。この基礎犬となった犬が、のちにジャーマンシェパードドッグと区別するためにオールドジャーマンシェパードドッグと呼ばれています。ドイツオリジナルの牧畜犬とされていますが、畜犬団体に犬種登録されていないことから希少犬種となっているため、現在では、絶滅危惧犬種として保護活動が行われています。また、オールドジャーマンシェパードドッグにより近い犬種を復元しようと、シャイロ・シェパードと呼ばれる犬種が作出されています。

身体(からだ)の特徴

オールドジャーマンシェパードドッグは、長毛のジャーマンシェパードドッグに似た外観であるとされていますが、外観よりも牧畜犬としての能力を重視したブリーディングが行われてきた経緯があり、姿形はバラエティに富んでいると言われています。また、畜犬団体や犬種団体に登録されている犬種ではないことから、一定の品種基準がないこともその要因となっています。主な身体的特徴として、以下にご紹介します。

体高:55~65cm
体重:22~40kg
被毛:比較的長毛の個体が多く、色はブラック、ブラウン、タン、グレーなどがあり、単色または複数の色で構成されます。

性格の特徴

有能な牧畜犬として作出されたオールドジャーマンシェパードドッグは、飼い主やその家族に対しては忠誠心が高く、働き者で賢く、訓練性も高いことが特徴です。また、牧場の番犬としての使役を持っていたことから、外敵に対してや見知らぬ人には警戒心が強い面があります。

2.軍用犬、警察犬で知られるジャーマンシェパードドッグ

ジャーマンシェパードドッグ

世界中のあらゆるシーンで活躍しているジャーマンシェパードドッグは、その賢く忠実な性格から家庭犬としても人気のある犬種です。

誕生の歴史

ドイツ原産:使役犬として有名なジャーマンシェパードドッグですが、軍用犬の作出を計画していたフォンステファニッツ氏によって選ばれたオールドジャーマンシェパードドッグから作出された犬種です。その選抜の基準となったのは、賢さ、俊敏さ、力強さ、嗅覚に優れていることでした。

その当時、ジャーマンシェパードドッグと呼ばれていたのは、現在のオールドジャーマンシェパードドッグでしたが、牧畜犬と軍用犬を区別するために、軍用犬として誕生した犬種をジャーマンシェパードドッグとし、それまでジャーマンシェパードと呼ばれていた犬を「原種の」という意味からオールドジャーマンシェパードドッグと犬種名が変更されたのです。1899年、最初のジャーマンシェパードドッグが犬種として登録されています。

身体(からだ)の特徴

身体的な遺伝疾患が多く発症したジャーマンシェパードドッグは、ドイツのケネルクラブのメンバーであるジャーマン・シェパード・ドッグ協会がスタンダードとしての基準を厳しく規定しています。

体高:体調は体高より約10~17%長いことが規定され、オス60~65cm、メス55~60cmがスタンダードとされます。
体重:オス30~40kg、メス22~32kg
被毛:ダブルコート。ブラック、レディッシュ・ブラウン、ブラウン、イエロー、明るいグレー、ブラック&クリーム、ブラック&タンなど単色、バイカラー、トライカラーとさまざまな毛色が認められているジャーマンシェパードドッグですが、通常は単色またはサドルと呼ばれる鞍のようなマーキングが入っています。また、JKCではホワイトは許容されませんが、AKCではホワイトを許容しています。

性格の特徴

知能、トレーニング性ともに優れているジャーマンシェパードドッグは、勇気とタフさを備えたバランスのとれた性格が特徴です。飼い主に忠実で、防衛本能が高いことから警察犬、軍用犬はもとより、麻薬探知犬などの使役犬として活躍していますが、その忠誠心の高さから飼い主と離れることで、分離不安となる可能性を持っています。

3.容姿の美しさから人気急上昇中のホワイトスイスシェパードドッグ

ホワイトスイスシェパードドッグ

真っ白いシェパードドッグとして、近年日本でも人気で登録頭数が増えてきている犬種がホワイトスイスシェパードドッグです。

誕生の歴史

スイス原産:アメリカで誕生したホワイトのシェパードドッグが、アメリカやカナダの熱心なブリーダーによって繁殖が行われ、そのホワイトのシェパードドッグがスイスに輸入されたことがこの犬種が誕生した発端です。スイスのブリーダーは、ジャーマンシェパードドッグが抱える腰の弱さを改良し、より穏やかな性格の犬を作出することに努め、1991年スイスでホワイトスイスシェパードドッグとして犬種登録された比較的新しい犬種です。

身体(からだ)の特徴

なんといっても美しい真っ白な被毛がホワイトスイスシェパードの特徴です。基礎犬でもあるジャーマンシェパードドッグに似た筋肉質で、しっかりとした骨格の大型犬です。

体高:わずかにオーバーサイズでも許容され、オス60~66cm、メス55~61cmがスタンダードとされます。
体重:オス30~40kg、メス25~35kg
被毛:ダブルコート。犬種名の通り真っ白な被毛がスタンダードです。

性格の特徴

ジャーマンシェパードドッグが基礎犬であることから、作業犬としての能力が高く強い責任感を持っています。また、賢く、訓練性にも優れていますが、しっかりとしたしつけが必要な犬種です。運動能力が高いこともホワイトスイスシェパードドッグの特徴で、アジリティなどのドッグスポーツを一緒に楽しむのに向いています。

4.原産国はアメリカのオーストラリアンシェパードドッグ

オーストラリアンシェパードドッグ

シェパードドッグというより、シェットランドシープドッグなどのコリー種と見間違えそうな外観のオーストラリアンシェパードドッグは、実はアメリカ原産の犬種です。

誕生の歴史

アメリカ原産:アメリカ原産ではありますが、スペインとフランスの国境に近いバスク地方で誕生したとされるオーストラリアンシェパードドッグの起源にはさまざまな説があります。グレート・ピレネーズ、数種のコリー種などが作出に関わり誕生した土着の犬が、バスク地方の有能な牧羊犬として世界的に有名であったこと。そして、その牧羊犬とともにオーストラリアに渡ったバスク人によって、コリー、ボーダーコリーとの育種が行われ、現在のオーストラリアンシェパードが誕生したとされている説が最も有力です。

その後、バスク人とともにカリフォルニアに渡った牧羊犬は、カウボーイの牧畜犬としてアメリカに定着したため、オーストラリアから来た牧畜犬の名がついたと言われているのです。なお、オーストラリアンシェパードドッグにオールドジャーマンシェパードの血統は受け継がれてはいません。シェパード=「羊の群れを制御する犬」という言葉の持つ本来の意味がそのままつけられた犬種なのです。

身体(からだ)の特徴

カウボーイの牧畜犬として活躍していたオーストラリアンシェパードは、筋肉質でしなやかなボディとバラエティ豊かな毛色が特徴です。また、ボブドテールと呼ばれる短い尻尾または断尾される尻尾もオーストラリアンシェパードならではの特徴と言えます。

体高:オス51~58cm、メス46~53cm
体重:オス約22.6~29.4kg、メス約18.1~24.9kg
被毛:ダブルコート。ブルーマール、ブラック、レッドまーる、レッドなどバラエティに富んだ被毛カラーが特徴です。

性格の特徴

ボーダーコリー、コリーの血を受け継ぎカウボーイとともに牧畜犬として活躍していたオーストラリアンシェパードドッグは、活発で機敏、タフ、運動能力の高さが特徴です。また、賢く飼い主に忠実で、家族には愛情をもって接することができるため、小さな子供がいる家庭にも向いています。その知力、運動能力、訓練性の高さから、介助犬、麻薬探知犬などの使役犬としてだけではなく、アジリティ、ディスク、フライボールなど様々なドッグスポーツの世界でも活躍しています。

5.ベルジアンシェパードドッグは4タイプいる

ベルジアンシェパードドッグ

ベルジアンシェパードドッグには、マリノア、グローネンダール、タービュレン、ラケノアと4タイプの犬種があり、それぞれに特徴があります。

ベルジアンシェパードドッグ誕生の歴史

ベルギー原産。ベルジアンシェパードドッグは、ベルギーに古来からいた牧羊犬です。ベルギーでは、各地で牧畜が盛んに行われていたため、それぞれの地域で牧畜犬も独自の発展をしてきました。記録では、17世紀にはベルギー国内に数多くの牧羊犬がいたとされていますが、ベルギーが独立した1800年代後半に国産の牧羊犬の保護が行われ、当時、国内にいた牧羊犬が集められたのです。

戦争で頭数が激減していたことを憂慮した学者によって、独自品種の確立を目指した保護活動が行われましたが、地域によって外観が大きく異なることから4タイプの牧畜犬がベルジアンシェパードドッグとして登録されました。

AKCでは、被毛の特徴別にマリノア、グローネンダール、タービュレン、ラケノアと独自の品種として分類されていますが、JKCでは4タイプともベルジアンシェパードドッグとして登録されています。

グローネンダールの性格・被毛の特徴

グローネンダール

ベルジアンシェパードの代名詞的存在が真っ黒なロングコートが美しいグローネンダールです。作出者であるニコーラ・ローズ氏が所有していたグローネンダール城に由来して、この名がつけられたと言われています。人里離れた村で牧羊犬としてタフな仕事をこなしていたグローネンダールは、ベルジアンシープドッグと呼ばれることもあります。飼い主に忠実で、機敏、勇気があり、明るく陽気な性格で、運動欲求が非常に高い犬種です。飼い主と一緒に何かをすることが大好きなため、ドッグスポーツを一緒に楽しむことができます。

体高:オス60.9~66cm、メス55.8~60.9cm
体重:オス24.9~34kg、メス20.4~27.2kg
被毛:どんな気候にも耐えられるダブルコート。真っ黒なロングコートはグローネンダールの大きな特徴です。もう量の多いダブルコートながら、抜け毛が少ないことも特徴の一つとされています。

タービュレンの性格・被毛の特徴

タービュレン

ロングコートのジャーマンシェパードドッグにも見えるベルジアンシェパードタービュレンは、ベルギーのフランダース地方の小さな町タービュレンで誕生した犬種です。アメリカでは、ベルジアンタービュレンとして登録されています。19世紀、牧畜犬・番犬のどちらにも優秀な犬を求めていたブリーダーによって、グローネンダールと地元の牧羊犬をミックスブリードし、オールラウンドな牧畜犬として誕生したタービュレン。

一説には、フランダースの犬のパトラッシュはこのタービュレンではないかと言われています。優雅な外観ながら、活発で警戒心が強く、温厚で知的、飼い主に忠実ですが、寂しがり屋の一面もあります。運動能力も高いため、飼い主と一緒に楽しめるドッグスポーツが向いています。

体高:オス60.9~66cm、メス55.8~60.9cm
体重:オス24.9~34kg、メス20.4~27.2kg
被毛:長毛でダブルコートのタービュレンは、ブラックマスク、ボディはフォーンまたは淡いイエローにブラックのオーバーレイが望ましいとされています。

マリノアの性格・被毛の特徴

シェパード 種類

ブリュッセルの北側に位置する芸術都市メッヘレンにある町で誕生し、その町の名マリーナにちなんで名前がついたマリノアは、ジャーマンシェパードドッグにそっくりな外観が特徴です。4タイプのベルジアンシェパードの基礎犬とも言われているマリノアは、アメリカではベルジアンマリノアとして登録されています。マリノアは、ジャーマンシェパードドッグに比べ警戒心、使命感ともに強いことでも知られ、警察犬やアメリカ海軍の軍用犬として活躍しています。

また、エネルギーレベルが高く、タフで知的ながらまれに攻撃性を見せることもあるため、初心者には向きません。ただし、しっかりと訓練されたマリノアは、飼い主の良きパートナーとなります。

体高:オス60.9~66cm、メス55.8~60.9cm
体重:オス24.9~34kg、メス20.4~27.2kg
被毛:マリノアはベルジアンシェパート4タイプの中で唯一の短毛です。撥水性の高いダブルコートで、ブラックマスクにフォーンにブラックのオーバーレイが特徴です。

ラケノアの性格・被毛の特徴

シェパード 種類

4タイプのベルジアンシェパードの中で異色の外観を持つラケノアは、日本ではもちろん、世界でも希少な犬種です。ベルギーのレーケンという町の名にちなんでこの名がつけられました。ベルギー王宮で飼育されていたというラケノアは、当時のベルギー国王レオポルト2世の妻マリー・アンリエット女王のお気に入りだったと言われています。

ベルジアンシェパードの中で最も古い品種であるラケノアは、飼い主に常に寄り添う性格で、その忠実さは「シャドー」のニックネームを持つほど。当時は、羊の番犬だけではなく、畑の作物を見張る犬としても活躍していました。第二次世界大戦後、絶滅の危機に瀕しましたが、愛好家によって保護され、現在ではベルギーよりもオランダで多く飼育されています。

体高:オス60.9~66cm、メス55.8~60.9cm
体重:24.9~29.4kg
被毛:ダブルコートのウエーブがかったラフコートまたはストレートコートが特徴です。被毛の色は、主にフォーンで、マズルと尻尾にわずかにブラックのオーバーレイが見られることがあります。

シェパードドッグとは牧羊犬という意味だった!

シェパードドッグ

それぞれの国で必要とされる使役に合わせて発展してきたシェパードドッグ。外観や性格は違いますが、どのシェパードドッグも運動能力が高く、知的で忠誠心の強い点は同じです。そんなシェパードドッグを3回に分けてご紹介していくこの企画。世界にはたくさんのシェパードドッグがいます。今回は、人気のシェパードドッグをご紹介しましたが、次回は、ヨーロッパ原産のシェパードをご紹介します。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

  • 更新日:

    2020.06.20

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