
プーリーとコモンドールの共通点といえば、コーテッドコートと呼ばれる縄状の被毛です。まるでモップのようで、インパクトのあるユニークな見た目をしています。
また、プーリーもコモンドールも、アジアを起源とするハンガリー原産の犬です。両犬種とも純血犬種の登録などを行っているジャパンケネルクラブの犬種グループにおいて、「牧羊犬・牧畜犬」のグループに属していることから、それぞれ似た気質を持っています。
プーリーは、群れから外れた羊を追いかけて群れに戻したりなど、羊の群れを統率する牧羊犬として活躍していました。そのため、おっとりしてそうな見た目に反して、足が速く非常に活発です。フリスビードッグやアジリティなどをはじめとしたドッグスポーツをこなせるほどの高い運動能力を持っています。
コモンドールも牧羊犬ですが、主に他の動物から羊を護衛する役割をしていました。プーリーとは役割がやや異なりますが、それでもやはり走り回って羊を守る牧羊犬であることから活発で、運動欲求が高い性質を持っています。1時間以上の散歩を1日2回は必要なうえ、十分に歩き回れる飼育スペースも必須です。
縄状の被毛が垂れ下がり、全身がドレッドヘアーのようになっているプーリーとコモンドールは見た目がよく似ています。それぞれの犬種の見分けるポイントは、主に体の大きさと毛色です。
プーリーとコモンドールでは、体の大きさや毛色の種類が異なります。標準体高36~45cm、体重10~15kgでプーリーは中型犬に属します。一方、コモンドールはプーリーと比べてはるかに体が大きく、体高は最低でも65~70cm、標準体重はオスが50~60kg、メスが40~50kgで、コモンドールは大型犬に分類されます。
中型犬に属するプーリーの毛色は、ホワイトやクリーム・グレー・ブラックなど複数の種類があります。一方でコモンドールの毛色の種類はアイボリーしかありません。
プーリーとコモンドールの性格は共通する部分が多く、全く違うといった一面はあまり見られません。どちらの犬種も賢いですが、牧羊犬ならではの気質を持っているので、犬の飼育経験があり、しつけがしっかりとできる人に向いている犬と言えます。では、プーリーとコモンドールはどのような性格の特徴があるのか見ていきましょう。
牧羊犬として働いていたプーリーは、自分で判断して行動することができるため、独立心が強い一面があります。そのため、飼い主がリーダーシップをとり、一貫性を持ってしつけをすることが大切です。また、知らない人に対して警戒心が強く、吠えやすいのも特徴です。
加えて、好奇心旺盛な明るい性格で、子どもとも仲良く接することができます。
コモンドールは、家畜を守る犬として活躍していたことから、縄張り意識が非常に強くプーリーと同様、警戒心が強い性格です。見知らぬ人に過度に警戒しないようにするには、子犬のうちから社会化トレーニングをして、家族以外の人や他の動物、外界のさまざまな刺激への適応力を身に付けさせる必要があります。
また、普段は穏やかで子どもにも優しく接することができますが、しつこくされることが苦手なので、構いすぎに注意が必要です。
プーリーとコモンドールは、モップのような個性的な外見だけでなく、性格面においても共通する部分が見られます。どちらの犬種もむやみに攻撃的な態度を見せることはなく、子どもとも仲良くできる優しい性格の持ち主です。しかし、独立心や警戒心が強いため、犬のしつけがしっかりとできる人に向いている犬と言えるでしょう。
新井 絵美子/動物ライター
2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。