
供血犬とは、何らかの理由により血液が必要な犬のために献血をする犬のことです。人間の場合は輸血が必要になったとき、全国にある公的な血液バンクから取り寄せられますが、日本では動物医療における血液バンクが認められていないので、血液の安定確保ができません。
このような現状なため、多くの動物病院では献血の協力を呼びかけています。
供血犬として献血をするにあたり、大きなリスクになるようなことはほとんどないと言えるでしょう。1回の採血量は50~200ml程度で、体重や体調などによって調整してくれるので、愛犬の負担になってしまうのではないかと、過度に心配する必要はありません。
動物病院にもよりますが献血に協力すると、献血時の検査費が無料、犬用のおやつのプレゼント、愛犬に輸血が必要になった際に輸血料金が割引になる、などの特典が受けられることもあります。
ここでは、犬の血液型や愛犬の血液型をチェックしておく必要性などについて解説します。
犬の血液型は、人間の血液型のようにABO式、Rh式ではなく、DEA(Dog Erythrocyte Antigen: 犬赤血球抗原)式で分類されます。DEAは8種類あり、抗原を持っているかどうか(+なのか?なのか)で血液型が分けられます。
異なる血液型を輸血すると副反応を示し、命にかかわってしまう場合があるため、愛犬の血液型を調べておく必要があります。血液型判定キットがあるので、かかりつけの動物病院に問い合わせてみるとよいでしょう。
供血犬になれる条件や、ドナー登録の方法について知っておきましょう。
供血犬になるには、以下の条件をクリアしている必要があります。
・年齢が1~7歳
・体重が15kg以上
・フィラリア予防、混合ワクチン接種、狂犬病予防接種を毎年しており健康な状態
・麻酔をかけないでもおとなしく採血ができる
・過去に輸血を受けていない
・過去に妊娠・出産をしていない
・過去に血液媒介性の感染症(犬ブルセラ症やバベシア症など)になったことがない
どの犬種も上記の条件を満たせば供血犬になれますが、秋田犬およびその交雑種においては、供血犬になれません。
ドナー登録は、まずドナーを募集している動物病院に連絡をして受付予約をします。そして、献血をする当日に身体検査をし、異常がなければ血液検査のためを採血(4cc程度)が行われます。血液検査で問題がないと診断されたら、いよいよ献血のための採血です。
採血が終わったら、採血した部分に異常がおきてないかのチェックが行われ、問題がないと判断されたら帰宅できます。献血後は、ゆっくりと休ませてあげるようにしましょう。
採血の頻度は、基本的に年2回です。
輸血が必要な犬の力になっている供血犬ですが、その存在はあまり知られていないのが現状です。血液がもっと安定確保できるようになれば、より多くの命を救えるかもしれません。そのためには、まずは供血犬について理解を深め、その存在を少しでも知らせていくことが大切です。
新井 絵美子/動物ライター
2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。