magazine

犬の生態 / 気持ち

2020.05.10

犬は人間の言葉をどこまで理解している?最新の研究結果で犬の感情理解レベルが明らかに

長い間、犬と生活を共にしていると、愛犬が自分の発した言葉をとても正確に理解してくれることに驚かされます。実際、犬がもつ人間の言葉の理解力には様々な研究が行われており、その能力の高さは我々飼い主の想像を超えることも。犬は、いったいどの程度人間の言葉を理解しているのでしょうか?ここでは、犬の言葉やボディランゲージに関する研究、感情理解に対する最新の研究についてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士

この記事をシェアする

犬は言葉を理解できる?最新研究から分かること

愛犬に言葉をかける飼い主の後ろ姿

飼い主さんの言葉は愛犬に届いているのでしょうか?まずは、犬と「言葉」に関する研究結果をご紹介します。

ローランド大学で行われた13頭の犬の研究

ハンガリーにあるエトヴェシュ・ローランド大学で行われた実験では、犬は左脳で言葉の単語そのものに反応し、右脳でイントネーションに反応していることが判明しました。

実験では、13頭の犬それぞれの飼い主が、内容や言い方を変えて発した異なるパターンの言葉を録音で聞かせ、脳の反応を見ました。パターンは「褒め言葉+賞賛的な声」「普通の言葉+普通の声」「普通の言葉+賞賛的な声」「褒め言葉+普通の声」の4種類です。

犬は良い言葉に反応する

実験の結果、犬は左脳で言葉の単語そのものに反応し、右脳でイントネーションに反応していることが判明しました。また、犬にとって良いことが起きたときに反応する脳内の報酬領域が活性化したのは「褒め言葉」を「賞賛的な声」で聞かせたときだけでした。つまり、犬は人が「言葉では褒めていても声では褒めていない」ことや「賞賛的な声であっても、褒め言葉をかけられているわけではない」ということを判別できているということになります。

犬と言葉・気持ちを交わすために|目線は大事?

言葉を理解しようと目線を合わせる犬の様子

次に、犬の「目線」「視線」の理解に関する研究についてご紹介します。人間の場合には、身振り手振りを交えて話をしたり、人の目を見て話をした方が気持ちが伝わると言われていますが、犬の場合はどうなのでしょうか?見ていきましょう。

米国科学雑誌「PLoS ONE(プロスワン)」に掲載された研究

ハンガリーの研究者たちによって行われた研究では、犬に2つのタイプのビデオを見せ、反応を見ました。

1つ目のバージョンでは、女性が優しい母親の口調で「こんにちは、わんちゃん」と言葉をかけながら犬を見て、その後、視線を近くのポットに移しました。もう一方では、女性は下を見たままで、低いトーンで犬に話しかけてから視線をポットに移しました。

犬に言葉・気持ちを伝えるときは目を見て

1つ目のビデオでは、犬がビデオに映る女性に注目し、女性の視線を追う様子が確認できました。この反応に基づいて、犬が人から話しかけられ、自身に対して言葉が発信されている状況に於いては、人間の6~12ヶ月齢の赤ちゃんと同程度の認識能力を持ち、人間の非言語的コミュニケーションを理解する能力があることが判明したと言われています。

愛犬の目を見て話をした方が気持ちが伝わりそうですね。

犬に言葉は伝わる?犬の感情理解に対する最新研究

飼い主に抱きかかえられている犬

最後に、2019年に発表された犬の感情理解に対する研究結果についてご紹介します。

英国王立協会誌「Biology Letters(バイオロジーレターズ)」に掲載された研究

リンカーン大学とサンパウロ大学による共同研究については、大きなニュースになりました。 この研究では幸福そうな様子の人と犬が映る画像、又は、不機嫌な様子で怒る人と犬の画像を犬に見せます。そしてこれらの画像には、幸福そうな音声、又は攻撃的な音声が付けられています。

犬は人間の言葉を理解しようとする

画像の感情と音声が一致していた場合、犬は画像の表情を長い時間注視するということが確認されました。このことから、異なる2種類の感覚を組み合わせることで、犬は人間の感情を認識し、そして理解できる能力を持っているということが示されました。

なぜ犬は言葉を理解し人間とコミュニケーションが取れるのか

犬と飼い主が手を繋いで言葉を交わす様子

研究者の多くは、犬の言葉の理解力について、必要性と進化によるものと推測しています。 犬と人間は、何千年もの間生活を共にしてきました。その過程で、犬は他の動物には類を見ないほどに人間を頼って生活するようになりました。

人間に依存するようになった犬が、人間について理解し、コミュニケーションを取るために、言葉を理解し能力が発達していったと考えられています。

犬は飼い主の言葉を理解する

キスをする犬と飼い主

犬は私たちが考えているよりもずっと、人間の言葉や感情を理解しているのかもしれません。犬がもつ人とのコミュニケーション能力については、現在も様々な研究が続けられており、研究によって得られた研究結果が日常的に発表されています。これからの新たな発見も楽しみですね。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

この記事をシェアする