犬は耳がかゆいときには、後ろ足で耳をかいたり、床や地面に耳をこすりつけたり、頭をブルブルと激しく振ったりします。ひどいときは、耳を強くこすりつけることで耳たぶにある血管の一部が破れ、血液や体液がたまってその部分が腫れてしまう耳血腫を発症することもあります。
犬が耳をかゆがっているときには、まず耳たぶをめくってみて、皮膚や耳垢の状態をチェックしましょう。
犬が耳をかゆがっているときに、耳チェックをすると耳の穴付近の皮膚が赤く腫れている、耳垢がたくさん付いている、いつもとは違うにおいがするなどの症状がみられます。また、耳を触ると痛がったり、耳を触られることを嫌がったり、耳がよく聞こえていないといった症状が出ることもあります。このような症状がみられたら、耳の病気を疑いましょう。
犬の耳の病気は、大きく分けて外耳炎、中耳炎、内耳炎の3種類があります。犬が耳をかゆがっているときには、まずは外耳炎を疑ってみてください。
耳をめくってみると皮膚が赤くなっていたり、耳垢がたくさん付いていることもあります。このような症状がが見られたら、まず外耳炎を疑ってみましょう。外耳炎はあっという間に慢性化してしまいます。
早期発見早期治療が有効な手段なので、耳が赤い、耳垢が多い、においが強いと感じたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
犬が耳をひんぱんに耳をかいている場合に最も考えられるのが外耳炎です。外耳炎では外耳道が炎症を起こすため、強いかゆみと主にくさいにおいが症状として現れます。
また、犬の耳の病気は慢性化しやすく、外耳炎から中耳炎、内耳炎と進行する場合もあります。この場合は、かゆみというよりは痛みの方が強く現れる場合が多く、首を傾げる、うまくバランスが取れないなどの神経症状が現れることがあります。
また、アトピー性皮膚炎などを発症していたり、アレルギー体質の場合も耳がかゆくなる原因となります。
前述のとおり犬の耳のかゆみの原因として最も多い病気は外耳炎ですが、外耳炎では耳がかゆい他に、耳たぶや耳の中が赤い、耳全体が熱っぽい、耳垢が多いことなどが特徴としてあります。
特に、梅雨や夏場など湿度の高い時期に多く発症しますが、垂れ耳や脂漏体質の犬種は季節に関係なく発症する可能性があります。感染性(細菌、マラセチア、耳ダニなど)、アレルギーや脂質代謝異常などの体質的な影響、ホルモン性疾患などによる皮膚の感染防御機能の低下、腫瘍や異物などによる閉塞などが挙げられます。
犬の耳がかゆくなる原因として多いものに「蒸れ」が挙げられます。耳の中が蒸れることによって炎症を起こしかゆみが出るのです。犬の耳のかゆみは、梅雨時や夏の時期に多く発症しますが、蒸れが起こりやすい犬種があり、これにはミニチュアダックスフントやゴールデンレトリバーなどの垂れ耳の犬種が多いです。
また、耳の毛が多いプードルやテリア系犬種、脂漏体質が多いコッカー・スパニエルやシーズーなども耳がかゆくなりやすい犬種なので、こまめなチェックが必要です。
外耳炎予防のためには、日常の耳チェックが欠かせません。垂れ耳の犬の場合は、耳をめくって皮膚の色やにおいを確認しましょう。においがしない正常な状態の耳を覚えておくことで、耳に異常があった場合にすぐに気がつくことができます。
また、1週間に1回程度は、イヤーローションなどで汚れを拭き取るケアをしてあげることも大切です。犬の皮膚は、人間の皮膚の1/3程度の厚みしかないため、耳ケアの際にゴシゴシこすったりせず優しく拭き取ることがコツです。
また、綿棒を使用しての耳ケアは耳道を傷つけてしまったり、耳垢を耳奥に押し込んでしまう可能性があるためなるべく避けましょう。
外耳炎を発症すると、強いかゆいを伴うため、犬はひんぱんに耳をかきむしります。そのため耳のかゆみを放置しておくと、外耳炎だけではなく耳血腫など他の耳の病気まで発症してしまう可能性もあります。
また、外耳炎が重症化すると炎症がどんどん耳の奥にまで進行するため、中耳炎、内耳炎とさらに悪化してしまうのです。気をつけたいのは、外耳炎の進行が早いことです。進行すればすればするほど完治が難しくなり治療も長引きます。そうなってしまうと、犬自身だけでなく飼い主も辛い思いをすることになりかねません。
犬が耳をかゆそうにしていたら、早期治療を心がけてあげましょう。
加藤みゆき/獣医師
日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。