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健康管理 / 病気

2020.05.12

【獣医師監修】犬のアジソン病とは?ホルモンバランスが崩れて起こる病気の治療法を解説

犬の体には、体調や生理機能を維持するために多くのホルモンが内分泌器官から分泌されています。いったんホルモンバランスが崩れると体調を崩したり、健康な生活を送れないなどの弊害が起こることがあり、決して無視できないものです。
アジソン病もその一つで、人間の難病としても知られていますが、今回は犬のアジソン病について解説していきたいと思います。

Author :明石則実/動物ライター(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬の「アジソン病」とは?

犬 アジソン病

腎臓に接するように並んでいるのが副腎という器官で、その表面にある副腎皮質という場所から副腎皮質ホルモンが分泌されてています。
糖や脂質の代謝、血圧の維持、ストレスへの耐性といった機能を持つホルモンで生命維持には欠かせないものです。アジソン病は、何らかの原因で副腎皮質ホルモンの分泌が減り、体調に変化をきたすという病気です。逆に副腎皮質ホルモンの分泌が過剰になるのがクッシング症候群という病気になります。

初期症状について

アジソン病の初期にはあまり体調の変化などは見られず、徐々に元気がなくなったり食欲が衰えたりの症状が現れてきます。また震えや痙攣など目に見えて変調をきたすこともあります。
特に旅行やトリミングなど犬にとってストレスが掛かりやすい環境下では、症状が顕著になることが多いとされています。

また症状が悪くなったり良くなったりを繰り返すため、病気の進行に気付かないことも多く、重篤になると突発的にアジソンクリーゼというショック状態に陥ることもあるのです。

他の犬や人にうつる?

内分泌系の病気ですから、他の犬や人にうつることはありません。しかし遺伝的な自己免疫疾患が原因となることもあります。

犬のアジソン病の原因

犬 アジソン病

副腎じたいが萎縮するために副腎皮質からホルモンが作られなくなっていくわけですが、いくつかの原因が考えられます。
その原因を突き詰めることで治療法も変わってきますから、知識として持っておいた方が良いかも知れませんね。

自己免疫の異常によるもの

犬のアジソン病として最も多いものが特発性アジソン病といって、はっきりと原因がわからないものです。
しかし一般的には自己免疫疾患によるものと考えられています。副腎に存在しているステロイドホルモン産生細胞が免疫細胞の標的となって欠損することにより、ホルモンの合成が激減しアジソン病を引き起こすのです。

感染症や腫瘍など

感染症によって副腎に炎症が起こり、本来の機能が阻害されてしまうことがあります。また同様に副腎にできた腫瘍によって副腎皮質の機能低下が見られることもあります。

かかりやすい犬種や年齢

アジソン病の好発犬種とされているのがラブラドールレトリバーやパピヨン、プードルなど。またかかりやすい年齢については、メスの中年期に多いとされています。
好発犬種が存在していることからも、遺伝的な要因が考えられるところです。

犬のアジソン病有効な治療法とは?

犬 アジソン病

血液検査やエコー検査などによって疑わしい結果が得られたら、ACTH刺激試験という確定検査を行います。これはクッシング症候群にも用いられる方法で副腎皮質刺激ホルモンを注射し、投与前後でのコルチゾルの値の変化を見るというものです。

検査結果の上、アジソン病と診断されたら、分泌不足となっている副腎皮質ホルモンを内服や注射投与によって補充します。
そして定期健診を繰り返しつつ、生涯にわたってホルモンを投与し続ける必要があるのです。

治療にかかる費用

アジソン病は手術の必要がなく、内科的治療によって緩和させることが可能ですが、一種の免疫介在性疾患とも言える病気です。

そのため食欲不振や嘔吐・下痢などの症状が続けば点滴をすることになりますし、状態が思わしくなければステロイド剤の投与も必要です。また生涯にわたってホルモン投与が不可欠になりますから、負担するべき費用は決して安くはならないでしょう。

犬のアジソン病の予防法

犬 アジソン病

アジソン病に関してはこれといった予防法がありません。しかし飼い主さんが犬の体調不良に早く気付いてあげることによって、いち早く苦痛や不快感を取り除いてあげられるのです。
またアジソン病は重いストレスによって病状が進行しますから、なるべく犬にストレスを掛けないような暮らしをさせるべきでしょう。

再発する可能性は?

不足している副腎皮質ホルモンを投与している限りは再発の可能性はありません。
しかし、しばしば甲状腺機能低下症など、他の自己免疫介在性内分泌異常を合併することもありますから、定期的な検診が重要だと言えるでしょう。

愛犬のアジソン病との向き合い方

犬 アジソン病

既述した通りアジソン病は完治することがありません。一生涯ホルモン剤を飲み続けねばならないため、その薬剤費もかなり高額になることが予想されます。
投与する医薬はフロリネフが多く使用されますが、動物病院等での処方の他にも、ジェネリック医薬品の選択や個人輸入なども可能なようです。いずれにせよ医薬品ですので購入先は慎重に選ぶことが重要になります。

▼以下の資料を参考に執筆しました。
※副腎皮質ホルモン(公益社団法人日本薬学会)
※アジソン病(指定難病83)(難病情報センター)

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

◎ライタープロフィール
明石則実 動物ライター

明石 則実/動物ライター

フリーライターとして動物関連や歴史系記事の執筆を多数おこなう。柴犬と暮らす傍ら、趣味の旅行や城めぐりで愛犬と駆け回る週末。
愛犬家の皆さんにとって、お悩みを解決したり、有益な情報を発信することを心掛けています。

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