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健康管理 / 病気

2020.05.31

獣医師監修|犬の前立腺肥大とは?病気の原因や治療法・予防法などを解説

人間の男性もかかるリスクのある前立腺肥大という病気ですが、犬のオスにもよく見られる病気です。その症状を見極めた上で適切な治療を施すことにより、早期の改善が見込めます。犬の前立腺肥大について原因などの概要を説明すると共に、治療法や予防法についても解説していきます。

Author :明石 則実/動物ライター(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬の「前立腺肥大」とは?

犬の前立腺肥大

「前立腺肥大」とは、犬のオスがかかる病気ですが、前立腺が大きく膨らんでしまうことによって、様々な症状が出てくる病気です。

まず前立腺の位置は膀胱に近いところにあり、尿道は前立腺の中を通っています。何らかの原因で前立腺が肥大して尿道を圧迫してしまうと排尿困難となります。また前立腺の直上には直腸がありますから、肥大によって直腸までが圧迫され排便困難を引き起こします。

前立腺肥大の初期症状

前立腺は腹腔内に存在しているため、肥大したとしても外からは見えません。そのため異常が分かった時には病状が進行していることも多くあります。 初期には無症状のことが多く、前立腺の肥大が進むにつれて排尿困難、排便の姿勢はするものの便をしないしぶり、血尿や血便などの症状が現れてきます。

また前立腺が腸や膀胱を圧迫して、会陰部から飛び出す会陰ヘルニアを併発することもあります。

他の犬や人にうつる?

犬の前立腺肥大は、体の内部要因によって起こる病気のため、他の犬や人にうつることはありません。

犬が前立腺肥大になる原因とは?

犬の前立腺肥大

原因はいくつかのことが考えられますが、主要因は雄性ホルモン異常が挙げられるでしょう。また腫瘍による前立腺肥大も考えられるところです。

原因|1.ホルモン異常による原因

ほとんどの原因とされているのが、精巣から分泌される雄性ホルモンであるアンドロゲンの作用によるものです。また前立腺は加齢と共に大きくなる傾向にあります。疾患が疑われる場合は、獣医師による触診や直腸検査、超音波検査などによって正しい診断が下されます。

原因|2.腫瘍によるもの

前立腺に腫瘍ができてしまい、結果的に尿道や直腸などを圧迫するものです。悪性腫瘍の場合は前立腺癌と診断されます。症状としてはホルモン異常の場合と変わりませんが、転移性が高いために周辺の骨盤や腰椎への転移が見られます。重篤となった場合は歩行困難にすらなってしまいます。

前立腺肥大にかかりやすい犬種や年齢

犬種による発生差はほとんどなく、どの犬種にも共通してリスクのある病気です。かかりやすい年齢については、前立腺が肥大傾向にある未去勢のオスで、中年期~シニア期にかけて多く見られます。

犬の前立腺肥大の有効な治療法は?

犬の前立腺肥大

根本的な治療方法としては外科手術が一般的です。前立腺肥大を促進させるアンドロゲンの作用を止めるために、アンドロゲンを分泌している精巣を除去する去勢手術が行われます。去勢後はアンドロゲンの影響がなくなるため、前立腺はやがて小さくなっていきます。

しかし他に重篤な疾患を抱えていたり、高齢犬の場合は麻酔ができないため、抗アンドロゲン薬を用いて内科的治療を施します。

犬の前立腺肥大の治療にかかる費用は?

抗アンドロゲン薬や抗生物質の投与による内科治療と、去勢手術とのセットが一般的です。 犬の身体の大きさによって費用は上下しますが、おおむね3~5万円程度となるでしょう。

犬の前立腺肥大の予防方法とは?

犬 前立腺肥大

最も効果的な予防法は去勢手術をすることです。若齢の時に去勢することで、様々な生殖器疾患のリスクも防げます。ただし前立腺肥大の原因が腫瘍だった場合は、去勢による予防はできません。

再発の可能性は?

ホルモン異常による前立腺肥大の場合、まず再発することはないでしょう。しかし前立腺に腫瘍ができる可能性はゼロではないため、定期的な検診は欠かせないところです。

犬の前立腺肥大との向き合い方

犬の前立腺肥大

一般的には、リスクをなくすために去勢をしておけば決して恐れることはない病気です。また比較的犬の負担も少ないため、適切な治療によって改善することも多いのです。日頃からワンちゃんの排便の様子などを観察しておけば、必ず早期発見に繋がりますので安心してくださいね。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.05.31

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