
犬にとって、靴はどんな場面で必要となるのでしょうか。基本的に健康な犬の日常では靴の必要はありませんが、フローリングなどの床が滑りすぎるとき、また真夏の熱い路面や冬の雪や凍結路面などでは、健康な犬にとっても靴は必要なアイテムの一つ。さらに、岩場や災害時など足場の悪い場所や水遊びなどで肉球がふやけてしまったときにも靴は役に立ちます。
特に、怪我や病気、老犬になったときなど足元に不安がある場合は、靴が大切な足を守る重要なアイテムとなるのです。ただし、はじめのうちは靴を履くことを犬は嫌がるため、脱げにくくストレスを感じにくい靴を慎重に選び、段階的に慣れさせるようにすることがおすすめです。
老犬になってくると、どんな犬にでも歩行に関する問題が出てきます。まず、肉球の老化によって乾燥や摩耗が進み、滑りやすくなります。また、ナックリングといって、足先が丸まり、足の甲で引きずって歩くような症状が出ることがあります。ひどい場合は前後の両足首がすべて折れ曲がった状態で歩こうとする状態になります。足を引きずって歩くことになるため、足の爪や甲は擦れひどい場合は出血してしまいます。
足を引きずる原因は、腕神経叢裂離(わんしんけいそうれつり)という神経の病気の場合がありますが、病気ではなく、老化による筋肉や神経、脊髄の変形などのさまざまな衰えによっても起こります。この場合はおもに後ろ足に症状が出るとされています。
ナックリングでは、痛覚麻痺を伴います。それによって犬自身は痛みを感じないため、引きずって歩くことを止めようとしないのです。最悪の場合は、足を切断せざるを得ない状況になる事もあるので、ナックリングをする前にケアをすることが大切となるのです。
つま先を擦りながら歩いてしまうナックリング。犬自身は、痛みを感じないためにそのまま歩き続けてしまいますが、出血してしまったり爪が折れてしまったりと怪我をする原因にもなります。そんなナックリングの状態から犬の足を守ってくれるのが靴です。老犬用の靴選びのポイントは、履かせやすいことはもちろん、甲の側にもラバーが張ってあること。また、ソールが固すぎないこともポイントです。
HURTTA(フルッタ)社は、活動的な犬と飼い主のためのフィンランドのブランドで、犬、人ともにストレスがなく、安全性を追求したアイテムが揃っています。このアウトバックブーツは、独自開発の新素材Houndtexを使用。撥水や防風、防臭に優れ、速乾性と耐久性も備えています。また、エルゴノミクスデザインなので足にぴったりフィット、ベルクロで脱着も楽にできます。反射テープ付きで夜のお散歩も安心です。
カナダの人気ブランドMuttluks(マットラクス)社は、独創的な犬用フットウェアをリリースし世界的にも評判が高いことで有名です。このMud Monstersは、しなやかに曲がるゴム製で足裏にフィットする靴底、二重の足首ストラップ、開口部が大きく開き着脱が楽なことが特徴です。通気性と滑りにくさ、防水性をあわせ持った幅広いシーンで使用できるブーツです。
米国獣医師の指導の下、足のケガ保護のために考案されあ本格的なブーツが、WALK ABOUT社のナックリング防止用ウォーカーブーツです。靴底は高い弾力性を持つゴム製で帯電防止がされています。また、靴の内側はボア、外側は厚目のクッション材を使用し、足の甲の保護性も高めています。通常のブーツとしても通年使用可能で洗濯もできる優れものです。
犬のアウトドアブランドRUFFWEAR製のオールラウンドブーツSummit Trexは、日常のお散歩からアウトドアまで幅広いシーンに対応可能なデザインです。靴底にはアウトドア用ソールの専門メーカー「VIBRAM」社のアルミ粒子が練り込まれたビブラムアイストレックを採用し、抜群のグリップ力を実現。撥水加工された上部は通気性も確保し、軽くて丈夫な一足となっています。
ナックリングをしている犬は、足先が丸まっている状態で歩いてしまいます。そのため、爪やつま先から出血したり、怪我をしていまいます。このナックリング対策ブーツは、足先を保護するために甲部分に弾力性の高いラバーEVAを採用、広い履き口で脱着も楽に行えるデザインです。裏面は起毛ゴムでグリップ力を高めています。
筋力が弱ってしまったから、足を引きずっているからといってお散歩をあきらめていませんか?年を取っても外の空気を吸い、自分の足で歩くことは犬にとって大切なこと。筋力が弱り足元がふらつく、ナックリングが始まってしまった、そんな時には靴を履かせてお散歩に行ってあげてください。最初のうちは、靴に違和感を感じて上手に歩けないかもしれませんが、すぐに慣れてくれます。また、靴を購入したら家の中で歩行練習をさせることも靴に早く馴染むポイントです。老犬だからと言ってあきらめないで、靴を上手に利用して何歳になっても楽しくお散歩に連れて行ってあげてくださいね。
西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級
ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。