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犬種図鑑

2020.05.16

レトリーバーは全部で6種類いる!それぞれの出身地や特徴を知ってる?

レトリーバーといえば、人気の大型犬ラブラドールレトリーバーとゴールデンレトリーバーを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。人が大好きで優しく賢い、そんなイメージがあるレトリーバーですが、本来は鳥猟犬として作出された犬種です。そんなレトリーバーには、ラブやゴールデン、フラッティが家庭犬として有名ですが、このほかに3犬種あり全部で6犬種が正式に登録されています。今回は、レトリーバー6犬種全ての出身地や体格、特徴を写真付きでご紹介します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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レトリーバーグループって何?その共通点とは

レトリーバー 種類

レトリーバーとは、回収するという意味を持つ英語「レトリーブ」を語源とする名称です。
レトリーバーと名がつく犬種は6種類ありますが、どの犬も祖先犬が同じだと言われています。6犬種中4犬種はカナダのニューファンドランド島からイギリスに渡りイギリスで育種された鳥猟犬です。残りの2犬種は、同じようにニューファンドランド島の犬をアメリカ東海岸で育種したレトリーバー、そしてもう1犬種はカナダ原産のレトリーバーです。
祖先犬は同じですが、どのレトリーバーも詳しいルーツがわかっていないことも事実です。

国によって異なるグループ分け

6犬種ともレトリーバーと名が付き、鳥を回収することを目的として作出されたことは事実ですが国によって分類されるグループが少しずつ異なります。

イギリスでは、バードドッグまたはガンドッグとも呼ばれ、狩猟犬のグループであるガンドッグ・グループに分類されています。日本では、国際畜犬連盟(FCI)と同じ8グループ:7グループ以外の鳥猟犬(RETRIEVERS、FLUSHING DOGS、WATER DOGS)として分類され、スパニエルと同じグループに属しています。また、狩猟を主としないアメリカでは、レトリーバーをはじめ、ポインター、セター、スパニエルが全てスポーツグループに分類されているのです。

レトリーバーに共通する点とは

どのレトリーバーも、特に水鳥を回収することを目的として作出された犬種です。
レトリーバーと他の狩猟犬との大きな違いは、獲物を優しくくわえて運ぶことができるソフトマウスを持っているところでしょう。また、水陸両用の移動能力を持っていることもレトリーバーの特徴です。人間と共同作業をするために生まれてきた犬種であるレトリーバーは、人間が大好きで訓練性が高く賢さと運動能力を持ち合わせていることから、世界中で家庭犬としての人気を不動のものにしているのです。

家庭犬としての人気No.1ゴールデンレトリーバー

レトリーバー 種類

原産国

イギリス
1800年代後半、スコットランドの気候に合う鳥猟犬として作出された犬種がゴールデンレトリーバーです。

起源

狩猟犬のブリーダーでもあったツイードマス卿は、冷たい水の中からでも水鳥を回収してくる猟犬としてだけではなく、高い訓練性と性格の良さ、外観の優雅さを求めてゴールデンレトリーバーの作出を行ったと言われています。ゴールデンレトリーバーの基礎犬は、イエローのフラットコーテッドレトリバーとツイードマス卿が飼育していたツイードウォータースパニエルから作出されました。
さらに、ウォータースパニエル、アイリッシュセター、黒のフラットコーテッドレトリバー、ブラッドハウンド、マスティフなどが育種に採用され、現代のゴールデンレトリーバーが誕生したのです。

特徴

レトリーバーを代表する人気犬種のゴールデンレトリーバーは、温和で優しく賢いことから大型犬の人気ランキングでは常に上位をキープし、家庭犬として世界中で人気のある犬種です。撃ち落とした鳥を回収する鳥猟犬としての能力はもちろん、金色に輝く被毛と賢く優しい性格が特徴です。レトリーバ6犬種の中で特に人間と共に行動することが大好きな面を持っており、これが家庭犬としての人気を得ている理由といえます。

体格

欧米では中型犬に分類されているゴールデンレトリーバーの体格は、オスは体高約56~61cm、体重が約29~約34kg、メスは体高約51~56cm、体重は約24~29kgが標準の体型として推奨されています。見た目は優雅ですが、筋肉質の体つきと羽根飾りのようなフサフサの尻尾、短めの足が理想の体型とされています。

コンパニオンドッグの代表格ラブラドールレトリーバー

レトリーバー 種類

原産国

イギリス
レトリーバー6犬種の中で最も有能なワーキングドッグがラブラドールレトリーバーです。

起源

1800年代、カナダにあるニューファンドランド島で漁師のパートナードッグとして活躍していたセントジョンズドッグをイギリスに連れ帰った貴族によって育種が行われ、作出されたとされているのがラブラドールレトリバーです。イギリスでは狩猟犬として人気が高く、当時は多くの貴族に飼育されていました。その後、アメリカに渡ったラブラドールレトリーバーは、その高い能力、人が好きな性格から使役犬はもちろん、家庭犬として最も人気のある犬種となったのです。

特徴

使役犬として多方面で活躍しているラブラドールレトリーバーは、その高い集中力と人の指示を理解する能力に優れていることで知られています。そんなラブラドールレトリーバーの最も大きな特徴は、自分でオン・オフスイッチの切り替えができるところでしょう。また、訓練性が高く、人のために何かをしたいという意識が強いところも特徴の一つと言えます。

体格

バランスのとれた頑丈な体を持つラブラドールレトリーバーの体格は、オスが体高約67~62cm、体重約29~36kg、メスは体高約54.6~59.7cm、体重約25~約36kgが標準の体型として推奨されています。カワウソの尾と呼ばれている太く先細りの尻尾は、水の中で舵として機能することが特徴です。

優雅な容姿が人気のフラットコーテッドレトリーバー

レトリーバー 種類

原産国

イギリス
レトリーバーの中で最も長いマズルを持つフラットコーテッドレトリーバーは、成長がゆっくりなことからピーターパンの愛称で親しまれています。

起源

ラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーが誕生する30年以上前から鳥猟犬として活躍していたフラットコーテッドレトリーバーは、レトリーバー種の中で最も優秀な能力を備えていると言われています。ハンターの要望を全て叶える犬として作出されたフラットコーテッドレトリーバーは、セントジョンズドッグ、ニューファンドランドを基礎犬として、アイリッシュレッドセッター、イギリスのネイティブコリー種が育種に加わっています。

特徴

美しい容姿と明るい性格が人気のフラットコーテッドレトリーバーは、鳥が撃ち落とされるまでハンターのそばでじっと待つこと、鳥を傷つけることなく咥えて回収してこれるソフトマウス、水に濡れても困らない被毛そして頭の良さと鳥猟犬に必要とされる要素全てを兼ね備えていることが特徴です。また、尻尾をブンブン振って喜びを表現する天真爛漫な性格もフラットコーテッドレトリーバーの愛すべき特徴の一つです。

体格

美しくしなやかな体型が特徴のフラットコーテッドレトリーバーの体格は、オスは体高58~62cm、メスは体高55.8~59cm、体重はどちらも約27~31kgが標準の体型として推奨されています。光沢のある被毛と羽根飾りが付いている尻尾と脚、そして長いマズルがフラットコーテッドレトリーバーの特徴です。

レトリーバーの元祖カーリーコーテッドレトリーバー

レトリーバー 種類

原産国

イギリス
6種類のレトリーバーの中で最も古い犬種だと考えられているのがカーリーコーテッドレトリーバーです。

起源

1800年台のイギリスで、ポインタやセターに代わる鳥猟犬として誕生したとされているカーリーコーテッドレトリーバー。誕生の起源ははっきりとはわかってはいませんが、カナダのニューファンドランド島からやってきた黒い犬を基礎犬として、イングリッシュウォータースパニエル、レトリービングセッターやアイリッシュウォータースパニエルなどが育種の過程で加わったのではないかと推測されています。

特徴

レトリーバーらしからぬ、まるで羊のようなくるくるの巻き毛が特徴のカーリーコーテッドレトリーバー。ラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーが、人との仕事をこよなく好むのに対して、カーリーコーテッドレトリーバーは独立心が強い性質であることが特徴で、家族の誰とでも仲良くするというよりは、一人の飼い主を大切にするタイプです。誰とでもフレンドリーにできるラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーに比べて、見知らぬ人に対して警戒心が強く、番犬として活躍できることも大きな特徴と言えます。

体格

イギリスのみならずオーストラリア、ニュージーランドでも鳥猟犬として人気の高いカーリーコーテッドレトリーバーの体格は、オスは体高63.5~68.5cm、メスは体高58~63.5cm、体重はどちらも約27~43kgが標準の体型として推奨されています。均整のとれたスマートな体つきが特徴です。

アメリカ生まれのチェサピークベイレトリーバー

レトリーバー 種類

原産国

アメリカ
チェシーの愛称で親しまれているアメリカ東海岸生まれのチェサピークベイレトリーバーは、個性豊かでタフなレトリーバーです。

起源

1807年、チェサピーク湾を航行中に難破したイギリスの船から助け出されたニューファンドランド、セントジョンズの2頭の犬がチェサピークベイレトリーバーの祖先犬であると言われています。有能な回収犬を必要としていたチェサピーク湾の鳥猟ハンター達によって、この2頭の犬を基礎犬としてカーリーコーテッドレトリーバーやフラットコーテッドレトリーバーがなどとの育種が行われ、チェサピークベイレトリーバーが誕生したとされていますが詳しいことはわかっていません。

特徴

チェサピークベイレトリーバーの最大の特徴は、チェサピーク湾の寒い気候、冷たい水の中でも回収作業ができる触ると油っぽさを感じるオイリーな被毛を持っているところ。また、イギリスのレトリーバーがフレンドリーであることに対し、頑固さや独立心を強く持っていることも特徴の一つです。厳寒の気候に強く、撃ち落とされたカモめがけて水草の中を突き進んでいく勇気と運動能力、そして自信にあふれた気質がチェサピークベイレトリーバーの特徴です。

体格

厚めでオイリーな被毛で覆われた筋肉質の引き締まった体のチェサピークベイレトリーバーは、オスは体高58.4~66cm、体重約29.4~36kg、メスは体高53.3~60.9cm、体重約24.9~31.7kgが標準の体型として推奨されています。実猟犬としての能力を求められたチェサピークベイレトリーバーは、頑丈でバランスとのれた体格が特徴です。

最小のレトリーバー、ノヴァスコシアダックトーリングレトリーバー

レトリーバー 種類

原産国

カナダ
レトリーバ6犬種の中で最も小さい犬種で、「トーラー」「デコイドッグ」とも呼ばれているのがノヴァスコシアダックトーリングレトリーバーです。

起源

ノヴァスコシアダックトーリングレトリーバーは、カナダ東海岸にある三方を海に囲まれたノヴァスコシア州のリトルリバー地区で19世紀に誕生しました。その誕生の正確な起源は不明ですが、ノヴァスコシアの原住民であるインディアンが飼っていたキツネに似た犬をモデルにして作出されたと言われています。基礎犬は、他のレトリーバーと同じセントジョンズドッグですが、コイケルホンディエ、スパニエル系、セター系そしてコリー種が育種の過程で加えられたとされています。

特徴

小型のゴールデンレトリーバーと間違われることも多いノヴァスコシアダックトーリングレトリーバーですが、その運動能力、高いエネルギーはゴールデンレトリーバーの性質とは全く異なります。ノヴァスコシアダックトーリングレトリーバーの大きな特徴は、撃ち落とした鳥を回収するだけではなく、水辺をバシャバシャ音を立てて走り回り、遠くにいる鳥をおびき寄せる役割を果たすところ。抜群の運動能力は、レトリーバー界のボーダーコリーと言われるほどです。キツネによく似た動きができる唯一のレトリーバーで、この動きがアヒルやカモの興味をそそると言われています。現在では、カナダより北欧で人気がある犬種ですが、実猟だけではなくドッグスポーツの世界でも高い運動能力を発揮しています。

体格

胸や足に入っている白いマーキングが特徴のノヴァスコシアダックトーリングレトリーバーは、オスは体高45.7~53cm、、メスは体高43~50.8cm、体重はどちらも約15.8~22.6kgが標準体型として推奨されており比較的小型な体格が特徴です。

個性豊かな6種類のレトリーバーたち

レトリーバー 種類

人間の良きパートナーとして作出されたレトリーバーですが、実はどのレトリーバーも明確なルーツがわからない犬種なのです。共通しているのは、カナダのニューファンドランド島にいたセントジョンズドッグと呼ばれる黒い犬が祖先犬であることです。現在は残念ながら絶滅してしまっていますが、このセントジョンズドッグがどんな性質の犬であったのか、とても興味が湧きますね。

レトリーバーと一括りにしても、6犬種それぞれ性質や運動能力が異なる点も興味深い点です。レトリーバーファンならずとも、6犬種全てに出会ってみたいと思いませんか。どこかでゴールデンやラブ、フラッティ以外のレトリーバーを見かけたら、ぜひこの記事を思い出してみてください。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

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