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タロとジロ
犬種図鑑
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2021.10.06

樺太犬は絶滅したの?タロとジロで有名な犬種が辿った歴史と現在とは

映画「南極物語」で一躍その名が知られるようになった樺太犬(からふとけん、からふといぬ)。タロとジロと聞けば、イメージが浮かぶという方も多いのではないでしょうか?しかし最近の調査によると、樺太犬は別の犬種との交配が進んだことで姿を消してしまった説が有力とされています。
今回は、樺太犬の歴史をひも解きつつ、本当に絶滅してしまったのか?その真相を探っていきたいと思います。

明石 則実/動物ライター

樺太犬が歩んだ歴史

樺太犬の歴史

かつては犬ぞりや荷物運搬、狩猟犬などの役目を務め、人と生活を共にしてきた樺太犬ですが、まずその歴史をみていきましょう。

使役犬として活躍していた樺太犬

樺太犬は、北海道よりさらに北にある樺太(サハリン)や千島列島などで、アイヌ人によって作り出された犬種だとされています。その祖先はイースト・シベリアン・ライカシベリアン・ハスキーのような北方系スピッツだという説もあり、ハバロフスク地方やアムール川流域から渡ってきたのだとも言われます。

夏には舟を曳き、冬には犬ぞりや狩猟などで活躍していたらしく、人々の暮らしと切っても切り離せない存在だったことでしょう。江戸時代の探検家間宮林蔵も、サハリンを探訪した際に「どの家でも飼っているが、犬をかわいがり、とても大切に養っている。」と記しているそうです。

寒さに強いため、寒冷地で大活躍!

明治時代に入ると、樺太犬は北の大地で活躍する軍用犬の役目も負うことになりました。特に有名なのは、明治45年に白瀬中尉たちの乗る犬ぞりを引いて南極を探検した樺太犬たちでしょうか。

戦後、日本が南極観測をする際に連れて行ったのも樺太犬たちでした。現地に取り残されながら、1年もの間ずっと生き延びたタロとジロのエピソードも思い出されます。やはり寒い気候にめっぽう強く、粗食にも耐えられるのが樺太犬の特徴だと言えるでしょう。

他の犬種と交配が進み、姿を消していった樺太犬

日本が高度成長期を迎えて、車や機械が広く一般的になると、樺太犬本来の役目も奪われていきました。犬ぞりを引くこともなくなり、荷物を運搬しなくなった樺太犬たちは野に放たれたり、他の犬種と交配が進んで徐々に雑種化していったのです。

柴犬や四国犬などのように天然記念物に指定され、保護されていればそのようなことはなかったのでしょうが、樺太犬の場合は無方策のまま雑種化が進むことになりました。

さらに北海道でエキノコックスが流行したことに伴い、1970年代には樺太犬の純血種はほぼいなくなりました。また旧ソ連でも相当数が生息していたはずですが、単に「大食い」という理由だけで人為的に姿を消してしまったと言われています。

樺太犬の特徴とは?

樺太犬の特徴

樺太犬は北方系スピッツと同系統というだけあって、ハバロフスク地方原産のイースト・シベリアン・ライカと風貌が非常に似通っているとされています。その特徴とはどのようなものなのでしょうか?

体が大きく力持ち!たくましい体躯を持つ犬

樺太犬の体高は54~67センチほどで、体重は22~45キロほどです。日本犬で言えば秋田犬にも匹敵するほどの大型だということが分かります。骨格はたくましく筋肉質で、特に犬ぞりをひくために前脚の筋肉が発達していたといいます。

被毛はダブルコートで毛色には様々な種類があり、黒、灰、茶、白、または黒白が混じった個体がいたそうです。

樺太犬の性格はどんなだった?

樺太犬の性格

樺太犬は厳しい気候や自然の中でも耐えられるよう、非常に忍耐強かったと言います。では、樺太犬の性格についてもみていきましょう。

忍耐強く勇敢!

タロとジロが生き延びたように、樺太犬の性格の特徴としてまず忍耐強さが挙げられるでしょう。

また飼い主に対して従順で忠実、勇気もあって狩猟本能にも秀でていました。絶えず厳しい生活環境で暮らしている以上、指示に従うことが生きていくために必要なことだと理解していたのでしょう。

樺太犬は絶滅した?

樺太犬、絶滅の危機

日本では1970年代に姿を消したとされている樺太犬ですが、もう見られることはないのでしょうか?

2016年まで純血種が生きていた?

記事執筆時点での活動状況は「休止中」とのことですが、北海道に「樺太犬保存会」という任意団体が存在しています。サハリン北部のネクラフスカ村で純血種の樺太犬を飼育しているというリュビフ氏から、5頭の樺太犬を譲り受けて飼育されていたそうです。

しかし2016年に亡くなった最後の1頭を調べてみたところ、樺太犬特有の骨の丸みがなかったらしく、純血種の樺太犬ではないことが判明しました。学術的には「雑種化が進み、もはや以前の樺太犬はいないと考えられる」と結論付けられました。

参考文献

樺太犬純血種の子孫がどこかにいるかも?

南極で生き残ったジロの子孫が日本にいる?そんなことが静かに囁かれています。確かに同じ樺太犬のメスとの間に8頭の子犬が産まれていますし、その子犬たちは日本全国へ散らばったと言いますから、どこかに純血種の樺太犬がいるのかも知れないですね。

樺太犬の資質を持った犬はたくさんいる

樺太犬の資質を持った犬

樺太犬の純血種が姿を消してしまったという可能性は限りなく高いでしょう。しかし雑種化したといっても、樺太犬の風貌や忍耐強い気質を受け継いだ子孫たちはいまだに暮らしているかもしれません。また、樺太犬とよく似たイースト・シベリアン・ライカは独立した犬種として認定もされています。タロとジロのストーリーも語り継がれ、そういった意味で樺太犬の記憶はいつまでも生き続けることでしょう。

  • 公開日:

    2020.05.22

  • 更新日:

    2021.10.06

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ライター・専門家プロフィール
  • 明石 則実
  • 動物ライター
  • フリーライターとして動物関連や歴史系記事の執筆を多数おこなう。柴犬と暮らす傍ら、趣味の旅行や城めぐりで愛犬と駆け回る週末。 愛犬家の皆さんにとって、お悩みを解決したり、有益な情報を発信することを心掛けています。