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犬にまつわる雑学

2020.05.09

犬好きの憧れの国イギリス|犬の社会的地位が確立されているってどんな状態?

動物愛護の国、愛犬国家とも呼ばれるイギリス。イギリス人の犬好きは世界的にも有名です。そんなイギリスでは、レトリバーをはじめたくさんの犬種が誕生した国でもありますよね。また、犬を大事にする文化や法律があることもイギリスならでは。この記事ではそんなイギリスの犬の飼育事情や日本との意識の違いについてご紹介します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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現代の人気犬種の多くはイギリスで誕生している

イギリス原産の犬

無類の犬好きとして知られるエリザベス女王を筆頭に、古くから犬と共存し、犬を愛してやまないイギリス国民。そんなイギリスでは、古代より狩猟犬をはじめ牧羊犬などさまざまな使役を持つ犬と共に生活を育んできた歴史を持ちます。イギリス人と犬との歴史を紐解くと、いかに数多くの犬種がイギリスで誕生したのかが分かります。

イギリス原産の犬種は約64犬種

ドッグショーの原型である犬の品評会を始めたイギリス人は、さまざまな国の犬を基礎犬として用途に応じた能力を持つ犬種を誕生させたことで知られています。有名なところでは、カナダから船に乗ってイギリスにやってきた犬を基礎犬として誕生させたラブラドール・レトリバー、害獣を退治する犬テリアを犬種として確立させたことなど、イギリス人が現代の人気犬種を数多く生み出したことは、日本ではあまり知られていません。

イギリス原産の人気犬種とは

イギリスには、現在900万頭の犬が飼育されていると言われています。イギリスで人気の犬種は、日本で人気の犬種とはちょっと違います。その理由は、イギリスではその犬種の持つ特性を生かし、現代でも人間のパートナーとして活躍していることが挙げられます。そこで、イギリス原産の日本での人気犬種やイギリス人に人気の犬種をご紹介しましょう。

イギリスで人気の大型犬は日本でも人気が高いレトリバー

レトリバーとは、撃ち落とした鳥を回収する役割を持つ犬種のことで、狩猟が盛んだった19世紀のイギリスで生まれたガンドッグです。レトリバーには6犬種ありますが、中でもイギリスが生んだ傑作と言われているラブラドール・レトリバーは、現代のイギリスでも人気NO.1。次に、人気の高い犬種が日本では人気NO.1のゴールデン・レトリバーです。

イギリスで人気の小型犬種は

イギリスでも日本と同じように小型犬が人気です。しかし、日本での人気の理由とイギリスでの人気の理由は大きく違います。イギリス原産の犬種の多くは、「イングリッシュ」や「スコティッシュ」「ヨークシャー」など、誕生した地区の地名が犬種名につけられています。これは犬とのパートナシップを大切にしてきたイギリスの人々が、その地方のニーズに合わせた犬の育種に主軸を置いてきたためです。

中でも人気の犬種として、イングリッシュコッカースパニエル、イングリッシュスプリンガースパニエルといった猟犬種に加え、テリア種、イングリッシュブルドッグや他国産でありながら王室の犬として知られるパグやポメラニアンがいます。

イギリスが生んだテリア種は23種類

イギリスと言えばテリアと言われるほど、イギリスには数多くのテリアがいます。日本でも人気の高いジャックラッセルテリアをはじめ、ヨークシャーテリア、ワイアーフォックステリア、ウエストハイランドテリア、エアデールテリアなどイギリスには実に多彩な種類のテリアがいますが、犬種としてのテリアの誕生についてはよく分かっていません。

もともとは、地方の農家で飼育されていた害獣駆除犬が起源とされているテリアですが、貴族や猟師によってその用途に合わせて改良され、現在に至っているとされています。テリア気質とも呼ばれる独特の性質を持つテリアですが、イギリス人にとっては家庭犬というより作業犬として大切なパートナーなのです。

世界でトップクラスの犬・先進国イギリス

イギリスの風景と犬

世界の中でも抜き出て犬好きな国民がイギリス人。時には、人間より犬のほうが優遇されるという犬天国のお国柄から、犬の社会的地位の高さも日本とは比べ物にならないほど。日本の犬好きから見ると羨ましい限りのイギリスの犬事情をご紹介します。

犬と一緒に公共交通機関に乗れる

日本でも最近では、犬と一緒に乗れるフェリーや飛行機のプランなどが登場し話題となっていますが、イギリスではバス、電車をはじめフェリーなどの公共交通機関には犬と一緒に乗ることができます。もちろん小型~大型犬のサイズも関係なく料金は無料。ケージなどに入れる必要もありません。また、首都ロンドンでは地下鉄条例によって犬を同伴して地下鉄に乗車することが認められていることも、犬を家族と考えているイギリスならではと言えます。

パブやアフタヌーンティーにも同伴できる

日本では、犬を同伴してお茶を飲んだり食事ができる場所は、「ドッグカフェ」と名付けられたお店がメインとなりますが、イギリスでは街角にあるカフェやパブに犬を同伴できます。イギリスと言えばアフタヌーンティーが有名ですが、もちろんそんな午後のひと時も犬を同伴して過ごすことができます。またパブとは、イギリスを象徴するいわば大衆居酒屋のようなお店。そんな大勢の人が集まりお酒を提供する店でも犬の同伴が可能です。

緑地や公園ではノーリードがあたりまえ

日本では、公園への犬の立ち入りが禁止されるなど犬への風当たりが強い風潮がありますが、イギリスではほとんどの公園で犬のお散歩ができます。そして、ノーリード禁止の表示がされている場所を除き、多くの公園ではノーリードのお散歩が可能と羨ましい限り。首都ロンドンにも広大な公園があり、自由に犬のお散歩を楽しむことができます。

犬と一緒に泊まれるホテルが多数ある

犬と一緒に旅行したいと考える時に大きな課題となるのが宿泊施設です。日本の場合は、一般のホテルではなく「犬と一緒に泊まれる」ことを看板に掲げている宿泊施設にのみ犬を同伴して宿泊することができます。一方、イギリスでは五つ星のホテルや歴史ある宿泊施設であっても「ペットフレンドリー」と掲げられていれば、犬を同伴することが可能です。

日本と大きく違うイギリスの犬飼育事情

犬とイギリスの街並みを歩いている様子

動物愛護の先進国として知られているイギリスでは、犬に対する考え方が日本とは圧倒的に違います。イギリスには、古代から牧畜犬、猟犬と共に暮らしてきた歴史がありますが、庶民の間で闘犬が流行した時代もありました。そんな時代を経て、イギリスでは犬と人間が最高のパートナーとして暮らしていくための法整備をはじめとした社会全体のシステムが構築されていったと言えるのです。

イギリスの犬は犬らしく生きている

イギリスで暮らしている犬たちと日本の犬たちとの大きな違いは、「犬らしく」生活できているかいないかということに他なりません。イギリスでは、特に犬を飼う前に犬を動物として認識し尊厳を守り、犬という動物の生態を理解することが求められます。水たまりで泥んこになったり、広い公園で思いっきり走ったり、飼い主とドッグスポーツを楽しんだりとイギリスの犬たちは思いっきり体を動かし犬としての能力を存分に発揮できる生活を送っているのです。

一方、日本に暮らす犬たちは、犬種関係なく動くぬいぐるみのような愛玩動物として捉えられていることが多く、綺麗に着飾ったり、美しくグルーミングすることに力を注がれているようです。犬らしさやしつけよりも見た目を重視されている日本の犬たちは、イギリスの犬と比べて、犬が本来持つ能力を発揮する場面があまり与えられていないことも事実です。

イギリスの犬はしっかりとしつけされている

イギリスの犬が、どこにでも自由に出入りでき、また公共交通機関にも乗れる背景には、イギリス人が犬好きであることのほかに、しつけがきちんとされていることが挙げられます。イギリスでは、パピーを迎えると飼い主も一緒にブリーダーの元やしつけ教室に通います。

日本でよく見られる犬のようちえんやトレーニングスクールのようなあずかり方式ではなく、飼い主も一緒にしつけ教室に通い、基本的なしつけを勉強します。自宅では、家族全員でしつけに参加していることも日本との大きな違いと言えます。

英国流のお留守番とは

イギリスでは、ケージで1日中お留守番させるという生活スタイルはありません。お留守番をさせる場合は、室内の決められた場所でフリーにしていることが普通です。ケージに1日中閉じ込められている日本の犬たちとの大きな違いと言えます。またイギリスでは、共働きや外出でお留守番をさせる場合、ドッグシッターに自宅に来てもらう、ドギーデイケアで犬を昼間預かってもらう、お散歩専門のドッグウオーカーを頼むことが普通です。

そのためには、犬を迎える前にさまざまなケースやかかる費用を想定し、本当に自分たちが犬と暮らすことが可能でまた犬を幸せにできるかを真剣に考えるのです。

イギリスのペットショップで子犬は販売していない

イギリスで犬を迎える場合は、政府発行のライセンスを持っているブリーダーまたはアニマルシェルターからとなります。イギリスの大きな特徴は、繁殖、子犬の販売について厳しいルールが定められていこと。日本のペットショップのように、小さな子犬が展示販売されていることはありません。犬が母犬といるべき時期は母犬から引き離さないことが厳格に定められているのです。

これは健全な犬として育つために必要不可欠なことで、この大切な時期に母犬と過ごすことを重要視しているからです。犬の生態を理解しているイギリスならではのルールと言えます。

イギリスで暮らす犬はありのまま

イギリスの広大な自然の中で家族として歩く犬

イギリスの犬たちは、各地にある広大な公園で、いつでもノーリードでのびのびと遊び、時には飼い主の飲み会や旅行にも同伴する、とても羨ましい環境で暮らしています。イギリスと日本との最も大きな違いは、犬との快適な暮らしを送るために、飼い主はルールやマナーを守り、犬にしっかりとしたしつけをして社会性をもたせていることです。犬は、家族の一員でありアクセサリーやぬいぐるみではないことを小さな子供までがしっかりと認識していることが、大きな特徴でもあります。

「子供が生まれたら犬を飼いなさい」という有名なことわざはイギリスの古いことわざだと言われています。生涯を通して犬は子供に命の大切さを教えてくれるという意味を持つこのことわざ。イギリス人が古来より深く犬を理解していたことがよくわかる言葉だと思いませんか?社会全体で犬との暮らし方を考え、そしてルール作りをしているイギリスは、犬がありのままの姿でいられる国と言えるかもしれませんね。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

  • 更新日:

    2020.05.09

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