
犬が身体を掻くかゆみの理由はたくさんあります。アレルギー症状、皮膚病などの病気、真菌や雑菌の増殖、ノミダニなどの寄生虫、怪我の治りかけ、被毛や皮膚の乾燥、換毛期の抜け毛などが主な理由としてあげられます。強いストレスを感じたり不安や緊張などの心因的理由でも、かゆみや違和感を感じて身体を掻くこともあり、癖になってしまっている可能性もあります。
かゆみを伴う犬の病気はたくさんあります。普段より掻き方やかゆがり方が異常である、執拗に同じ箇所を掻く・舐める・噛む・床に擦るなどしている、脱毛やフケがある、発疹やブツブツしたものが皮膚にできている、などの様子がみられたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
ノミダニ、埃やハウスダスト、食べ物などのアレルゲンによって引き起こされる皮膚炎です。
ヒゼンダニに感染することで激しいかゆみや脱毛の症状がでます。
耳内への水の浸入、ダニの寄生、細菌感染などさまざまな原因によって起こる炎症。症状が悪化すると中耳炎、内耳炎にまで発展します。
糸状菌という真菌に感染することで起きる円形脱毛が特徴的な皮膚病。人にも感染することがある人畜共通感染症です。
皮膚に常在しているブドウ球菌による感染症。体調不良や不衛生管理で皮膚の抵抗力が低くなると発症し、発疹ができかゆみや脱毛に襲われます。
犬が身体を掻くのにはかならず原因があります。この原因をきちんと知り、正しい対策でかゆみの予防をしてあげましょう。
アレルゲンとなっている対象を早めに知り、速やかに排除してください。場合によってはフードや生活環境を変える必要があります。
薬で予防して、散歩や外出時には草むらや深い茂みなどに入らせないようにしましょう。遊んだあとや帰宅前には犬や自分の身体をチェックして、室内に持ち込まないように注意してください。
犬の生活環境を清潔に保ち、免疫力や抵抗力を下げず健康的でいることが大切です。シャンプーやブラッシングは定期的に行い、肛門付近や耳の中もきちんと洗浄しましょう。ただしシャンプーは誤った方法で行うと逆効果になり、皮膚炎などを引き起こしてしまいます。
犬のケアとしてシャンプーは欠かせませんが、皮膚や被毛を守るためには注意が必要です。シャンプーの回数が多いと、皮膚や被毛を守るために分泌されている油なども洗い流してしまい、乾燥や抵抗力の低下に繋がります。被毛があまり濡れていない状態でシャンプーを使用すると、被毛にも皮膚にもあまりよくありません。人が手で触って少しぬるいと感じる程度のお湯で、まんべんなく濡らしてからシャンプーをしましょう。シャンプー液は丁寧にきちんとすすぎ、乾かし残しがないように乾燥させてください。
犬が身体を掻く理由や考えられる病気はたくさんあり、ときには人にも感染することがあります。日常のちょっとした予防や対策で、それらのリスクを軽減することは可能です。飼い主さんと愛犬の健康を守るために、小さな事からきちんと対策しましょう!
みなみ 愼子/名古屋ECO動物海洋専門学校非常勤講師 動物福祉・倫理学、ホリスティックケア・インストラクター
非常勤講師のほか、ペットマッサージやアロマテラピーの教室を開講しており、犬の保護施設でもペットマッサージのボランティア活動を実施中。一緒に暮らしている犬はロットワイラー、フレンチブルドッグ、MIX犬の3頭で、犬との伸びやかな暮らしを楽しみたいと思っています。