犬種によって平均体重は決まっているものの、体格の違いなどによって適正体重には個体差があるため、肥満度は分かりにくいものです。
犬の理想的な体脂肪率20%台(20~29%)と言われています。
20%以下なら痩せ気味、30%を超えると太り気味、それ以上を太りすぎと分類されます。
花王が行った調査によると、5,000頭を超える健康な家庭犬の体脂肪率の計測を実施したところ、4頭に1頭は肥満という結果も出ています。
犬の場合、愛犬が肥満かどうかを判断するためにボディ・コンディション・スコア(BCS)という評価基準が使われています。
犬の腹部(側面)と背中(上面)から見たくびれの状態を目視し、脂肪の厚さを触って確認することで5段階で肥満度を評価するというものです。
しかし、毛量が多い犬種などは判断するのが難しい場合もあり、評価する人によって結果が変わるアバウトな肥満度しか知ることができません。
私たち人間でも肥満によって様々な病気のリスクが高まると言われていますが、それは犬も一緒です。
体脂肪率が高いことによって、関節疾患、心疾患、糖尿病、麻酔のリスクなどに影響があると言われています。
また、脂肪が多いと体内の熱を閉じ込めてしまうため、体温調節が難しくなります。そのため、暑い季節や冬の暖房によって熱中症を引き起こしてしまうこともあるのです。
愛犬の正確な体脂肪率を把握することによって、肥満度が分かるだけでなく適切な食事の量を算出することも可能です。また、見た目では判断できない体脂肪率を計測することで、将来的な病気の可能性を見極める判断材料の一つになります。
人間の体脂肪率は、体重計に乗れば自動で測ることができますが、犬の体脂肪率を測れる機械は家電量販店でも見かけることはありませんよね。では、どのように犬の体脂肪率を計測すればいいのでしょうか?
動物用に開発された体脂肪計は、一般的な人用体脂肪計と同じく体内に微弱な電流を流して計測する「生体インピーダンス法」を採用しているため、愛犬が痛みを感じることはなく負担も全くありません。
背中の被毛をかき分けて、皮膚に直接電極をあてて計測するだけなので、愛犬が負担を感じることはありません。
花王(株)と大和製衡(株)との共同開発されたヘルスラボ体脂肪計は、動物病院専用のため一般への販売を行っていません。
正確に計測して、その体脂肪率から食事の改善や減量プログラムなどを獣医師が検討する必要がありますし、理想の体脂肪率を目指すためには獣医学的な知識が必要になるからです。
そのため、体脂肪計を導入している動物病院へ行って計測してもらう必要があります。
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体脂肪率は、日々変動していきます。現在では、日本全国で体脂肪計を導入している動物病院があります。かかりつけの動物病院で行われているか確認し、導入しているようなら病院を訪れたときには、体脂肪率を測ってもらうようにしましょう。
関 ゆりな/ドッグライター
ビションフリーゼのココメロ(1歳)とのんびり暮らすフリーランスライター。ココメロの健康のため栄養満点の手作り食を作るべく、栄養学について勉強中。
長年犬を飼ってきた経験を元に、愛犬との生活がより充実できるような、愛犬家の皆様のためになる情報発信を目指します。
阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師
茨城県出身。日本獣医生命科学大学を卒業し、認定動物看護師の資格を取得。千葉県の動物病院に勤務後、動物用医薬品販売代理店にて動物病院への営業を経験。犬とのより良い暮らしをサポートできるよう、飼い主の方の気持ちに寄り添いながら、安心して正しい情報をお伝えできるよう心がけています。