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健康管理 / 病気

2020.09.10

犬の膿皮症は高温多湿な季節に注意!原因・症状・治療法を解説【獣医師監修】

犬が後ろ足で身体を掻く、湿疹やニキビのような跡ができている、もしかしたらそれは「膿皮症・のうひしょう」が原因の皮膚トラブルかもしれません。梅雨から秋の台風時期にかけては、高温多湿でジメジメするので、全身が体毛で覆われている犬にとっては皮膚トラブルを起こしやすい季節と言えます。
今回は犬の膿皮症について、症状から原因、治療法、かかる費用までを獣医師監修のもと解説していきます。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:江野 友紀/認定動物看護士)

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犬の膿皮症とは?

犬 膿皮症

犬の膿皮症は、皮膚の細菌感染が原因で引き起こる炎症性の皮膚疾患です。

主な原因菌はブドウ球菌ですが、実はこのブドウ球菌、健康な犬の皮膚にも普通に存在する細菌、つまり「常在菌」なのです。

普段は悪さをしない常在菌のブドウ球菌が、皮膚の環境変化などが原因で異常に増殖し、悪さをするようになって病気になったものが膿皮症です。

どんな症状がでるの?

感染している部位などにより症状は様々ですが、犬の膿皮症では皮膚の表面や毛穴などに異変がみられます。

一般的には、全身(主に背中やお腹)に「丘疹・きゅうしん」と呼ばれるブツブツ、膿のカサブタがみられます。また、膿の袋である膿胞や、膿胞が破けた後の皮が残っている状態の表皮小環、痂皮(フケ)などを伴って皮膚が赤くなります。

毛穴に生じる異変として脱毛があります。抜けた毛にカサブタが付いてきたり、毛穴がブツブツしたりカサブタがみられたりするので注意して観察しましょう。

ほかの犬や人にうつる?

膿皮症の原因菌は健康な皮膚にも存在する常在菌で、肌表面のバリア機能が低下することで炎症を起こす病気のため、ほかの犬にうつることも人にうつることもありません。

犬が膿皮症になる原因と予防法

犬 膿皮症

犬が膿皮症になる原因はさまざまです。主なポイントごとに予防法を見ていきましょう。

スキンケア

膿皮症は、皮膚のバリア機能の低下により引き起ります。そのため、健康的な皮膚を維持するための日常的なお手入れが欠かせません。シャンプーやブラッシングで、小まめにお手入れして皮膚を清潔に保つことが大切です。

しかし、ここで注意しなければいけないのが、間違ったスキンケアをおこなうことで症状を悪化させたり、皮膚のバリア機能を更に低下させたりしてしまうことです。膿皮症を防ぐためには、正しいシャンプー方法を知ってかかりつけの獣医師と相談しながら実践することがおすすめです。

また長毛種の場合は、特に高温多湿になる季節にはトリミングサロンで毛を短めにカットしてもらうと、通気性が良くなるだけでなく飼い主も管理がしやすくなります。

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空調管理にも気を付けて

室内飼育の場合は適宜換気したり、エアコンで室温管理しましょう。湿気の多い環境下では皮膚病が悪化しやすいので、湿度の管理も大切です。

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎

食物アレルギーを持っている子の場合は、アレルギー症状が皮膚に出ることで肌表面の常在菌のバランスが崩れてしまうこともあります。

また、アトピー性皮膚炎を患っている子は、皮膚のバリア機能がもともと弱いため、膿皮症を発症しやすいケースがあります。

いずれの場合も元となる疾患の治療をおこなう必要があるので、信頼できる動物病院を受診しましょう。

食事管理にも気を付けて

犬の食事は、皮膚の健康に大きく影響します。人の食べ物やおやつを与えていると皮膚の抵抗力を落としてしまう可能性があるので、栄養バランスのとれた総合栄養食を与えましょう。皮膚の健康を考えて作られたフードも販売されているので、どのようなフードが良いか獣医師に相談してみましょう。

ホルモン異常

ホルモンは、皮膚と被毛を健康に保つために不可欠な存在です。犬の身体の中では、様々な種類のホルモンが互いに作用しながら働いていることで、皮膚状態をはじめとする全身のバランスをとっています。

このホルモンの分泌量が過剰になったり過少になったりすると、皮膚の状態もバランスを崩して膿皮症のような疾患を発症しやすくなってしまいます。

この場合も、膿皮症の治療に加えてホルモン異常の原因の特定が必要ですので、かかりつけの獣医師に相談のうえ治療を進めていきましょう。

膿皮症になりやすい犬種は?

膿皮症は、毛が多い犬種(シェットランドシープドッグなど)や毛が短く硬い犬種(ミニチュアピンシャーやフレンチブルドッグなど)、そしてアレルギー性皮膚炎を発症しやすい犬種(シーズーやパグなど)において引き起こりやすい病気です。

特に、梅雨から夏や台風の時期など、高温多湿になる季節に多くみられます。

犬の膿皮症の治療法

犬 膿皮症

犬の膿皮症には、内服薬や外用薬を用いるのが一般的です。治療の補助として、薬用シャンプーを使ったシャンプー療法がおこなわれます。

内用薬・塗り薬による治療

全身に症状が広がっている場合は、抗生物質を飲ませます。膿皮症は比較的再発しやすく根気強い治療が必要な病気ですので、投薬期間は忘れることなくしっかりと薬を飲み切ることが重要です。内服が難しい場合は、1回の注射で2週間効果が続く抗生物質を使用することもあります。

症状が局所的な場合には、抗菌クリームなどの外用薬を塗布して治療をおこなうことがあります。

薬用シャンプーでのケア

薬を使っての治療の補助として、薬用シャンプーでのケアが有効です。
シャンプー療法をおこなう場合は自己判断で実施せず、必ずかかりつけの獣医師に相談して、皮膚の状態に合わせて正しくおこなうようにしましょう。

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膿皮症を悪化させる病気の治療も必要

膿皮症は、背景に隠れている病気によって悪化する可能性があります。悪化の原因となり得る病気についても、動物病院で定期的に診察を受けて、適切な治療を受けることで皮膚病の管理をしやすくなります。

治療費用と完治までの時間

治療開始から1か月~2か月程度でほとんどの場合は良化しますが、膿皮症は非常に再発しやすい病気です。根気強く治療に向き合う必要があります。

治療には、おおよそ2万円ほどを目安とした費用がかかります。これには、診察料、検査料、内用薬、外用薬、サプリメントを含みます。(※1)

なお、細菌培養検査や血液検査など詳細に検査する場合は、もう少し費用が高くなる場合があります。事前に動物病院に確認しておくと安心です。

犬の膿皮症を予防するために心がけたいこと

犬 膿皮症

犬の膿皮症は動物病院で見ることの多い疾患の一つです。膿皮症の背景に原因となる病気がある場合や、皮膚の抵抗力が下がっているときには一度改善しても再発するケースも多いため、獣医師の指示に従いきちんと治療を受けることが大切です。

膿皮症は、皮膚の環境が悪くなることによって常在菌が悪さをすることで起こる病気です。そこで、予防策として重要なのはスキンケアです。特に気温や湿度が高くなる時期には、特に長毛種の犬種ではトリミングサロンなどで毛を短めにカットすると通気性が良くなり、飼い主さんも管理がしやすくなるでしょう。

膿皮症は適切な治療により良くなることが多いですが、背景に隠れている病気として、犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどの皮膚炎、甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患が考えられる場合、また犬種固有の皮膚機能(シーズーなどの脂っぽい皮膚)や高温多湿な季節には注意が必要です。

参考文献
  • 公開日:

    2020.04.13

  • 更新日:

    2020.09.10

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ライター・監修者プロフィール
  • 監修者:加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。