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健康管理 / 病気

2020.04.18

【獣医師監修】犬のメラノーマ(悪性黒色腫)を解説。腫瘍の特性や治療方法、予後まで

メラノーマ(悪性黒色腫)とは、身体の色素をつくるメラニン細胞の「メラノサイト」が”がん化”した腫瘍、つまり皮膚がんの一種です。人の場合でもまだはっきりとした原因は分かっていませんが、白色人種に多いことから紫外線を浴びることが関係していると考えられています。そんなメラノーマは犬も発症する病気で、統計的には女の子よりも男の子のほうが発生率が高いとされており、主に口の中にできることで知られています。
今回は、犬のメラノーマについて、原因から症状、治療法などを解説していきます。

Author :docdog編集部(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬のメラノーマ(悪性黒色腫)ってどんな病気?

犬 メラノーマ

メラノーマ(悪性黒色腫)はメラニン細胞から発生する腫瘍です。犬の場合は、皮膚に発生する皮膚メラノーマが皮膚腫瘍全体の約5~7%を占めています。

犬のメラノーマは発生部位によって大きく3分類され、【皮膚にできる皮膚メラノーマ】【歯茎からできる口腔内メラノーマ】【爪の根元にできる爪床メラノーマ】があります。

これら発生部位によって、悪性度が異なるのが犬のメラノーマの特徴です。例えば、一般的に皮膚メラノーマは85%以上が良性なのに対し、口腔内および爪に発生したメラノーマはほとんどが悪性です。特に、口腔内に発生するメラノーマは悪性であることが非常に多く、転移もしやすいとされています。傾向として、唇の粘膜が黒い犬種の子に発生しやすく、口唇、頬の粘膜、歯肉での発生が多く見られます。

高齢の子で見られることが多いですが、中には若齢での報告もあるのでどの子にも発生する可能性がある腫瘍だと言えます。

原因は分かっていない

メラノーマの発生原因には諸説あり、はっきりとは分かっていないのが現状です。人の場合は皮膚メラノーマの発生には太陽光(紫外線)が関係していると言われていますが、犬の場合は関連性は低いと考えられています。

どんな症状が見られるの?

メラノーマは、普段のお口のお手入れ中や、獣医師に口腔内を診てもらっているときなどに、できものが見つかって気づく場合などが多いです。口腔内にメラノーマが出来ると、口臭やよだれが目立つようになったり、出血して気づくこともあります。

メラノーマは悪性黒色腫と呼ばれるだけあって、黒色もしくは褐色をしていることが多いです。しかし必ずしも色素を含むメラノーマばかりではないので、色の有無だけでは判断できません。

メラノーマが疑われたら?

動物病院ではっきりと診断が下りるまでには、患部の生検が必要です。
非常に進行が早く、リンパ管や血液を介して転移するメラノーマは、見つかったときにはリンパ節に転移していることも考えられるので、リンパ節の生検も同時におこなわれることが多いです。リンパ節や肺、副腎、肝臓、脳などへの転移が考えられ、転移率は30~75%とされています。そのため転移の有無の確認には、身体検査に加えてX線やCT、MRI、そして血液検査など、全身の精密検査がおこなわれます。

愛犬の身体にメラノーマ(悪性黒色腫)が・・どんな治療法があるの?

犬 メラノーマ

発生する場所によっては転移する確率が高いメラノーマ。もし愛犬の身体にメラノーマが見つかったら、どんな治療法があるのでしょうか。

主な治療法は手術で取り除くこと

皮膚メラノーマの場合は、第一に可能な限り広い範囲を手術で切除する外科治療がおこなわれます。腫瘍が良性なら、完全に切除してしまうことで完治が期待できます。悪性であっても、転移していなければ切除することによってある程度の回復が期待できます。

爪の悪性メラノーマの場合は、選択肢としては指や脚全体を切除してしまうことが勧められることも。腫瘍が切除できないほど大きかったり、発生する部位によっては放射線治療をおこなうこともあります。それ以外にも、抗がん薬の投与をおこなわれることがありますが、残念ながら抗がん薬が効かないケースも多く見られます。

口腔内メラノーマの場合でも、外科切除が第一の選択です。いずれのケースにおいても、悪性度が高ければ完治は難しいとされており、また再発の可能性も高いので切除したあとも注意が必要です。

治療後の予後は?

悪性メラノーマは、発生した部位だけではなく転移した部位の症状が大きく生活を変えることが多いです。

肺への転移が多く見られますが、咳が出たり息苦しさといった症状が出ます。また脳に転移した場合は、性格が変化したり発作などの神経症状を発症するとされています。これらの症状が出るようになると、愛犬の生活の質を落としてしまうことが飼い主としては何よりも心配なところです。

一方で、良性の皮膚メラノーマであれば、完全切除したあとの予後は良好とされています。悪性であった場合でも、転移がないあいだに完全切除に成功すれば予後は悪くありません。メラノーマの腫瘍周辺を外科的に切除をおこなった場合、生存期間は9~10ヵ月、再発率は20~50%と言われています。

予防する方法はあるの?

メラノーマは、原因がはっきりしていないので完全に防ぎきることはできないのが現状です。しかし、日ごろからしっかりと愛犬のための健康診断を受けることで早期発見・早期治療に繋がり、これが考えられる限りで最善の策と言えます。

犬のメラノーマ(悪性黒色腫)|日ごろの健康管理で早期発見を

犬 メラノーマ

悪性メラノーマは、非常に進行が早く再発率も高い腫瘍です。愛犬の健康寿命のために飼い主ができる最良の選択は、何よりも日ごろの健康管理に気を付け、定期的な健康診断を受けたり異変を感じたらすぐにかかりつけの獣医師に相談する姿勢だと言えるでしょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

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