
日本では、緑色の「ヘイワード」と呼ばれる品種のキウイが一般的ですが、最近ではニュージーランドのゼスプリ社が開発した、黄色の「ゼスプリ・サンゴールド」も見かけるようになりました。キウイには次のような成分が含まれています。
ビタミンCやビタミンEは「抗酸化ビタミン」と呼ばれ、活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があります。活性酸素は、動脈硬化の原因となる過酸化脂質を作り出したり、がんや老化、免疫力の低下などを引き起こしたりします。
キウイには、カリウムが多く含まれています。カリウムはミネラルの一種で、細胞内液の浸透圧を調整する働きがあり、塩分の摂りすぎを調整する上での重要な役割をもちます。
食物繊維は胃や腸で消化されない物質で、整腸作用を中心に身体の中で有用な働きをすることが注目されており、便通を整えて便秘を防ぐうえで欠かせません。
また、余分な脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して体外に排出する働きがあるため、肥満や脂質代謝異常、糖尿病などの生活習慣の予防や改善の効果が期待できます。
アクチジニンはキウイに含まれる酵素の一種で、タンパク質の分解を助ける役割を補う栄養素です。キウイにはこの分解酵素が豊富に含まれており、犬が食事で摂取したたんぱく質の消化吸収を促す働きがあります。
(※)参考文献:厚生労働省 eヘルスネット
キウイには犬にとって有害な物質が入っているわけではないので、基本的には与えても問題ないと考えられます。与える際の注意点には次のようなものがあります。
キウイの種や皮は消化しにくいため、胃や腸に残り消化不良を起こす可能性があります。特に皮は農薬残留の心配があるので、犬に与える際は取り除くようにしましょう。
ドライフルーツには基本的に砂糖が使用されており、香料や保存料が配合されているものが多くあります。生のキウイよりも肥満のリスクが高くなると考えましょう。また、砂糖をまぶしていないドライキウイであっても胃の中で膨らむことで吐き気を引き起こす可能性があります。
犬の尿路結石にはいくつか種類がありますが、キウイにはシュウ酸が含まれているため摂取することで「シュウ酸カルシウム結石」が生成される可能性があります。また、キウイに含まれる成分に対してアレルギーをもつ犬ではアレルギー反応を起こす場合があります。
キウイを与えると、犬は消化不良やアレルギーの症状を起こしてしまうことがあります。もし食べた後に何かしらの症状が出た場合、犬の体質に合っていない可能性があるので、与えることをやめて適切に対処しましょう。
キウイを食べ過ぎてしまったり、消化に悪い皮や種を摂取してしまったりすると、消化不良により軟便や下痢、嘔吐を引き起こすことがあります。これらの症状が見られる場合、胃腸を休ませるためにも半日ほど絶食させましょう。
キウイに含まれる成分に対してアレルギー反応を起こすと、食べた数時間後に目や口周りなどの皮膚の痒みを生じたり、下痢や嘔吐、目の充血などの症状を呈したりする場合があります。通常は与えることをやめれば自然に改善しますが症状が重い場合や改善が見られないときには動物病院を受診しましょう。
甘くておいしいキウイ。基本的には皮や種を取り除くなど与え方に注意すれば、犬に与えても大丈夫です。与える際には少量ずつ与えてしばらく犬の様子を観察し、何らかの症状が現われてしまった場合にはすぐに対処できるようにしましょう。
望月 紗貴/犬の管理栄養士、ペット看護士、ペット介護士、ペットセラピスト、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザー
3頭の愛犬たちと1頭の保護犬、3匹の愛猫たちと山奥で暮らす真の動物好きライター兼ペット記事監修者。
犬に関しての正しい知識共有を目的とし、ネットメディアでの情報提供活動を行っております。
休日は愛犬バーニーズマウンテンドッグ、ゴールデンレトリバー、ボーダーコリーとの時間を大切に過ごしています。
江野 友紀/認定動物看護士
地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。