magazine

健康管理 / 病気

2020.04.22

シベリアンハスキーの寿命はどれぐらい?かかりやすい病気や健康管理方法を知っておこう!

北東アジアの遊牧民チュクチ族の使役犬として作出されたシベリアンハスキーは、そり犬としても有名です。スピッツ種であると考えられている古典的な北方の犬種のシベリアンハスキーは、透き通るような茶色またはブルーの目とふさふさの被毛が特徴で、遠吠えする声がハスキーボイスであることからこの名がついた犬種です。今回は、そんなシベリアンハスキーのかかりやすい病気や1日でも長生きしてもらうための健康管理方法について解説していきます。

#シベリアンハスキー

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

この記事をシェアする

シベリアンハスキーの平均寿命は?

シベリアンハスキー 寿命

シベリア、アラスカといった極寒の地で生活し、北極捜索隊や南極遠征隊の一員として活躍したことでも知られているシベリアンハスキー。最大の偉業として有名なのは、ジフテリアが流行していたアラスカ・ノームの人々のために、氷点下40度という極寒の中、約1100kmという長距離をわずか6日間で血清を運んだことです。世界中にこの命のリレーが報道されたことから、シベリアンハスキーは一躍有名になりました。

タフでエネルギッシュ、仲間を大切にするシベリアンハスキーは、古代犬種スピッツの血を受け継いでいることから、比較的長生きな犬種であるとされています。そんなシベリアンハスキーの平均寿命は12~14歳とされていますが、飼育環境によってもっと長生きできることが分かっています。

遺伝疾患に要注意

厳しい自然環境にも対応でき、粗食にも耐えられるシベリアンハスキーは、元来長生きな犬種として知られていました。しかし、マスコミに取り上げられるようになり一躍人気犬種として世界中の人々から注目を浴びることになったため、商業ベースに乗った無謀なブリーディングが行われるようになったのです。そのため、多くの遺伝疾患を持つシベリアンハスキーが誕生してしまいました。健康であれば長寿のシベリアンハスキーですが、遺伝疾患によって短命となる個体が増えてきていることも事実です。

次の項では、シベリアンハスキーの遺伝疾患について詳しく解説していきます。

シベリアンハスキーのかかりやすい病気

シベリアンハスキー 寿命

本来は長生きであるシベリアンハスキーですが、犬種の流行により幾つかの遺伝疾患を発症する可能性があります。特に、シベリアンハスキーの場合は目の遺伝疾患に注意が必要です。遺伝疾患は、親犬の遺伝子検査によって判明します。シベリアンハスキーを迎える時には、遺伝疾患のチェックを確実に行っているブリーダーを選ぶことがおすすめです。

遺伝生若年性白内障

シベリアンハスキーの大きな特徴の一つが、透き通るような茶色やブルーの目。そんな魅力的な目が白く濁ってしまう病気が白内障です。通常、白内障は加齢によって発症するとされていますが、シベリアンハスキーの場合は2歳以下という若い時期に発症することが特徴です。これは、遺伝的要因が大きく、放置しておくと失明する可能性もあるため早期発見早期治療が必要となります。近年では、人間と同じように人工レンズを装着する白内障手術が推奨されています。

角膜ジストロフィー

複数の角膜層が白濁する角膜変性が起きる病気で、遺伝的要因が大きく関係しています。軽度の場合は、治療を必要としませんが、重度の場合は角膜移植をする場合もあります。

X連鎖性進行性網膜萎縮症(X連鎖PRA)

進行性網膜萎縮症は、近年あらゆる犬種に増えてきている遺伝疾患です。犬種によって病気の原因となる遺伝子が異なりますが、シベリアンハスキーの場合は、X染色体にこのPRA遺伝子が関連し、進行性の網膜萎縮が起こるとされています。通常の進行性網膜萎縮症との違いは、X連鎖性では4歳程度で遅発性であるところです。重症化すると失明してしまいますが、治療法が確立されていないため、早期発見によって、生活環境を整えることが大切です。

緑内障

緑内障は、眼圧が高まり激しい痛みを伴う病気です。眼圧が高い状態が長時間続くと失明するリスクもあります。通常は、先天性または他の病気が原因する続発性となりますが、シベリアンハスキーの場合は、発症の原因が不明であるとされています。確実な治療法が確立されていないため、視覚の回復や維持を目的とした内科的、外科的治療が行われます。

股関節形成異常

ブリーダーの無知や無理な繁殖によって蔓延している遺伝疾患が股関節形成異常です。近年では、大型犬に限らず小型犬にも発症することが報告され、大きな問題となっています。股関節が正常な場所に位置していないことから奇形まで変化し、歩行障害となる病気です。特定の検査機関で判定できることから、両親犬の検査が推奨されています。治療法として「股関節全置換」や「大腿骨頭切除」などの手術があり、歩行障害が改善されることも多くあります。

特発性てんかん

通常のてんかんは、脳に腫瘍、血栓などができることから発症しますが、シベリアンハスキーの場合は、特に異常がないにもかかわらずてんかん発作を起こす原因不明のてんかん(特発性てんかん)の好発犬種です。これは、遺伝的要因が原因であるとも言われ、治療には発作の回数や持続時間の短縮など発作の程度を軽減させることを目的として抗てんかん剤が使用されます。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が減少し、元気がなくなる、しっぽや鼻の頭の脱毛、毛艶が悪くなるなどさまざまな症状を発症する病気です。遺伝から発症する甲状腺の機能不全であるとされていますが、詳しくは解明されていません。シベリアンハスキーの場合、遺伝疾患である自己免疫性甲状腺炎によって発症します。治療には、甲状腺ホルモン剤を使用しますが、獣医師の判断によるため、早期発見がカギとなります。

シベリアンハスキーの健康寿命を伸ばすために知りたい|健康管理のコツ

シベリアンハスキー 寿命

オオカミを彷彿させる精悍でミステリアスな表情から一大ブームとなったシベリアンハスキー。群れで行動するそり犬であることから、群れを大切にし、エネルギッシュで、特に寒冷地ではタフなことが特徴のシベリアンハスキーですが、日本の高温多湿な気候では健康管理に気をつける必要があります。

適正体重

日本では大型犬として紹介されることが多くありますが、正式には中型犬に分類されているシベリアンハスキーの適正体重はオスは20.5~28kg・メスは15.5~23kgがスタンダードとされています。体高はオスが53.5~60cm・メスでは50.5~56cmで、体重と体高が比例していることが良いとされています。

ごはんの量

安定した食糧を手にすることができない遊牧民とともに生活していたシベリアンハスキーは、少量のごはんでも寒冷地で長距離のソリを引くことができる頑丈な犬種として育ってきました。家庭犬として暮らすシベリアンハスキーは、太りやすい傾向にあるため、運動量に見合った栄養バランスを考えることがおすすめです。特に、運動量が少なくなる夏は、ごはんの量を減らす、カロリーの低い食事にするなどの工夫が必要です。

シベリアンハスキーはたっぷりの運動量が必要

アラスカの広大な大地を遊牧民のパートナーとして暮らしてきたシベリアンハスキーは、冬はそり犬として夏はボートを牽引する犬として活躍してきました。走るために生まれてきたとも言えるシベリアンハスキーは、リードのお散歩だけでは満足できません。そして、運動不足は大きなストレスとなり、一晩中吠え続けるなどの問題行動を起こしてしまいます。リードのお散歩は、朝夕1時間程度、週に2~3回は広いところで思いっきり運動させることが大切です。

群れで活動することを本能としているシベリアンハスキーは、飼い主やその家族と一緒に何かをすることが大好きです。冬は、雪がたっぷりあるところでスノーシューやスキー、クロスカントリーなどのウインタースポーツ、夏は湿度が低く涼しい高原や山で、ハイキングや登山などを楽しむことがおすすめです。また、「脱出の達人」の異名を持つシベリアンハスキーなので、庭やドッグランなど低いフェンスに囲まれた場所では注意が必要です。

人気順位や容姿だけでは迎えないで

シベリアンハスキー 寿命

同じサイズの他犬種と比べると、本来は長寿で健康な犬種であるはずのシベリアンハスキー。コミック本やディズニー映画に登場したことで、一時は大ブームとなり知識のないブリーダーによって無理な繁殖が行われたことも事実です。そのため、現在では遺伝疾患を多く発症する犬種となってしまいました。シベリアンハスキーが持つ素晴らしい性質や気質をよく理解し、本来この犬種が持っている健康で長寿の体質を引き出してあげることで、10年を超えて楽しい生活が送れるはずです。ぜひ、容姿や人気順位にとらわれず、シベリアンハスキーの特性をよく理解した上で、良きパートナーとして大切に長生きに育ててあげてください。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

  • 更新日:

    2020.04.22

この記事をシェアする