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犬種図鑑

2020.04.23

イングリッシュゴールデンレトリバーとは?英国・米国タイプを徹底調査

世界中で人気のある犬種ゴールデンレトリバー。ゴールデンレトリバーと言えば、その名のごとく金茶色の被毛を持つ犬と認知されていましたが、近年、クリーム色や白っぽい被毛の色を持つゴールデンレトリバーをイングリッシュゴールデンレトリバーと呼ぶ人が増えてきています。そんなイングリッシュゴールデンレトリバーとはどんな犬なのでしょうか?今回は、ゴールデンレトリバー飼育歴20年以上の筆者がアメリカ・イギリスの情報を調査した上で、イングリッシュゴールデンレトリバーについて詳しく解説します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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イングリッシュゴールデンレトリバーとアメリカンゴールデンレトリバーの違いとは

イングリッシュゴールデンレトリバー

現在、日本にはアメリカンタイプとイギリスタイプのゴールデンレトリバーがいます。どちらも同じゴールデンレトリバーという犬種ですが、この記事では、イギリスタイプのゴールデンレトリバーをイングリッシュゴールデンレトリバーとしてご紹介していきます。

イングリッシュゴールデンレトリバーという犬種はいない

はじめにお伝えしたいのが、イングリッシュゴールデンレトリバーという犬種は存在しないということ。近年、被毛カラーがクリームや白っぽいゴールデンレトリバーをイングリッシュゴールデンレトリバーと呼ぶ傾向にありますが、被毛の色が、金色でもクリーム色でもゴールデンレトリバーという1つの犬種なのです。

ゴールデンレトリバーの被毛カラーは幅広い

ゴールデンレトリバーは、イギリスが原産の狩猟犬でさまざまな毛色を持つ数種類の犬たちを基礎犬として作出された犬種であるため、ゴールデンと名付けられてはいますが、その被毛カラーは濃い茶色から薄い茶色まで幅広くあることが特徴です。

土地に合わせて育種

また、イギリスからカナダを経由してアメリカに渡ったゴールデンレトリバーは、各地でその土地に合わせた育種が行われ、元々イギリスで生まれた狩猟犬としてのゴールデンレトリバーとは性質や容姿が変化していることも混乱を招いている要因としてあります。

アメリカで発祥した名称がイングリッシュゴールデンレトリバー

静かなブームとなりつつあるクリーム色のゴールデンレトリバーですが、アメリカ、カナダのブリーダーによって「イングリッシュクリームゴールデンレトリバー」「ブロンドゴールデンレトリバー」「プラチナゴールデンレトリバー」「ヨーロッパゴールデンレトリバー」などと名付けられ、従来の金色のゴールデンレトリバーとは違う品種のように謳われていることから混乱を招いています。

日本でも、同じような名称で呼ばれていますが、原産国イギリスではそのように呼ぶことはありません。また、アメリカやカナダのメディアやスタンダードのゴールデンレトリバーを作出しているブリーダーは、被毛の色に特化したブリーディングを問題視しており、このような呼び名を単なる商品名であると警告を発しています。

アメリカンゴールデンレトリバーの違いとは

アメリカンタイプのゴールデンレトリバーが、どちらかというとショー系を重視したブリーディングをしているのに対し、イギリスでは狩猟犬としての資質を重視したフィールド系を保つブリーディングが行われていることから、見た目や性格の違いが出てきています。

一言で言えば、アメリカンタイプのゴールデンレトリバーはアイドル系、イギリスタイプのゴールデンレトリバーはアスリート系が多いことが特徴と言えます。

アメリカではコンパニオンドッグとして

狩猟犬として活躍の場がないアメリカでは、スポーティングドッグとして登録され、ゴールデンレトリバーの特徴である人が大好き、優しい、訓練性が高いといった資質を伸ばしコンパニオンドッグとしての要素を引き出したブリーディングが行われています。

イギリスでは本来のガンドッグとして

一方、現在でもガンドッグとして登録され、実際に狩猟の現場で活躍する機会があるイギリスでは、狩猟犬本来のゴールデンレトリバーの資質を生かしたブリーディングが行われているのです。

イングリッシュゴールデンレトリバーの歴史

イングリッシュゴールデンレトリバー

ゴールデンレトリバーは、有能な狩猟犬を求めていたツイードマス卿によって、19世紀後半にスコットランドで作出されました。

詳細は不明ですが、フラットコーテッドレトリバーの子犬の中にいた黄色の子犬「ヌース」とツイードウォータースパニエルを基礎犬として、アイリッシュセター、ウォータースパニエル、ブラッドハウンドなどの有能な狩猟犬との交配によってゴールデンレトリバーが誕生したとされています。

初代のゴールデンレトリバーは、イエローフラットコーテッドレトリバーと呼ばれ1911年に当時のイギリスのケンネルクラブ(KC)に登録されていましたが、1956年にゴールデンレトリバーとしてイギリスのケンネルクラブ(UKC)に正式に犬種登録されました。一方アメリカでは、比較的新しい犬種とされているゴールデンレトリバーですが、1932年にAKCに正式登録されています。

イングリッシュゴールデンレトリバーの特徴

イングリッシュゴールデンレトリバー

ツイードマス卿によって、狩猟犬としての高い能力と飼い主に対しての忠実さ、そして訓練性の高さを追求し作出されたゴールデンレトリバー。その結果、水陸どちらの鳥を回収できる水猟犬・鳥猟犬として有能な狩猟犬でありながら、フレンドリーかつ高い訓練性を持ち、そしてダブルコートのゴージャスな被毛を持つ外観が特徴の犬種として誕生しました。

現在でも狩猟犬として活躍しているイングリッシュゴールデンレトリバー

温和で人間が大好きな家庭犬として人気のあるゴールデンレトリバーですが、イギリスではガンドッグとして分類されている狩猟犬種です。

イングリッシュゴールデンレトリバーには2種類のタイプがあり、現在でも狩猟犬として鳥の回収作業を行い狩猟の場で活躍しているフィールドタイプとその容姿の美しさを競うドッグショーを目的として作出されているショータイプがあります。原産国イギリスでは、クラフト展と呼ばれる世界最大のドッグショーが開催されます。

犬種のスタンダードを保存する意味でのドッグショーの他に、狩猟犬としての能力を競うガンドッグクラスがあり、そこでもイングリッシュゴールデンレトリバーは狩猟犬として出場しているのです。

筋肉質なアスリート系の特徴を持つ

イングリッシュゴールデンレトリバーは、アメリカンタイプのゴールデンレトリバーに比べ、筋肉質のがっしりとした体格と広い頭部が特徴です。また、アメリカンタイプがアーモンド型の目であるのに対し丸く大きな瞳で、丸みを帯びたマズルをしています。

被毛は、ストレートでふわふわが特徴のアメリカンタイプに比べ、固めでウェーブがかったアメリカンタイプよりは短めであることも特徴の一つと言えます。被毛カラーは、アメリカでは認められていないクリーム色も薄い金色として許容され濃い金色まで(レッドやマホガニーを除く)が認められていますが、UKCでは光沢のある黄金色がゴールデンレトリバーの最も大きな特徴であるとし、クリームは望ましくないとしています。

オスの体高は58~60cm、メスは54.6~57cmがスタンダードであるとされ、体重はオスが29.5~34kg、メスは25~29.5kgが推奨されています。

イングリッシュゴールデンレトリバーの性格

イングリッシュゴールデンレトリバー

ゴールデンレトリバーの性格は、友好的で、落ち着きがあり飼い主に対して従順、そして何よりも優しい気質が大きな魅力です。また、がまん強さもゴールデンレトリバーの性格の特徴と言えます。

あえて比較するなら

インターネットなどの情報で、イングリッシュゴールデンレトリバーは、アメリカンタイプのゴールデンレトリバーに比べておとなしく穏やかな性格であるという記述が多く散見されますが、どちらも同じゴールデンレトリバーとしての性格を強く持っていることに違いはありません。両者を比べるとすれば、アメリカンタイプは「明るく楽天的で積極的」、イングリッシュゴールデンレトリバーは「クールでプライドが高く人見知り」と言えます。

これは、作出しているブリーダーの国民性やコンパニオンドッグとしての性質を強く引き出しているアメリカの傾向とガンドッグとしての能力を大切に考えるイギリスのブリーダーとの違いだと考えられます。そのため、個体差はありますがイングリッシュゴールデンレトリバーだからといって特別におとなしく温和なわけではないのです。

イングリッシュゴールデンレトリバーの育て方

イングリッシュゴールデンレトリバー

アメリカンタイプのゴールデンレトリバーより、成長がゆっくりのイングリッシュゴールデンレトリバーは、4~5歳ぐらいまでは子犬期と同じようにパワフルでやんちゃな面を持っています。

体力発散・水遊びがおすすめ

ガンドッグとしての資質を強く受け継ぐイングリッシュゴールデンレトリバーは、運動能力の高さも大きな特徴です。イギリスでは、最低でも朝晩2時間の自由運動が必要な犬種であると言われるように、リードのお散歩だけでは持ち合わせている体力を発散しきれません。ドッグランやハイキングなど十分な運動ができる環境が必要です。また、水遊びも大好きなため海や川、湖などへ定期的に連れて行くことがおすすめです。

イングリッシュゴールデンレトリバーの魅力

イングリッシュゴールデンレトリバー

優雅で美しい容姿ばかりが強調されがちですが、イングリッシュゴールデンレトリバーの魅力はなんといってもその素晴らしい運動能力。野山を駆けまわるその姿は、狩猟犬としてのゴールデンレトリバーそのもの。抜群の運動神経は、見ているこちらがハラハラしてしまうほど。

そして、疲れを知らないタフな面を持ちながら、オンオフをしっかりと決められるところもイングリッシュゴールデンレトリバーの素晴らしさです。また、アクティブでありながら、優しい一面も持っているところは、ゴールデンレトリバーの大きな特徴です。

子供に合わせられる

イングリッシュゴールデンレトリバーは、子供と一緒に遊ぶことが大好きです。子供と遊ぶ時は、様子を見ながら相手に合わせることができ、飼い主と一緒に遊ぶ時は思いっきりアクティブになることができるのもイングリッシュゴールデンレトリバーの魅力なのです。

アクティブ派におすすめしたいイングリッシュゴールデンレトリバー

イングリッシュゴールデンレトリバー

コンパニオンドッグとしてのゴールデンレトリバーというイメージが強いせいか、ゴールデンレトリバーはとてもおとなしく、運動はあまり必要ないと勘違いされることが多いのですが、実はとてもアクティブな犬種です。

特に、イングリッシュゴールデンレトリバーはアメリカンタイプに比べて「温和、優しい、おとなしい」と印象付けられることが多いため、その高い運動性能を目の当たりにした飼い主が困惑している場面によく出会います。

筆者は、イギリスタイプとアメリカタイプの多頭飼いをしていましたが、明らかにイギリスタイプの方が運動能力が高く、そしてクールでカッコ良いという印象を持っています。

犬と一緒にアクティブな毎日を送りたいという方には、イングリッシュゴールデンレトリバーはおすすめです。なお、話題となっているクリーム系のゴールデンレトリバーは、ゴールドの犬から生まれた偶然の産物です。イギリスの正統派ブリーダーが色に特化して作出しているわけではないことを認識しておいてください。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

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