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犬にまつわる雑学

2020.04.26

ギリシャの犬事情|動物保護プロジェクトが成功した理由とは

ギリシャと聞いて、何をイメージしますか?ギリシャ神話やエーゲ海、最近ではギリシャヨーグルトなども有名ですよね。経済事情についても話題になることがあるかもしれませんが、ギリシャの動物に関する話はあまり耳にすることはありません。実際には、ギリシャではボランティアに励む方も多く、動物保護活動にも力を入れています。ここでは、そんなギリシャの犬事情についてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士

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ギリシャ原産の犬、ヘレニックハウンドとは?

犬 ギリシャ

現在、国際的に唯一認められているギリシャ原産の犬が「ヘレニックハウンド」と言います。FCIにおいては「古代ギリシャの猟犬」を意味するヘレニックハウンドという名での登録ですが、英語圏では「グリークヘアハウンド」と呼ばれています。どのような特徴があるのでしょうか?

外見や性格

体高が約50cmの中型犬で、ブラックアンドタンの短毛種です。快活で外交的であり、飼い主に従順です。匂いに対する執着があり、自己主張をする一面もあります。

狩猟犬としての役割

嗅覚ハウンドであるヘレニックハウンドは、とても丈夫で単独でも群れでも狩りをします。岩山など、狩りには向かないような地形でも忠実に働きます。この犬種をよく知る人々は、ヘレニックハウンドが持つ冷静な気質と体力を高く評価しています。

ギリシャの地域犬とその歴史

犬 ギリシャ

1990年代頃まで、ギリシャのアテネには狂犬病予防接種や避妊、去勢手術を施されていない野良犬がとてもたくさんいました。人々は犬に咬まれないよう犬を棒で追い払ったり、石を投げることもあったようです。

現在も飼い主のいない犬が現地にはたくさんいますが、彼らは地域犬として自由奔放に暮らし、地域住民が世話をすることで幸せそうに暮らしています。犬たちの生活を一変させるきっかけとなったのが、2004年のアテネオリンピックでした。

野良犬保護プロジェクト

アテネオリンピックが開催される前までのギリシャ・アテネでは、街中で野良犬が見かけられることが問題視され、殺処分も検討されていました。しかし反対意見が多かったため、野良犬を保護して予防接種や避妊、去勢手術を実施し元いた場所へ返す『野良犬保護プロジェクト』が行われることになりました。はじめは試験的行われた活動も徐々に広がりを見せ、この活動を通して里親が決まる犬も多かったため、結果的に野良犬の数が減りました。

ギリシャで行われている犬猫保護活動

犬 ギリシャ

アテネで行われた、犬を捕獲(Trap)し避妊手術(Neuter)し、元の場所に戻す(Return)活動を「TNR」と言い、2012年には猫も対象となっています。日本でも地域猫活動としてTNRが行われています。

アテネでは犬を保護した後、避妊・去勢手術を施し、マイクロチップを装着し、オス犬には青い首輪、メス犬には赤い首輪をつけて戻しているそうです。こうすることで犬の頭数が劇的に増えてしまうことを防いでいるんですね。そして、定期的に健康診断や予防接種が行われています。

ボランティアによって支えられる活動

政府が制定した野良犬保護プロジェクトではありますが、多くのボランティアの協力により活動が成功しています。野良犬の登録や健康管理、里親探しなどに、地元民のボランティアや獣医師のボランティアが積極的に協力し合い、犬たちを守っています。

ギリシャにおける犬事情から学べること

犬 ギリシャ

数十年前までは野良犬問題に悩まされていたギリシャですが、政府や獣医師、ボランティアなど多くの人々の努力や協力により犬たちは守られました。その結果、現在は野良犬の数自体も減り、TNRされた犬は健康管理された上で自由に暮らしています。日本に野良犬はほとんどいませんが、まだ多くの野良猫が存在し、殺処分されてしまう現状があります。日本もギリシャの保護活動から学べることがまだまだありそうですね。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

  • 更新日:

    2020.04.26

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