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連載 / ブログ

2020.08.12

連載|シニアの愛チワワ|vol.22

君がそこにいる幸せ。君と桜

春といえば桜です。たくさんの花をつけ、そして潔く散っていく桜は、はかなくも強く、見る人の心を魅了する花だと思います。自宅の近くにある桜が咲く場所で、愛犬と一緒に見た桜のお話や、桜が見に行けなくなってしまった今のこと。桜が咲く頃に感じる愛犬への想いなどのお話です。

#シニアの愛チワワ

Author :只野 アキ/ドッグライター

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桜が咲く場所

自宅から10分くらい歩いたところにある桜が咲く場所。
何本もの桜が開花の時期になると花を咲かせます。ちょっとしたお花見などもできそうな場所なのですが、あまり人が集まらず、愛犬と散歩をしながら桜を眺めるのには最高の場所です。時間があるときは昼間に、時間がない時は夜、桜を見に行っていました。

愛犬と眺める静かなお花見は、毎年の恒例行事になりました。
自宅から温かい飲み物をポットに入れて持っていき、愛犬とふたりでお花見をしたこともありました。小さなシートを敷いて愛犬にはお水とジャーキーを、私は自宅から持ってきたコーヒーを、特に何をするわけでもなく桜を眺めながら、のんびりと堪能する穏やかな時間を過ごしていました。

桜の花より

言うまでもなく愛犬は花より団子ではなく「花よりにおい」です。
上を見上げれば桜が満開なのに、それよりも草むらのにおいの方が気になるようです。草の間に顔を入れて、丹念ににおいを嗅ぎ、誰かからのメッセージを受け取っているようです。

桜がこの場所に咲くことを知っている近所の人たちは、私たちと同じように、いつもの散歩コースを変えてここに来ているのかもしれません。めずらしいメッセージがたくさんあるようで、愛犬は夢中になっています。いつもは散歩中に、においを嗅がせないようにしています。においを嗅いでいい場所とガマンをしてもらう場所、という感じで私がコントロールをしていました。

「今日は特別サービスだよ」。においを嗅ぐことが大好きな愛犬は、この場所に来たときには、たくさんにおいを嗅いでいいと思っていたのかもしれません。

一緒に見る花

愛犬の病気が分かり、桜を見に行けなくなりました。
最初は、キャリーバッグに愛犬を入れ、自転車に乗って行っていました。気分的なものなのですが、毎年恒例になっていたので、それをやめてしまうと、愛犬との来年が来ないような気がしたからです。

桜を見に行き、毎年同じ写真を撮り「また来年も見に来ようね」。そう言って来年もここに来ると約束をしたかったのだと思います。

ですが、ここ1~2年は足の状態もよくなく、無理に連れて行くことに不安を感じるようになりました。 そんなとき、自宅の窓から見える花に気付きました。
毎年桜より少し早く咲き、桜のように満開になって散っていく何の花だか分からない不思議な木の花。こんな近くに春の訪れを教えてくれる花があったのだと気づきました。
愛犬と一緒に眺める満開の不思議な花。桜ではないけれども、とても幸せな気持ちになりました。

君と桜

桜の花が咲く頃になると、この時期をまた愛犬と一緒に迎えられたことを嬉しく感じます。1年に何度かある、愛犬が生きている証の節目。桜もそのひとつです。

今まではなんとなく過ごしていた1年間でしたが、愛犬がシニア犬になり、どうしても「来年のこと」を考えてしまいます。ですが、愛犬が生きることをやめない限り、私は愛犬と約束を続けようと思っています。

窓から出した鼻先を小刻みに動かしながら、桜とともにやってきた春の訪れを丁寧に感じ取っている愛犬。こうして愛犬と一緒に春を迎え、同じ景色をまた一緒に見ています。
「来年もまた一緒に、この景色を見ようね」。
ささやかな幸せかもしれませんが、このような時間を大切にしていきたいと思いました。

◎ライタープロフィール
只野 アキ ドッグライター

只野 アキ/ドッグライター

犬の素晴らしさを皆様にお伝えし、犬を手放さない社会の実現を目指すドッグライターです。
家庭犬ドッグトレーナーとして、トレーニングやイベント運営を経験。愛犬の病気をきっかけにトレーナー業は休止し、現在はドッグライターとして活躍中。
趣味は犬とたわむれること。愛犬との生活が豊かになる情報や、皆様のこころがほんのりと温かくなるような記事をお届けします。

  • 公開日:

    2020.04.17

  • 更新日:

    2020.08.12

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