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健康管理 / 病気
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2020.09.27

アニマルセラピーの効果や問題点とは?はじまりの歴史や海外事例を確認

現代は、実にさまざまなストレスが溢れている「ストレスフル社会」と言われています。そのストレスを、動物と触れ合うことによって軽減するという方法が注目を集めています。それが『アニマルセラピー』であり、世界各国ではアニマルセラピーが治療や療法の一種として認識されつつあります。私たち人間は、動物と触れ合うことで、どのような効果を得られるのでしょうか?今回は幅広い分野に効果が期待されるアニマルセラピーについて、その歴史から期待できる効果までを詳しく解説します。

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

アニマルセラピーとは?

アニマルセラピー

ご近所の猫や犬を触ると、なんとなくホッとする、動物と触れ合うことで癒されると感じたことはありませんか?アニマルセラピーという言葉から、「動物×癒し」というイメージがなんとなく浮かぶと思います。そんなアニマルセラピーとは、どのようなものなのでしょうか?実はアニマルセラピーとは日本で生まれた造語です。主に「動物介在療法」「動物介在活動」「動物介在教育」の3つの種類に分類されています。

1.動物介在活動(AAA/Animal-Assisted Activities)

AAAは動物と触れ合う活動(Activities)によって人を癒すことが基本で、対象となる人の生活の質の向上や情緒的な安定を目的として実施されます。レクリエーションの一環として福祉施設や医療施設などで行われ、人のQOLの向上を目指した活動が一般的です。

2.動物介在療法(AAT/Animal-Assisted Therapy)

2つ目のAATには「Therapy=セラピー」という言葉が含まれています。セラピーには癒しだけでなく、もっと明確に“治療”という意味もあるため、こちらは医師や作業療法士、理学療法士などの医療従事者が主導で実施される専門的な治療行為です。動物を介在させた補助療法という内容となっており、対象となる人の身体機能や社会的機能、精神面の向上回復を目的としています。治療目標の設定、治療計画の作成、活動後の評価を行い、治療の一環として行われる活動で、有資格者とハンドラーと動物のチームで行うチーム医療です。

3.動物介在教育(AAE/Animal-Assisted Education)

動物介在教育は小学校などに動物を連れて訪問し、動物とのふれあい方や命の大切さを子どもたちに学んでもらうための活動です。この活動の目的は教育です。そのため、教育目標を立てて行われます。教育目標がない場合は、動物介在教育ではなく動物介在活動になります。

アニマルセラピーで活躍するのは犬だけではない

アニマルセラピーで活躍する動物は、犬だけではありません。犬と並ぶペットの代表である猫をはじめ、すべての動物が対象となり、ペットに限らずイルカなど通常では触れることが出来ない動物も活躍しています。

アニマルセラピーに向いている犬種

アニマルセラピーを行なう犬のことをセラピードッグと呼びますが、どんな犬種が多いのでしょうか?基本的に人が好きな犬ならばどんな犬でもセラピードッグの素質を持っています。ただし、人との触れ合いが好きでも、やはり忍耐力を備えていることが必要です。

代表的な犬種としては、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバー、ボーダーコリー、ジャーマン・シェパードなどが挙げられます。

アニマルセラピーにはどんな効果がある?

アニマルセラピーの効果は、痛み、疲労、ストレス、イライラ、不安、緊張、悲しみ、怒りやすさなど、心身のマイナス要因を軽減する点です。その一方で、落着きや喜び、明るさや快活さが増大するプラスの効果も報告されているため、数多くの分野で実践されています。さらにその効果の延長として、リハビリ効果や社会性の向上、自尊心や自立心の向上なども期待できます。

特に医療行為となるAAT(動物介在療法)の方は、ダウン症などの遺伝性疾患、脳性麻痺、自閉症、知的発達障害など様々な疾患が対象となり、明確な疾患でなくても、疲労やストレスが蓄積している人や、一般的な高齢者も対象になります。高血圧患者や認知症への効果も報告され、幅広い分野で注目されている療法です。

代表的なアニマルセラピー効果として、「気分転換」と「モチベーションアップ」があります。ここでは、具体例をご紹介します。

アニマルセラピー効果|気分転換

まず、代表的な効果の気分転換についてみていきましょう。
アニマルセラピーにより、孤独感やストレスが軽減・解消されることがあります。また苦痛や辛さから意識を逸らすことも期待できます。独りで単調な生活を続けていると、どうしても孤独感に苛まれ内面的に辛い状態になりがちです。そんなときに動物と触れ合い、温もりを感じると、良い気分転換が図れ、自分の内面も解放されるきっかけになります。

アニマルセラピー効果|モチベーションアップ・自尊心の育成

特にリハビリなどの場合、途中で飽きたり、できないと思い込む傾向がありますが、動物と一緒に行なうリハビリならば、モチベーションは確実にアップするようです。そして重要な効果として挙げられるのが、自尊心の育成です。はじめは動物との接し方が分からないケースもありますが、徐々に自ら積極的に取り組むようになり、何を使って遊ぼう、どのおやつを与えようかなど考えて行動するようになります。

そばに寄り添う動物が、自分の意思による行動によって、適正な反応をするという小さな成功体験の積み重ねが、その人に小さな自信を与え、いずれはそれが自尊心そのものを育んでいきます。アニマルセラピーでの動物の世話は、その人に自信を与えることにつながるのです。

アニマルセラピーがはじまった経緯・歴史

アニマルセラピー

人類はその歴史の中で、さまざまな動物たちと深く関わってきました。アニマルセラピーもその一つです。ここではアニマルセラピーの歴史をご紹介します。

世界のアニマルセラピーの歴史

アニマルセラピーの歴史は古く、古代ローマ時代にまで遡ります。負傷した兵士のリハビリに、馬によるアニマルセラピーが実践されていたようです。

現在は最も身近な動物である犬を介在したアニマルセラピーが主流ですが、これは1900年代中盤から本格的に始まりました。欧米では1962年に心理療法に犬を活用することに関する論文が発表され、1970年代から動物の活用が拡大しました。1987年にはアメリカのNIH(国立衛生研究所)がその効果を認めました。

日本でのアニマルセラピーの歴史

日本には1920年頃に初めて導入されたと言われていますが、活発な活動がおこなわれるようになったのは1978年に社団法人日本動物病院福祉協会(JAHA)が設立されてからです。

JAHAは高齢者施設や障害者施設などの福祉施設を訪問するふれあい活動を1986年から行なっています。これはコンパニオン・アニマル・パートナーシップ・プログラム(CAPP)と呼ばれ、おもに医療福祉への貢献が目的で、アニマルセラピーの種類はAAA(動物介在療法)となります。

一方AAT(動物介在療法)は、1990年代後半から学術的研究が盛んになり、紹介される機会が増えて今日に至っています。なお、日本での一風変わったアニマルセラピーとしては、1991年に日本オラクル株式会社が社員のリフレッシュと創造力を高めるオフィス環境のため初めて採用した「社員犬制度」が挙げられます。他にも株式会社パソナグループや株式会社ニチイ学館など、いくつかの企業でも動物を社員として認めています。

アニマルセラピーは発展途上のため問題点も

アニマルセラピー

多方面への効果が期待できるアニマルセラピーですが、欧米では広く浸透した医療行為の一環となっているものの、日本では社会的認知度も含めて発展途上です。そのため、総合病院での実践は少なく、公的医療制度として認定されるには科学的な裏づけが乏しいなど、まだまだ多くの問題点が存在するのが実情です。

アニマルセラピー5つの大きな問題点

犬を介在とするアニマルセラピーには、主に5つの問題点があります。
まずは「1.犬へのアレルギー」「2.感染症の可能性」「3.噛みつき引っかきの問題」があります。そして自宅でのセラピーの場合は、「4.飼育管理が困難なケース(飼い主が一人暮らしの場合や犬同居不可の賃貸物件)」も問題点として挙げられます。さらに日本では、治療目的であっても衛生面の点から「5.病院施設に入れない」のが実情です。

セラピードッグの認知度

欧米では、すでに多くの医療現場においてセラピードッグが大活躍しています。それによる医療費の削減の報告もされています。

一方、日本ではまだセラピードッグの認知度や地位は確立されていません。代表的な使役犬である盲導犬・聴導犬がようやく公共施設等への同伴が普及してきた日本では、まだセラピードッグの同伴は認められていないのが現状です。

まだある見逃せないアニマルセラピーの問題点

医療や介護の現場での効果が期待されるアニマルセラピーですが、現場における専門知識を持った人の不足が問題となっています。常駐の場合は、飼育環境を整えることも必要となります。また、セラピードッグにも引退制度があるため、ペットロスの問題も発生します。さらに、セラピーすることによって犬側にもストレスが蓄積されるため、犬たちのメンタルケアなども必要となるため、こういった問題点から反対の声が挙がることもあります。

世界でのアニマルセラピー効果の事例

アニマルセラピー

アニマルセラピーはまだ世界中に普及したと言える段階ではありませんが、現在積極的に世界中で実践されはじめています。 ここでは、オーストラリア、ドイツ、フィンランド、スウェーデンのアニマルセラピー効果の事例をご紹介します。

「医療費の節約」と「死亡リスクの減少」

オーストラリアとドイツでは、ペットを飼っている人と飼っていない人を比較する調査がおこなわれました。飼っている人は1年間に病院を訪れる回数が、飼っていない人に比べて15~20%ほど少なく、医療費の節約効果があると報告されています。

フィンランドでは、犬がいる家庭で育つ乳児は感染症や呼吸器疾患にかかるリスクが少ないとする報告があります。

さらに、一人暮らしの人で犬を飼っている人は飼っていない人に比べて死亡リスクが33%減少、心血管疾患に関連する死亡リスクが36%減少する可能性があるというスウェーデンでの調査がイギリスの科学雑誌で発表されています。

アニマルセラピーに公的資格はないが、動物のプロとしての登録が必要

アニマルセラピー

アニマルセラピーの資格は、いくつかの民間団体による認定資格が存在するものの国家資格のような公的資格は現在のところありません。ただし、日本で動物とのふれあいを含むアニマルセラピー事業を行なう場合は、第一種動物取扱業(展示・動物を見せる業)の登録が必要で、動物取扱責任者の要件を満たさなければいけません。これは動物園や水族館などと同様、動物を扱うプロとして、管理の方法や飼養施設の規模や構造などの基準を守ることが義務づけられているからなのです。

また、アニマルセラピーの資格には、いくつかの民間資格があります。勉強のみならず、実際にボランティアを行っている組織の活動見学を行うなど、現場を見て知識を身につけるのも良い方法と言えます。

日本でもアニマルセラピーで“最良の友”の力を借りる環境を

アニマルセラピー

古い歴史を持ち、幅広い分野で効果が期待されているのがアニマルセラピーです。中でもセラピードッグを用いたものは、最も身近な方法として世界的に広がりを見せています。日本でも認知度をより一層アップし、いくつかのハードルを乗り越えて“最良の友”の力を借りる環境を整えていきたいところです。

  • 公開日:

    2020.03.18

  • 更新日:

    2020.09.27

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ライター・専門家プロフィール
  • 西村 百合子
  • ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。