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犬の生態 / 気持ち

2020.03.13

なぜ犬は体をこすりつけるの?スリスリする対象物別の4つの動機とは

飼い主はもちろん、そうでない人でも犬が何かにスリスリと体をこすりける姿を見たことがあると思います。この犬の仕草、不思議に思う方も多いと思いますが、なぜ犬は壁や飼い主にさえも体をこすりつけるのでしょう?実は、そこにはさまざまな意味が隠され、犬なりの理由があったのです。今回は、犬が体をこすりつける理由を徹底解説します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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犬が体をモノにこすりつける理由

犬 体 こすりつける

犬がさまざまなモノに体をこすりつける行動には、匂いが関係しています。犬は人とは桁違いの鋭い嗅覚を備えた動物です。そのため、犬にとって匂いは情報の宝庫。特に自分の匂いには、所有権、個人情報、メッセージなどの意味が含まれ、野生時代から犬はその情報を積極活用しています。

またその感覚はペットとなった今でも色濃く残っています。体をモノにこすりつける行為は、匂いを舞台にした犬の本能的行動のひとつなのです。また、目立つことを嫌う、もともと穴倉動物だったことなどの本能や習性から体をこすりつける行動をとるのです。

こすりつける動機は4パターン

こすりつける動機は大きく分けると4パターンです。このパターンを覚えておけば、こすりつけるモノや状況が変化しても応用できるので、是非覚えておいてください。

まず、1つ目の動機は「自分の匂いをつけたい」ということ。2つ目の動機は逆に「自分の匂いを隠したい」ということ。3つ目の動機は「好きな匂いを自分につけたい」ということ。4つ目は「自分の匂いを取り戻したい」、「ついた嫌な匂いを取りたい」という匂いの回復が動機となります。

これらが単独のときもあれば複合的なときもあって、犬はさまざまな場所や対象に対して、体をこすりつけるのです。

おもなスリスリ対象物

犬がスリスリするところとしてよく見られるのは、屋外では草原や芝生、砂浜などの地面、室内では床、カーペット、マット、ソファー、ベッドなどです。どの場所も前述の4つの動機に基づいてスリスリしますが、砂浜に関しては濡れた体を整える意味も含まれます。犬が体をこすりつける場所の特徴は、おおむね表面がソフトで、触り心地の良い感触のモノと言えるでしょう。また、大好きな飼い主の匂いのするモノに体をこすりつけるケースもよく見られます。

もうひとつ見逃してはいけない対象物が有機臭がするものです。ほとんどの場合、とても臭い匂いがするため、飼い主が特に困る対象物です。代表的なのが、他の動物のウンチや動物の死骸、ゴミなどです。人が臭いとは感じない土や泥も有機臭がするため、犬はスリスリ、ゴロゴロします。そのような場所に行った時は、警戒は怠らないようにしましょう。逆に、香水などの人工的な匂いは苦手なので、その種の匂いが体につくと排除のためにこすりつける行動をとります。

匂いとは別にもこすりつける動機がある

匂いとは直接関係なくても、自分の気持ちを表すボディランゲージのひとつとして、こすりつける行動を見せることがあります。代表的なのが満足や喜びを表すときのしぐさで、食事や遊びのあとなどによく見受けます。そして、忘れてはいけない動機が、体の不調や異変に基づくものです。足が届かないかゆい部位をこすりつけたり、おしりを地面にこすりつけたりする行動です。このような時には、状態をよく観察して適切に対応しましょう。

犬が体を人にこすりつける理由

犬 体 こすりつける

犬が人に体をこすりつける相手は、飼い主や家族、他人でも心を開いた人や大好きな人がほとんどです。その相手に対して、気持ちを伝えるカーミングシグナルとして、体をこすりつけるのです。

1.感謝・信頼・満足を伝えたい時

犬は感謝や信頼、満足などを相手に伝えるための表現として人に体をこすりつけます。特に何をしたわけでもないのに、さりげなく愛犬が体をこすりつけてくることはありませんか?愛犬からの深い信頼や感謝・愛情が感じられ、飼い主冥利に尽きる瞬間でもあります。

2.要求がある時

その相手に甘えたい、遊びたい、構ってほしいなどの気持ちを要求する行動として、人に体をこすりつけるいわゆる“おねだり”です。こすりつけるだけでなく、お手やおかわり、マズルで手をポンと跳ね上げたり、頭をぶつけてくるなど、さらに他の要求行動を伴うこともあります。あまりエスカレートした行動はさせないように注意しましょう。

3.自分の方が上位だと示したい時

犬は、寝ている人の頭や顔に体をこすりつけてくる場合があります。犬には自分の方が優位ということを示すために、下と見なしている相手に自分の匂いをつける習性があります。もし、そのような行動が見られたら、甘やかし過ぎではないかなど、愛犬との関係を見直してみましょう。

4.勘弁して・落ち着いて・落ち込まないでと伝えたい時

飼い主に強く怒られたり、飼い主の興奮が激しいときに“もう勘弁して”“もうちょっと落ち着いて”と、まるで伝えるかのように、体を相手にこすりつけます。さらに飼い主が落ち込んでいるときにも“落ち込まないで元気出して”と、慰めのスリスリをする犬もいるようです。

かゆみなど体の異変による犬の“こすりつける”は要警戒

犬 体 こすりつける

こすりつけの動機として、かゆい時を筆頭に、体の不調や異変があります。異常なほど体をこすりつけたり、体の一箇所だけにこすりつけが集中する場合は、体の異常や病気の可能性が濃厚です。よく観察して、状態によっては動物病院で診察してもらいましょう。

こすりつける部位と想定される病気

同じところを常にこすりつけていたり、何度もこすりつけているような時には、何か異変を感じている可能性があります。まずは、こすりつける体の部位と考えられる病気との関係を知っておきましょう。

・背中/ノミやダニの寄生、皮膚炎、アレルギーなど
・お尻/条虫症、肛門嚢炎、腫瘍など
・目/結膜炎、角膜炎、第三眼瞼腺逸脱(チェリーアイ)、異物混入など
・鼻/鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、腫瘍など
・口/歯周病、歯に異物が挟まっているなど
・耳/外耳炎、耳ダニなど

頭を壁によく押し付けるときは要注意

こすりつけの中でも、壁に頭を押し付ける行動には「ヘッドプレス」「ヘッドプレッシング」と名付けられ、重大な病気の可能性があります。関連する病気としては脳卒中や脳腫瘍、肝硬変や中枢神経の損傷、ウイルスによる感染症など、すべて危険な病気ばかりです。この行動を見つけたら、早急に動物病院で診察してもらいましょう。

愛犬のこすりつける動機を的確に読み取ろう

犬 体 こすりつける

犬がスリスリと体を何かにこすりつける行動には、いろいろな動機や理由があり、そこにはさまざまなメッセージが含まれています。見た目にはかわいい行動ですが、体の異変を示していることもあるので、ただ見ているだけではなくそのメッセージを的確に読み取ることが大切です。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

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