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犬の生態 / 気持ち

2020.03.13

犬は音楽の良さが分かる?心臓の鼓動が心地良い効果を与えると言われる理由とは

犬は家族の声や家の車の音を聞き分けたり、雷や花火の音を怖がったりと、匂いだけでなく音にもいろんな反応を見せてくれます。嗅覚の次に敏感と言われるのが聴覚。最近では犬のヒーリング音楽も登場しています。今回は犬の聴覚について、音楽という観点から解説します。犬は音楽で心が癒されたり嬉しい気持ちになったりするのでしょうか?

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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犬は音楽を聴くと眠くなる?

犬 音楽

「犬、音楽」で検索すると、たくさんの犬のための音楽がヒットしてきます。しかもその内容は、ほとんど“リラックス“や“眠り”がテーマとなっています。犬が眠くなる音楽とは一体どのような音楽なのでしょうか?

音によって、犬は人間とほぼ同じ反応を見せる

脳を持つほ乳類は、人のように音を聞くことで脳波が変動すると考えられています。鳥は音楽に酔いしれ、牛はヒーリング音楽を聞くとミルクの出が良くなると言われています。しかし、猫や猿は音楽に関心を示しません。それでは犬はどうなのかというと、人間とほぼ同じ反応を見せるという報告がいくつか行なわれています。犬は音楽を人にかなり近い感覚で聞いているようです。

犬音楽の目的は、落ち着きとリラックスを生むこと

人が音楽を聞く目的は、興奮や感動から脱力や癒しまで実に多種多様ですが、犬に音楽を聴かせる目的は、検索結果を見ても明らかなようにリラックスや睡眠です。留守番や長時間のドライブなど、ストレスがたまってしまう場面や、興奮や恐怖を感じているときなど、音楽による効果が期待できます。

α波が心身のリラックスを生むのは人と同じ

犬にも活動時に働く交感神経、休息時に活発になる副交感神経という2つの自律神経が存在します。副交感神経が優位のときにはα波という脳波が発せられ、心身はリラックスしている状態となり、眠りにも入りやすくなります。人に対してα波を発生させてリラックスと眠りを誘うような音楽が、犬にも同じような効果が期待できると言えるでしょう。

犬はどんな音楽でリラックスする?

犬 音楽

人と似ているとは言え、犬は別の生き物です。そもそも聞こえる周波数が人と犬では異なります。また犬の種類は大型犬から小型犬まで実に多種多様です。人のためのヒーリング音楽が、どんな犬にも通用するとは考えにくいと言えます。それでは、どのような音楽で犬はリラックスするのでしょうか?

動物たちが好むのは心臓の鼓動と似たテンポの音楽

犬に限らず動物たちは、自身の種の心臓の鼓動と同じようなテンポの音を聴くと落ち着いたりリラックスするようです。音楽は聞き取れる周波数で、不快や不安にならない質の音が、心拍と似たテンポで流れるものです。ただし、犬であっても小型犬と大型犬では、心拍数や声域が異なるため、音楽の好みも異なり、個体差もあるので犬ならばこの曲というようにはいかないようです。

好みの音楽をアニマルコミュニケーターが犬に聞き取り調査

あるアニマルコミュニケーターが、犬用のCDプロジェクトの作成時に好みの音や音楽を調査しました。結果はちょっと意外なものでした。犬にも気持ち良いのではと思われている人用のヒーリング音楽でよく使われる鳥の声や川や波などの自然音は、あまり評判が良くなかったのです。鳥の声は逆に気が散り、水の流れる音はお風呂が苦手な犬から不評でした。また、ピアノの音にも不快を示したり、反対に無関心の犬もいるなど、犬種や性格によってマチマチという結果が出たのです。

犬の音楽のベースは心臓の鼓動にたどり着く

調査をしたアニマルコミュニケーターが思案の末たどり着いたのが、母親のお腹の中の音=心臓の鼓動でした。ドッグトレーナーが犬の興奮を収めるために、心音を聞かせるように抱いて撫でるところを目撃したのがきっかけだったそうです。また、鼓動によるわずかな振動も、耳が不自由な犬や老犬にとっては効果的でした。このように犬にとって心地よい音楽は、人と同じとは言えないのです。

さらにリラックス音楽に必要なこと

犬が音楽を聴いてリラックスするためには、音楽だけでは万全ではありません。もうひとつ大切なことが、飼い主のリラックスです。犬は大好きな飼い主の感情にシンクロしやすい動物のため、飼い主もいっしょに音楽を聴いてリラックスすることが大切なのです。

いまだに謎多き犬の聴力|音楽をどう聞き分けている?

犬 音楽

犬の音楽を語る上で、犬そのものの聴力・聴覚の知識を知っておく必要があります。しかし、可聴域ひとつとってもさまざまな説があるように、謎多き分野なのも事実です。ここでは、犬の聴力について一般的な説をご紹介します。

犬は人が聞こえない高い音が聞こえる

犬は嗅覚・鼻が最も発達して敏感ですが、その次に敏感な器官が聴覚・耳です。人の可聴域は16Hz~40,000Hzで、一番よく聞えるのは3,000~4,000Hzです。犬の可聴域は、40Hz~60,000Hz、65Hz~50,000Hz、67~45000Hz(文献によっては100,000Hzまで)と、低い周波数が人と同じ16Hzから70,000Hzまで、高い方では120,000Hzまでなど諸説あります。どの説をとっても、犬は人より高い周波数の音を聴くことができ流ことがわかります。この人との可聴域の違いを利用して生まれたのが、人には聞こえずに犬には聞こえる犬笛(犬用無声呼子)です。

犬の聴力は人間の16倍!?

ドイツのエンゲルマンは、シェパードを使ったテストで、犬は人の4倍離れた音をキャッチできると発表しています。音の大きさは距離の二乗に反比例するため、犬は人より16倍弱い音量を識別できる聴力を持つことなります。また、人よりも遠くの音源の場所を判断できることにもなります。

音色や音階の識別についても優れた能力を持つ犬。たとえば、5Hzというわずかな周波数の差を区別でき、テンポも1秒間に96回と100回、あるいは100回と104回の違いを区別できると言われています。さらに、短調の曲より長調の曲に敏感に反応し、明朗で澄んだ高音、特に弦楽器の高音に惹かれるとのこと。ハーモニカやピアノの高音にも反応しますが、救急車のサイレンと同様に遠吠えを連想させることもあるようです。

「犬が音楽への理解を示す」という興味深い研究結果

犬 音楽

犬が音楽を理解しているかを示す興味深い研究結果が発表されています。犬は音に対してほぼ同じ反応を見せると前述しましたが、音楽に対しても同じような反応を見せることがわかっています。

クラシックを聴くと落ち着く

スコットランドのグラスゴー大学と動物虐待防止協会SPCAは、2015年にクラシック音楽には犬を平穏にする効果があるとの研究結果を発表しました。そのためか、犬音楽は人用の音楽と同様に、クラシックやヒーリングサウンドが主流となっています。なかには人に対して「愛の周波数-528Hz」と言われる副交感神経を優位にする音がありますが、それを使った犬音楽まで発表されているのです。

レゲエやソフトロック

さらに同チームは、2017年にも新たな研究結果を発表しました。それは犬にさまざまなジャンルの音楽を聴かせて反応を探るというもの。ジャンルによって犬の反応が変わり、鼓動に近い一定のテンポを持つレゲエやソフトロックに対して、落ち着きながらもポジティブに“楽しむ”という報告がなされました。この結果を見ると、犬は音楽をかなり理解していると思っていいのではないでしょうか?

犬と人の感覚は類似。音楽の世界が広がる。

犬 音楽

人より優れ、嗅覚の次に敏感な犬の聴覚。まだ未解明な点も多い分野ですが、音を上手に利用することは、犬と人の共同生活をさらにスムーズで充実したものしてくれます。音楽を理解している犬ですから、いっしょに聴いて上質のリラックスタイムを過ごしてはいかがでしょうか。また、犬が不安を覚える音や不快な音を知ることも必要です。是非、愛犬と一緒に音楽を楽しんでくださいね。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

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