犬における花粉症は、アトピー性皮膚炎の症状の一種と考えられます。アトピー性皮膚炎の原因は、環境中のアレルギーの原因物質である「アレルゲン」に対してIgEと呼ばれる抗体ができ、免疫機能が過敏に反応することだとされています。
犬の花粉症は、植物由来の花粉がアレルゲンとなっている場合に引き起ります。ここではその症状、そして発症する時期についてご紹介いたします。
花粉症が発症する時期は、アレルゲンとなる植物の花粉がいつ飛散するかによって異なります。
ヨモギ(3~7月)、ブタクサ(6~10月)、アキノキリンソウ(7~10月)、タンポポ(4~9月)、フランスギク(4~6月)、ホソムギ(4~7月)、ギョウギシバ(5月~8月)、ニホンスギ(2~5月)、シラカバ(4~6月)と植物によって多様ですが、大体春先から秋頃に集中しているのが特徴です。
犬の花粉症には、アトピー性皮膚炎と同じ様な症状が出ます。目周りや口周りなどの顔面、脇の下、股、あし先、腹部、肛門周囲などに痒みがみられるのが代表的な症状です。
痒みの出方には規則性があり、花粉の飛散時期や花粉が飛散している場所で悪化します。例えばニホンスギに対して反応する子は2月から5月にかけて、外に散歩に出たときに痒みが悪化します。痒み以外の症状としては、人間と同様に涙目、結膜炎、くしゃみや鼻水などの鼻炎の症状などもみられることがあります。
また、アトピー性皮膚炎の子は花粉症になりやすいと考えられます。日本のアトピー性皮膚炎の子の多くが、ダニなどのハウスダストに対してアレルギー検査で陽性を示します。
犬にも花粉症があるのは驚きですよね。犬はしゃべることが出来ないので、花粉症の症状が出ていても訴えることが出来ません。花粉症に苦しむ犬に対して、飼い主として何が出来るでしょうか?ここでは、花粉症の犬を持つ飼い主ができる対策を紹介します。
まずは上述の症状があなたの愛犬に出ていないか、気にしてみましょう。しきりに顔を地面にこすりつけたり、脇の下や腹部、股、前肢や後肢の先を舐めたり噛んだりしていないかを気にしてみると良いでしょう。もしそのような症状が毎年同じ時期に出ているようであれば、症状が出るタイミングに季節性があるので花粉症の疑いがあります。
また、100%の判断ができる検査ではありませんが、血液検査でスギなど植物の花粉に対してIgEが作られているかを調べることが出来ます。もしも疑わしい症状が出ているようであれば、そのような検査を動物病院で行うことも良いかもしれません。アレルゲンが何なのか、当たりをつけるにあたって参考になるでしょう。
検査の結果花粉症が疑われるのであれば、花粉がたくさん飛散する時期に外出したら、帰宅後はブラッシングで体についた花粉を落としてあげるのがおすすめです。またウェットタオルなどで体を拭いてあげるのも効果的です。
花粉症は犬も発症することが分かりました。もし愛犬が体を痒そうにしていたり、鼻炎の症状があったりするのであれば、発祥の時期に季節性があるのかを確認しましょう。
検査の結果が花粉症だったとしても、飼い主さんの努力で対策をとることは可能です。もし疑わしい症状があれば、動物病院で獣医師に相談すると良いでしょう。