それでは犬が下痢と嘔吐の症状を同時に起こした場合に疑われる病気をみていきましょう。
食事の食べ過ぎが原因で下痢や嘔吐をすることがあります。この場合は症状が軽度なためすぐに回復することが多いです。
除草剤や殺鼠剤、殺虫剤など犬にとって危険なものを食べることで下痢や嘔吐の症状をひきおこします。庭にまいた時は庭は通らせないようにしましょう。震えなどの神経症状がでることもあります。
イヌジステンパーウイルスやイヌパルボウイルスなどに感染すると下痢と嘔吐を繰り返すようになります。イヌジステンパーウイルスでは高熱が出て、震えや痙攣といった神経症状もでます。
ペットホテルに預けた、花火の音が怖い、普段と環境が変わったなどのストレスで下痢と嘔吐をすることもあります。この場合はストレスがなくなると症状は軽減します。
アレルギーの原因となる食べ物を食べると下痢と嘔吐の症状を示すことがあります。
寄生虫感染により下痢や嘔吐の症状を示します。
犬が下痢と嘔吐の症状を示した時に家でできる対処法は、絶食です。元気がある犬の場合は、1日くらい絶食して胃や腸を休ませてあげましょう。
胃や腸の炎症により下痢や嘔吐を引き起こしている為、症状が治まったからと言ってすぐに通常通りの与え方にせず、普段のドッグフードをふやかして少しづつ与えるか消化の良いドッグフードを購入して与えるようにしましょう。
ただし元気がなくぐったりして、下痢や嘔吐を繰り返している場合はすぐに動物病院へ受診してください。点滴や投薬をしながら絶食することが必要になります。
何か中毒を引き起こすものを食べた時は、2時間以内なら嘔吐させることで症状は回復する可能性があります。誤飲したものを持って動物病院に連れて行きましょう。
愛犬が下痢と嘔吐の症状から回復したとして、今後同じことが起こらないようにできる対策はあるのでしょうか?
フードによって体に合わないものもあります。消化の良いフードに変更したり、おやつなど脂肪分の高いものは控えるなど、消化管に負担のかからない食事を心がけましょう。
寄生虫感染で嘔吐、下痢を引き起こすことがあります。不特定多数の犬がいる場所へ散歩に出かけるのでmあれば少なくとも年に一回は動物病院で便検査を受けましょう。回虫などの寄生虫は、人にも感染してしまう危険性があるので定期的な便検査がおすすめです。便検査は地面に触れていない便を動物病院に持って行ってください。
アレルギーが疑われる場合は、動物病院で検査をすることでどのような物にアレルギー反応を示すか知ることができます。食物アレルギーであることが分かった場合は、原因となる食材を抜いたドッグフードを取り入れることも検討できます。
嘔吐や下痢はよくある症状ですので、なかなか起こさないようにするのは難しいことです。
食べ過ぎなどが原因で下痢や嘔吐をして、元気がある状態なら心配ないですが、動物病院にすぐにでも駆けつける必要がある病気が隠れている場合もあります。愛犬の様子をよく観察し、きちんと見極めてあげてください。愛犬が元気で健康に過ごせるよう、日ごろからとれる対策はとりましょう。
阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師
茨城県出身。日本獣医生命科学大学を卒業し、認定動物看護師の資格を取得。
千葉県の動物病院に勤務後、動物用医薬品販売代理店にて動物病院への営業を経験。
犬とのより良い暮らしをサポートできるよう、飼い主の方の気持ちに寄り添いながら、安心して正しい情報をお伝えできるよう心がけています。