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犬にまつわる雑学

2020.03.19

犬の血統書とは?目的や書いてあること、活用方法までを解説

「血統書つき」と聞くと、高価で優良なイメージがありますが、はたして犬の血統書にはどのような意味があるのでしょうか?ブリーダーやペットショップから純血種の犬を迎えると交付されるのが血統書です。一見すると、何が書かれているのか理解が難しい血統書ですが、この1枚にはその犬のさまざまな情報が記載されているのです。
今回は、犬が血統書を持つ目的や書いてあること、活用方法までを詳しく解説します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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血統書とは

血統書は、正式には「血統証明書」(CERTIFIED PEDIGREE)といい、その犬が定められた犬種標準を満たしているという証明書となります。
いわばその犬の戸籍のようなものですね。19世紀にイギリスで誕生した血統書は、第一次世界大戦をきっかけに日本でも発行されるようになったとされています。

血統書の目的

血統書が発行される最も大きな目的は、犬種標準を守ることにあります。流行に左右されずにその犬種の特徴や容姿を守り、純血種を繁殖させるために必要となるのが血統書です。
純血種は、外見などの形態や特徴といった犬種標準を受け継ぐことが大切とされているため、繁殖を行うブリーダーは数世代前にさかのぼって確認をする必要があります。
また、世界のケネルクラブでは犬のスタンダードを守るために純血犬種の血統を管理し、繁殖に必要な情報を提供する手段として血統書を発行しているのです。

どこが発行するの?

血統書は、複数の犬籍団体によって発行されています。ここでは、血統書を発行している団体をご紹介します。

一般社団法人ジャパンケンネルクラブ(JKC)

世界88カ国が加盟している国際畜犬連盟(FCI)の加盟団体である一般社団法人ジャパンケンネルクラブは純血種の登録を行う団体で、国内で最も多くの頭数が登録されている団体です。血統書の発行の他に、純血種の犬種標準を競うドッグショーや各種競技会、公認資格発行などを行っています。現在、日本で発行されている血統書の約9割がこのJKC発行のものです。

公益社団法人日本犬保存会

90年の歴史がある日本犬の登録を行っている団体です。公益社団法人日本犬保存会では日本犬の犬種標準を定め、日本犬の血統書の発行を行っています。

公益社団法人日本警察犬協会(PD)

警察犬に指定されている7犬種(ジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、エアデール・テリア、ボクサー、コリー、ドーベルマン)の血統書を発行しています。

一般社団法人日本コリークラブ(JCC)

コリー4犬種(ラフコリー、スムースコリー、シェットランドシープドッグ、ボーダーコリー)の正しい血統の維持、繁殖、普及を目的として設立された犬種クラブです。コリー犬種の血統書の発行、ドッグショー、訓練協議会などが開催されています。

日本シェパード犬登録協会(JSV)

世界シェパード連盟に加盟するドイツシェパード単独犬種の登録協会です。シェパード犬の血統書の発行の他に、訓練競技会、展覧会、公認訓練士の要請、資格発行などを行っています。

特定非営利活動法人日本社会福祉愛犬協会KC<ジャパン>

全国200余りのクラブが集まり運営されている全犬種対象の愛犬団体。血統書の発行、専門家の育成、ドッグショーなどが開催されています。世界で唯一、豆柴を犬種として認定している団体です。

血統書で調べられること

犬 血統書

純血種の証明書でもある犬の血統書は、いわばその犬の戸籍のようなものです。血統書を見れば、犬種、毛色、生年月日の他に両親犬、祖父母犬の家系図やブリーダー(犬舎)がわかります。DNA登録番号やマイクロチップのID番号、股関節評価、肘関節評価がわかるようになっています。
ここでは、一般社団法人ジャパンケンネルクラブ(JKC)発行の血統書を例にとって解説します。

基本情報

血統書には表面と裏面があります。まずは、血統書の表面に記載されている基本情報を見ていきましょう。

犬名

最上段に記載されている犬名は、ブリーダーがつけた名前で、血統書上の正式名称となります。犬の名前、犬舎名、JPと書かれています。JPは、ブリーダーがFCI(国際畜犬連盟)に犬舎登録されていることを示すものです。なお、飼い主がつけた名前は「コールネーム」と呼び、元々の血統書には記載されていませんが、コールネーム登録をすることで、犬名の下にCALL NAME〇〇として記載されます。

基本データ

犬名の下に記載されているのが基本データです。ここには、犬種(犬種記号で表記)、犬籍登録上の通し番号で付けられている登録番号、訓練試験の評価、性別、生年月日、毛色、DNA登録番号、ID番号(マイクロチップまたはタトゥーを挿入した場合に限り)、股関節評価、肘関節評価、繁殖者、所有者、譲渡年月日が記載されます。

股関節評価、肘関節評価とは、遺伝疾患減少のために、一般社団法人ジャパンケンネルクラブと特定家入活動法人日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)が協力して、左右の股関節それぞれの異常の度合いを国際畜犬連盟(FCI)が定めているA~Eの5段階評価に従って、評価するものです。血統書には、5段階評価をポイントに換算したものが記載されます。

血統書・裏面に記載されていること

血統書の裏面にも記載がされています。左側には、登録日(一般社団法人ジャパンケンネルクラブに登録された日)、一緒に生まれた兄弟犬がオス・メス何頭いるのかがわかる出産頭数、登録頭数、一胎子登録番号が記載されます。右側には、チャンピオン賞歴の記載欄があり、取得したチャンピオンの種別と登録日が記載されます。
また、各資格の省略記号一覧や血統書の発行日の他に、所有者名義変更届け、コールネーム登録申請欄、4代祖血統証明書発行申込欄があります。

血統図

一般的な血統書には、両親犬から遡り3世代前までの血統が書かれています。上段が父犬、下段が母犬の血統図です。祖父母から曾祖父母までが記載され、それぞれに名前、登録番号、ID番号、ドッグショーや競技会でのタイトルが記載されます。
なお、さらに祖先を遡った4代祖血統証明書(有料)を取り寄せることもできます。

血統書はなぜブリーダーに必要なのか

犬 血統書

血統書は、純血種の持つ特性や容姿を守り、より良い犬を繁殖しようと考えているブリーダーにとって必要不可欠なものです。
ここでは、なぜブリーダーにとって血統書が必要なのか、その理由について解説します。

血統書をもとに交配相手を探す

血統書には、その犬の情報全てが記載されています。最近では、遺伝疾患への問題意識も高まり、多発している股関節形成不全、肘関節異形成のリスクから犬を守るために、血統書へ評価の記載がされるようにもなりました。
また、近親での交配による遺伝疾患や奇形も大きな問題となっています。そのようなリスクを避けるためにも、血統書に記載されている祖先の血統や疾患の情報をブリーダーは繁殖の前に把握する必要があるのです。

血統書でわかることはさまざまだけれど、偽物に注意して!

犬 血統書

血統書があると、両親犬の血統図や兄弟犬の数、ブリーダーの名前などさまざまなことがわかります。
しかし、悪質なペットショップや業者の中には、この血統書を偽造しているケースも。また、「血統書付き」を謳い文句に高い価格で犬を販売しているペットショップが多くあります。

血統書は、その犬が純血種である証明であって健康を証明するものではありません。ドッグショーや競技会に出場したいと考えている場合やブリーダーには血統書が必要となりますが、家族の一員として生活していく上では、必要不可欠なものではないのです。

とても聞こえのいいように思える「血統書つき」というラベルですが、その血統書が本当に正しいものなのか確認して横行している血統書詐欺に遭わないように気をつけてください。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

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