
甲斐犬の寿命はおおむね12~16歳程度だと言われており、人間の年齢で換算すれば68~85歳くらいになります。
もちろん個体差や暮らしている環境に左右されますから一概には言えませんが、中型犬の寿命が13歳前後とされていますので、そこから比較すると長生きの部類に入るかも知れませんね。
最近の飼育環境の改善や健康志向の高まりによって寿命は延びる傾向にあるため、暮らし方によってはもっと健康で長生きできる可能性だってあると言えます。
甲斐犬のスタンダードによれば、理想の体高はオスで約50cm、メスで約45cmとなっていて、体重に関しては12~18kg程度とされています。サイズとしては柴犬より一回り大きいくらいで中型犬の部類に入ります。
古くからの日本犬の気質を引き継いでいるため、粗食に耐えます。また日頃から運動を必要とするため、あまり太りやすい体質というわけではありません。しかし必要以上にフードやオヤツを与えたり、人間の食べ物を食べさせることは避けるべきでしょう。本来の素朴さが損なわれますし、肥満の原因となってしまうからです。
他の日本犬たちと同様に、甲斐犬にも注意せねばならない病気や疾患などが存在します。その代表的なものを挙げていきましょう。
体の中に入ってきた異物に対して免疫機能が過剰に働いてしまい、体の様々な部分に炎症が発生します。
アレルギー性皮膚炎もその一種で、主な原因としては食べ物やハウスダスト、ダニなどのフンなどが挙げられます。
対処法としてはアレルギーに起因する物質を特定することが先決で、特定の食材を摂取しないことや、免疫抑制剤を内服することで症状を緩和させます。また免疫機能が過剰に働く疾患としては、免疫介在性膝蓋炎や免疫介在性溶血なども挙げられます。
耳の中が蒸れやすい季節や雑菌、マラセチアの繁殖などによって起こる病気です。耳の穴から鼓膜に至るまでの外耳という部分に炎症が起こり、過剰に耳を痒がったり、頻繁に首をブルブル振ったりします。耳の中を嗅いでみると酸っぱい臭いがしますし、炎症で赤くなるのでわかりやすいですね。
液体状のイヤークリーナーなどを点耳する方法で症状が改善しますが、耳を触られるのを嫌がる子もいますので、その場合はウェットティッシュなどで耳の奥まで汚れを拭き取ってあげてください。その後、動物病院等でしっかり治療することをおすすめします。
犬も人間と同じように歳を取ると認知機能が低下することがあります。特に甲斐犬を含む日本犬はその傾向があり、シニアになると徘徊やトイレの失敗などが多くなり、ひどくなると夜鳴きをするといった症状が見られます。
シニア用フードに切り替えると共に、EPAやDHAが多く含まれるサプリを与えるなどの対策が必要になりますね。犬用の煮干しを食べさせることも効果的でしょう。
古来から日本の山野を駆け巡る狩猟犬だった甲斐犬ですから、必要とする運動量はかなりのものです。どれくらいの散歩時間が必要なのでしょうか?
散歩は1日2回程度が望ましいでしょう。また散歩時間は1回につき最低30分を見込んでください。甲斐犬を含む日本犬は縄張り意識が強いため、あちこちを嗅ぎ回って歩く習性がありますが、あくまで飼い主さんのペースに合わせると無理なく歩けるようになると思います。
ドッグランで思い切り走り回らせることもストレス発散に効果があります。ただし警戒心が強い犬種ですから、最初はきちんとリードを持っておいてから他のワンちゃんたちに慣れさせるようにしましょう。
古くより粗食に耐えられる犬種ですから、フードやオヤツの与えすぎには注意しましょう。
ドライフードは袋に記載してある給与量の目安に応じて与えること。またオヤツは煮干しやジャーキーなど噛み応えのあるものが良いでしょう。
ドライフードでおおよその栄養分は摂取できますが、鶏肉や野菜を刻んで加えるなどのひと工夫で食いつきも違ってきますよ。
甲斐犬は独立心が旺盛で警戒心も強いため、しつけやトレーニングには手間が必要かも知れません。しかし手間が掛かるからこそ、きちんと指示が聞けたときの喜びもひとしおで、思わず愛おしくなってしまいます。食餌や運動、そして日々の健康管理も含めて、もっともっと手間を掛けてあげたいところが甲斐犬の魅力なのかも知れませんね。
明石 則実/動物ライター
フリーライターとして動物関連や歴史系記事の執筆を多数おこなう。柴犬と暮らす傍ら、趣味の旅行や城めぐりで愛犬と駆け回る週末。
愛犬家の皆さんにとって、お悩みを解決したり、有益な情報を発信することを心掛けています。