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犬を迎える

2020.08.14

知っておくべきパピーミルの悲惨な現状。私たちにできることとは

空前のペットブームの中、その裏側にはパピーミルと呼ばれる悪質な繁殖業者により、たくさんの犬たちが劣悪な環境下で飼育されています。悲惨な現状に目を背けたくなりますが、パピーミルの実態を知り、犠牲になる犬たちを減らすために私たちは何ができるのか、これを機会に一緒に考えてみましょう。

Author :新井 絵美子/動物ライター

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パピーミルとは

パピーミル

パピーミルとは利益を追求するためだけに、ペットに無理な繁殖をさせている悪質な繁殖業者のことです。パピーミル(puppy mill)は直訳すると「子犬の工場」。つまり、子犬が品物のごとく大量に繁殖されているということです。

悪質な繁殖業者は、子犬を「お金を生み出す物」として捉え、母犬の体の負担のことを何も考慮せず繁殖ができる限り子犬を生ませています。

また、本来は犬種の特性や遺伝的な疾患の有無なども考慮して交配が行われますが、ブリーダーであれば熟知しているはずのこれらの知識を持ち合わせておらず、そのため健康に問題がある子犬が生まれ、そのまま市場に出されてしまうということも少なくありません。

劣悪な環境を強いられる犬たち

子犬や母犬の身体的・精神的な健康ケアよりも、利益が最優先のパピーミル。子犬の頭数が増えればその分コストがかかることから、犬たちは生きていられるだけの最低限の食事しか与えられていません。

また、衛生面も行き届いておらず、不衛生な狭いケージの中に散歩にも連れて行ってもらえずにずっと入れられているので、病気になる個体も多くいます。そして病気になっても、適切な治療を受けさせずに放置しているケースがほとんどです。

このように劣悪な環境を強いられている犬たちがいるパピーミルの現状は、目を背けてはならない大きな問題です。

パピーミル問題|海外ではどのように向き合っているの?

パピーミル

パピーミル問題の解決に向けて、海外ではどのような取り組みが行われているのか、その一部をご紹介します。

アメリカ カリフォルニア州

2019年1月からアメリカのカリフォルニア州では、ペットショップで販売できるのは、動物保護施設がレスキューした保護動物のみで、ブリーダーから購入した犬、猫、ウサギを販売することは禁止されています。

また、保護動物を販売するペットショップは、どの動物保護施設から入手したのか、関係当局に報告することが義務付けられています。

オーストラリア ビクトリア州

オーストラリアのビクトリア州も同様に、ペットショップで販売できるのは、動物保護施設から引き取った保護動物のみで、営利目的で繁殖した生体販売は禁止されています。

なお、ビクトリア州では、個人でブリーダーから犬を購入することが許されているものの、ブリーダーは厳しく管理・規制がされています。

まず、3頭以上のメス犬を所有する場合は公的な登録が必要、11頭以上のメス犬の所有においては、ビクトリア州農業省の認可を得なければなりません。厳しい基準をクリアしなけば認可は得られず、パピーミルを生み出さないような仕組みになっています。加えて、ブリーダーが飼育できるメス犬は、50頭までと厳しく規制されています。

パピーミルをなくすために私たちにできること

パピーミル

パピーミルの問題は、すぐに解決できるようなことではありませんが、犬たちが犠牲にならないために、私たちは何ができるのでしょうか。

販売されている子犬の裏側にも目を向ける

パピーミルをなくすために私たちにできることは、ショーケースに並ぶ子犬のかわいい姿だけではなく、販売されている子犬の裏側にも目を向け、その子がまっとうなブリーダーのもとで生まれたかどうかを考えることではないでしょうか。先述の通りパピーミルの子犬たちは、お金儲けのためだけに繁殖されています。パピーミルで子犬が「生産」され続ける理由を掘り下げて考えると、子犬を購入したがる消費者の存在に行きつきます。

ペットショップから子犬を迎えることが悪いわけではありません。しかし、購入を検討しているペットショップが、優良企業なのか悪徳業者と繋がっている企業なのかを見極めることは非常に重要です。

また、どんなブリーダーのもとでどんな親犬を持つ子なのかなどにも目を向け、慎重に考えて購入することが大切です。子犬が生まれた背景を確認せずに、「見た目がかわいいから」「流行りの犬種だから」という部分だけで購入する人が多ければ、繁殖場のことは知らずに済むのでパピーミルの助長につながると言えます。

待っている犬たちがいることを伝える

犬を迎えるときの選択肢は、ペットショップだけではないことを身近な人に伝えていくことも、何かが変わる一歩になるかもしれません。各自治体の動物愛護センターには、命の期限がついた収容犬が新しい家族を待っています。また、民間の動物愛護団体も保護犬の命を繋ぐために里親を探しています。

パピーミルをなくすために個人でできることは小さなことかもしれませんが、悲惨な犬たちの現状から目を背けず、それぞれできることをしていけば、犠牲になる犬たちがいなくなる日が来るのではないでしょうか。

意識を変えることがパピーミルをなくすための第一歩!

パピーミル

パピーミルの悲惨な現状は信じがたいかもしれませんが、目を背けてはならない大きな問題です。海外では生体販売が禁止されている国もありますが、その背景には消費者のペットに対する意識の変化なども大きく影響し法制化に至っています。私たちができることは少ないかもしれませんが、できることを始めるのが解決への第一歩になってくれるはずです。

◎ライタープロフィール
新井 絵美子 動物ライター

新井 絵美子/動物ライター

2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。

  • 公開日:

    2020.02.22

  • 更新日:

    2020.08.14

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