magazine

茶色の毛の犬とグレーと白の毛の猫が寄り添って眠っている
住まい / 生活
鉛筆アイコン

2021.10.08

動物愛護法はどんな法律?今さら聞けない基本や改正の6つのポイント

現在、犬や猫などの動物を家族に迎えている方もそうでない方も、一度は「動物愛護法」という言葉を聞いたことがあると思います。法律はどこかハードルが高い印象もあって、中身をしっかり理解したり、法律を行動指針にしたりするのはなかなか難しいことですよね。
今回はよく耳にはするけれども、あまり知る機会のない「動物愛護法」についてポイントをご紹介していきます。

文:新井 絵美子/動物ライター

動物愛護法とは?正式名称を知っておこう

白と茶色の毛の犬と茶色の毛の犬の前足を持つ飼い主の両手

一般に「動物愛護法」と呼ばれてはいますが、正式な名前は「動物の愛護及び管理に関する法律」と言います。

目的は人と動物の幸せな共生

動物愛護法の大きな目的は、人と動物が互いに幸せに共生できる社会の実現です。そのために、「動物を虐待してはいけません」「動物愛護をしましょう」などというルールが決められています。

また、ただかわいがるだけではなく、正しく飼育管理をすることもこの法律の中で定められています。つまり、私たち飼い主にとっては、とても深く関わりのある法律です。時代のニーズに合わせて改正が行われ現在に至っています。

動物愛護法の対象となる動物

白と茶色の毛の犬と茶色の毛の猫が草むらの中で一緒に遊んでいる

動物愛護法の対象になる動物は、家庭で飼育されている犬や猫などのペットだけではありません。動物園やペットショップなどにいる「展示動物」や、牛や豚、鶏など一般的に家畜と呼ばれる「産業動物」、そして企業や研究所などで使われている「実験動物」なども含まれます。

動物愛護法の改正|押さえておきたい6つのポイント

白と茶色と黒の毛の犬が伏せをしていてその隣に茶色と白の毛の猫が眠っている

2019年6月19日に、「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。施行日は項目によって異なり、およそ1~3年以内となっています。この改正によって、大きく変わった点を抜粋してご紹介します。

【1】子犬販売の日にちの規制

今までは生後50日から子犬や子猫の販売が可能でしたが、改正後は生後57日(8週齢以降)からに変更され、販売可能な日にちが1週間延長されました。この時期は、子犬たちにとっては社会性を築くとても大切な期間です。あまりにも早く親や兄弟から離してしまうことは、その後の成長に影響が出てしまうこともあるので、本改正はそういった観点からも重要と言われています。

8週齢規制をすでに実施しているペットショップも

子犬の販売に関する8週齢規制は、2021年6月までに施行されることになっていますが、一部の大手ペットショップでは 自主規制に踏み切り、8週齢を超えた子犬を販売するようになりました。

このように大手企業が率先して踏み切ったことで風向きが変わり、他の大手ペット販売企業も同様に導入し始めています。

【2】所在不明の犬猫の引き取りの拒否

今までは所有者のわからない犬や猫は、都道府県などが引き取らなければいけないと定められていました。しかし今後は、周辺の生活環境が損なわれる恐れがないと認められる場合などには、引き取りが拒否できるようになります。

この法律がどう影響してくるかは定かではありませんが、むやみやたらに犬猫を捨てる人が減ることを願います。

【3】周辺環境の保全などの措置の拡充

不適切な飼育により多頭崩壊してしまったり、不衛生な環境で周囲に迷惑をかけていたりしている場合などには、都道府県の指導や助言、立ち入り調査などができるようになりました。

また、今までは「多数の動物による場合」以外は勧告などもできませんでしたが、今後は多数飼育でなくても立ち入り調査などができるようになります。

【4】危険動物の規制強化

トラやオオカミ、ニシキヘビなど650種の「特定動物」と呼ばれる危険な動物の愛玩目的の飼養などが禁止されます。また、特定動物の交雑種(=雑種)も規制の対象に加えられることになりました。

【5】罰則の強化

動物をみだりに殺傷した場合の罰則は、今までは懲役2年または罰金200万円だったのが、懲役5年または罰金500万円へと強化されました。また、虐待や遺棄をした場合の罰則も厳しくなり、懲役1年または罰金100万円となります。

なお、「虐待」には殴る、蹴る、熱湯をかけるなどの暴力を加える行為だけでなく、必要な食事や水を与えなかったり、病気や怪我をしているにもかかわらず、適切な治療を受けさせなかったりなどして衰弱させる行為も該当します。

【6】マイクロチップの義務化

マイクロチップの義務化も大きな変更点の1つです。最近ではマイクロチップを装着している犬や猫も増えてきましたが、今後はマイクロチップの装着が義務化されます。とはいっても、その対象者はペットショップやブリーダーなど、「第1種動物取扱業者」と呼ばれる生態販売者に限ります。

飼い主に義務はないの?

今回の法改正では、私たち飼い主には愛犬へのマイクロチップ装着義務は課せられていません。しかし「努力義務」といって、できるだけ装着させる努力をしてください、と求められています。

マイクロチップの装着は、首の後ろにとても小さい円筒形のものを注射器のような器具で挿入するだけで完了します。動物たちにはそれほど痛みもなく一瞬でできる処置です。

愛犬が迷子になってしまったときや災害時には、マイクロチップが飼い主さんと愛犬とをつなぐ命綱にもなります。実際、2016年に起きた熊本地震では、マイクロチップを装着していたおかげで、飼い主の元へ戻ることができた犬も多くいます。
この機会にマイクロチップの装着を検討してみてはいかがでしょうか。

動物愛護法を知ることから始めよう

茶色の毛の犬の首元でマイクロチップを読み取っている

動物愛護法は改正されましたが、ペット先進国と呼ばれるヨーロッパの国々と比べると、残念ながら日本の法律はまだまだ発展途上と言わざるを得ません。国民全体の意識を高めるために、まずは愛犬家である私たちが動物愛護法をよく知り、周りの方へ周知していくことから始めてみませんか?

参考文献
  • 公開日:

    2020.02.28

  • 更新日:

    2021.10.08

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • 新井 絵美子
  • 動物ライター
  • 2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。 過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。