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犬の生態 / 気持ち

2020.02.27

狩猟本能とは?動物の狩猟本能を理解すれば愛犬のことがもっと分かるかも

世界にはたくさんの犬種がいます。その数は、公認・未公認含めて700〜800犬種とも言われています。その中で、狩猟犬の占める割合は半数以上であることをご存知ですか?現在では、家庭犬として暮らしている犬も、その昔は立派な狩猟犬として、人間とともに仕事をしていた犬種がたくさんいるのです。そんな狩猟犬の本能や歴史を知ると、愛犬の行動が理解できるかもしれません。今回は、狩猟犬の持つ本能とはどんなものなのか、また狩猟本能を満たすためにはどうすればいいのかについてご紹介します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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狩猟本能とは

狩猟本能

狩猟本能とは、獲物を追いかけ捕まえようとする動物が持つ捕食行動のことを指します。太古の昔より人間の狩猟パートナーとして暮らしてきた犬たちの多くは、人間が効率よく猟をするために、狩猟本能を引き出し、また改良し育種されてきた犬種です。そんな狩猟犬の狩猟本能は一言では言い表せないほど多彩です。クマなどの大型動物に向き合う犬からネズミなどの小型動物を狩る犬まで、犬種によってその狩猟本能は異なった形で現れていきます。

どんなにしつけをされていても狩猟本能のスイッチが入るときがある

最近では、犬は家族の一員として、人間社会や社会環境に対するルールやマナーを教え社会化をさせた上で、飼育することが推奨されています。そのため、しつけ教室に通う犬も多くいます。しかし、どんなにしつけが入った犬でも、一瞬にして狩猟本能のスイッチが入ってしまうことがあります。

■“獲物”によって狩猟本能が湧き立つ

例えば、小型動物を仕留める使役を持ったジャックラッセル・テリアにとって、ハムスターやモルモットを目の間に出すことは「獲物」を差し出しているようなもの。何が起きてもおかしくありません。また、大型犬と小型犬が同じエリアのドッグランでは、目の前を走り去る小型犬を獲物として見てしまい、狩猟行動に出てしまう大型犬もいるのです。

■コントロールできないから注意

ドッグランでの事故は、犬の狩猟本能によって起こることが多いのも事実。残念ながら、狩猟本能は古来より犬が脈々と受け継いできた動物としての本能。本能は、自分の意思ではコントロールできません。おとなしく優しい性格でしつけが入っている犬だからといっても、犬としての狩猟本能は立派に受け継いでいるのですから、常に注意しておく必要があるのです。

狩猟本能による行動はさまざま

狩猟本能による行動は、その犬種によっても異なりますが、基本的には自らの捕食のために培われてきた能力です。代表的な狩猟本能による行動としては、追いかけて獲物を捕まえる、獲物を振り回して息の根を止める、匂いで獲物を探す、獲物にそっと近づき行動を止めるなど。愛犬が遊びの中でそのような行動をとる場面を目撃した方も多いのではないでしょうか?

狩猟本能を持っている犬種とは

狩猟本能

FCI(国際畜犬連盟)の分類では、10グループある犬の種類のうち、7グループが猟犬種となっていることから見ても、世界には多様な狩猟本能を持つ犬が多くいることが分かります。まずは、どのような狩猟本能を持つ犬種がいるのかFCIの分類に基づいて犬種グループ別に見ていきましょう。

粘り強い小動物ハンターのテリア種

狩猟本能

ネズミ捕りの犬として知られているテリア種。日本で人気のあるジャックラッセル・テリアやワイヤーフォックス・テリアに代表されるテリア種の特徴は、地面を掘る能力に優れていること。ネズミをはじめ、アナグマやキツネを見つけ出し仕留めることを使役としてきたテリア種は、狩猟本能の高い犬として知られています。

穴ぐらに潜るのが得意なダックスフンド種

狩猟本能

アナグマ狩りの犬として育種されたダックスフンドですが、さらに小さい巣穴へ潜り込めるようにと短い足と長い胴のミニチュアダックスフンドが生まれました。大きさに関係なく、巣穴に潜り込み、獲物を見つけると、吠えてハンターに知らせ、仕留めるために噛みつくなどの狩猟本能が高い犬種として知られています。

ハンターに忠実でタフな日本犬

狩猟本能

天然記念物にも指定されている日本犬は、品種改良などが認められていないため、古来より培ってきた狩猟本能を色濃く残しています。鋭い五感・高い運動能力・静かな足音・執着心などの猟犬としての資質を持つ日本犬は、野鳥から大型動物であるイノシシまでを相手に勇敢に戦ってきました。家庭犬となった今でも、狩猟本能を垣間見せることが多く、そのことが噛み癖・よく吠える・攻撃性が高いなどの問題行動として捉えられていることがあります。

嗅覚が鋭いセントハウンド種

狩猟本能

獲物の匂いを追跡することが得意なセントハウンドは、イノシシやシカなどの大型動物を主なターゲットにしています。現代の日本でもその優れた嗅覚を生かして実猟で活躍しています。愛玩犬として人気のダックスフンド、ビーグルがその代表で、動物の匂いをどこまでも追跡し続けられる強い執着心とその場に獲物を留めておくための勇気と自分より大きな動物にも噛みつくことができる強いアゴを持っています。独立心が強く、マイペースで自立心もあるセントハウンドは、よく吠えることも特徴です。しつけが難しいと言われるのも、狩猟本能の高さからと言えるのかもしれません。

鳥専門の猟犬が鳥猟犬種

狩猟本能

バードドッグ・ガンドッグとも呼ばれている鳥猟犬の代表は、世界中で人気のあるラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバー。撃ち落とした鳥を優しく咥えて回収してくることが役割のレトリバーは、他の猟犬種と比べて、攻撃性といった狩猟本能がないことも特徴です。強いて言うならば、レトリバーの狩猟本能は、ハンターとの協調性、人間が大好きなところ。猟犬種の中で最も平和主義な犬種とも言えるのです。

また、レトリバーの他にも鳥猟犬には、ここに鳥がいると足を上げて教えるポインティングドッグ、鳥を驚かせて飛び立たせるフラッシングドッグ、水鳥を得意とするウオータードッグがいます。ポインティングドッグの代表は、ポインター、セッター種、フラッシングドッグはイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルが有名です。ウォータードッグは、レトリバーと同じ回収の役割を持っている犬種で、プードルやアイリッシュ・ウオーター・スパニエルがその代表です。

視力と俊足が特徴のサイトハウンド種

狩猟本能

セントハウンド種が嗅覚で猟を行うのに対し、視覚で獲物を見つけることが得意な犬種がサイトハウンドです。最も古い猟犬種のサイトハウンドの代表はグレーハウンド、サルーキ。猟銃のない時代から、野ウサギや鹿猟を行っていた古代の人々にとって、目でとらえその俊足で獲物を追い詰め捕まえるサイトハウンド種は、最良のパートナーだったのです。特に、サルーキは3km近い距離を時速60~70kmのスピードを維持して走れるだけの能力が特徴です。これだけの狩猟能力を備えた猟犬種は、他に類を見ないと言われるほど有能な犬種がサイトハウンド種なのです。

狩猟犬の歴史とは

狩猟本能

古代より人間のパートナーとして暮らしてきた犬たち。それは、現代のような家庭犬としてではなく、人間が生活していくための狩猟のパートナーとして、でした。狩猟犬の素晴らしさは、犬自身の捕食行動としての狩りではなく人間のために狩りを行えるところ。猟銃のない時代から、人間の生活に欠かせない動物性たんぱく質を得るために犬を飼い、人々は有能な狩猟犬とするべく育て上げてきました。そのため、狩猟犬にはDNAに深く刻まれた狩猟本能が強く残っているんですね。

犬の狩猟本能を満たすために飼い主ができること

狩猟本能

狩猟犬が持つ狩猟本能には、その役割によってさまざまな特徴がありますが、どの犬種にも言えることは飼い主(ハンター)に忠実であること。そして、素晴らしい運動神経。これらは、すべての狩猟犬が持ち合わせている能力であると言えます。そんな、狩猟犬種の狩猟本能を満たすためには、私たち飼い主はどのようなことをすればいいのでしょうか?

狩猟本能を理解して、狩猟欲を満たしあげることが大切

狩猟犬と暮らしているのであれば、まずは愛犬の持つ狩猟本能を理解することが大切です。例えば、ミニチュアダックスフンドや柴犬の、吠える・噛むは狩猟本能の一つと考えられています。これを、問題行動と捉えるのか、もともと持ち合わせている狩猟本能と理解するのかによって、暮らしのスタイルも変わってきます。

どんな犬種でも持ち合わせている運動能力の高さ

ビーグルやミニチュアダックスフンドは小型犬だから散歩時間は短くていい、そう考えている方も多いようですが、彼らは能力の高い狩猟犬種です。また、テリア種も粘り強く獲物を追い詰めることができる高い狩猟本能を持っている犬種。そんな犬種がストレスを溜めてしまうのが、運動不足です。

例えば、ジャックラッセル・テリアは、一晩でも馬について山を越えられるだけの体力の持ち主。そんな犬が少ない運動量で満足できるはずはありません。狩猟本能は、一種の欲でもあるため、まずは十分な運動の機会を与えてあげることが大切です。

その犬種の狩猟本能に合わせた遊びを考えよう

愛犬にどんな狩猟本能があるのか、その欲求に合わせた遊びを考え出すのも飼い主の役目。撃ち落とした鳥を回収してくるレトリバーなら、「モッテコイ」ができるボールやフリスビーで遊ぶことが適しています。また、噛みたいという狩猟本能を持つ犬種には、その欲求を満たしてあげるために、噛んでもいいおもちゃを与えて、時間を区切って遊ばせてることも一つの方法です。嗅覚に優れた犬種には、ノーズワークなど匂いを探すゲームも有効です。

狩猟犬は飼い主とのパートナーシップを大切にする

狩猟犬はハンターの指示で仕事をすることを信条としています。そのため、飼い主がしっかりとしたリーダーシプをとり、仕事を与えてあげることで狩猟本能を満たすことができます。家庭犬となった狩猟犬たちでも、その狩猟本能はDNAに刻まれているのです。ドッグスポーツやゲームなど飼い主が一緒に何かをしてあげることが、狩猟本能を満たすために飼い主にできる最も大切なことだと言えます。

犬種の魅力を知るためには狩猟本能を活かしてあげて

狩猟本能

チワワやパピヨンなどの愛玩犬種と違い、狩猟犬種には持って生まれた才能でもある狩猟本能が備わっています。この狩猟本能は、時には問題行動となって現れます。特に、ストレスの多い生活やリーダー不在の環境では、問題行動となりがちです。テレビや映画に出ていて可愛いから、人気があるからなどの理由だけで犬を迎えるのではなく、その犬種の持つ狩猟本能をしっかりと理解し、その犬種が暮らしやすい環境を整えられるか、能力を生かした生活ができるかなどを考慮した上で狩猟犬種を迎えることがおすすめです。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

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