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健康管理 / 病気

2020.02.15

【獣医師監修】膿皮症って何?気になる愛犬の皮膚トラブルを学ぶ

犬が後ろ足で身体を掻いていたり、いつの間にか湿疹やニキビのような跡を見たことはありますか?それは、もしかしたら、犬の皮膚トラブルの原因「膿皮症(のうひしょう)」かもしれません。日本の梅雨から夏にかけては高温多湿でジメジメとしており、身体が体毛で覆われている犬にとっては皮膚トラブルを起こしやすい季節と言えます。今回は犬の「膿皮症」という病気について、症状や診断方法・治療法などを獣医師監修のもと解説していきます。

#Healthcare

Author :docdog編集部(監修:相澤 啓介/あさか台動物病院 獣医師)

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犬の「膿皮症」ってどんな病気?

犬 膿皮症

膿皮症は、皮膚の細菌感染により生じる炎症性疾患であり、主な原因菌はStaphylococcus pseudintermediusをはじめとする、いわゆるブドウ球菌です。ブドウ球菌は健康な犬の皮膚に普通に存在する常在菌です。犬の皮膚の環境が何かしらの原因で悪くなり、普段は悪さをしないブドウ球菌が悪さをするようになって病気になったものが膿皮症と言われます。

どんな症状が出る?

どこに病変があるか、感染している部位などにより様々な症状が認められます。膿皮症は一番表面の皮膚である表皮や毛穴である毛包に病変が出ます。

頭を除く全身(主に背中やお腹)で丘疹と呼ばれるブツブツ、膿痂皮と呼ばれる膿のカサブタが認められます。

また、膿の袋である膿胞や膿胞が破けた後の皮が残っている状態の表皮小環、痂皮などを伴う皮膚の発赤が生じます。毛包主体の病変では膿痂皮を伴う脱毛や、毛包に一致している丘疹が認められることが多いです。

膿皮症の診断方法は?

膿皮症は先に述べた皮膚に出来た病変の様子で診断します。また補助的な検査としてスライドガラスを押し当てて、顕微鏡でブドウ球菌を確認します。

最終的には治療に対する反応を見ていきますが、全身性抗菌薬による治療を実施して、治療の効果があれば最終的に膿皮症であったと判断できます。

最近はメチシリン耐性ブドウ球菌という薬剤耐性菌による膿皮症に遭遇する機会も多くなっています。再発例や全身性抗菌薬による治療効果が乏しい症例に対しては、細菌培養検査および薬剤感受性試験を実施していきます。

また、膿皮症は常在菌による細菌感染症であることから再発例の場合には、背景に隠れている病気としてマラセチア性皮膚炎やニキビダニ症などといった感染症、アレルギー性皮膚炎、甲状腺機能低下症やクッシング症候群といった内分泌疾患などを考慮した上で検査を実施します。

「膿皮症」に犬が罹った場合の治療法とは

犬 膿皮症

実際に愛犬が膿皮症に罹ってしまったらどのように治療していけばいいのでしょうか?

治療方法は投薬がメイン

治療方法としては全身性抗菌薬の投与がメインになってきます。抗菌薬には様々な種類のものがありますが、第一選択薬としてβラクタム系抗菌薬のセファレキシンやクラブラン酸カリウム・アモキシシリンなどを投与します。

また内服が難しい場合には、注射薬として一度打つとその後に、2週間程度効果が持続するセフォベジンナトリウムを使用することもあります。抗菌薬の投与期間は少し長く、内服の場合では3週間または皮膚の病変が消失してから1週間程度で、セフォベジンナトリウムの注射の場合は、2週間毎に2回投与をします。

自宅のケアは薬用シャンプーで

自宅でのケアとしては、薬用シャンプーを使用してみるのが良いかもしれません。クロルヘキシジン製剤によるシャンプー療法が膿皮症に対しては適切です。洗浄することにより痒みなどの症状が軽快することもあることから、治療当初は頻繁に実施して頂くことが多くのケースで見られます。ただしシャンプーには様々な種類があり、また皮膚の状況に応じて薬用シャンプーは使い分ける必要があるため、シャンプー療法を実施する場合は必ず動物病院で相談するようにしましょう。

また先にも述べた通り、膿皮症は背景に隠れている病気でも悪化する可能性があります。こちらも定期的に動物病院で健康診断を受けて、もし膿皮症を悪化させるような病気があれば、それらの治療を行うことで皮膚の管理も行いやすくなります。

かかりやすい犬種はいる?

膿皮症は治療すると良くなることが多い疾患です。ただし背景に他の皮膚疾患や内分泌疾患が考えられる場合、また犬種固有の皮膚機能(シーズーなどの脂っぽい皮膚)や季節によっては再発を繰り返すことが多いので注意が必要です。

どんな生活を心がげるべき?

上述したように膿皮症は皮膚の環境が悪くなることにより、普段は悪さをしない常在菌が悪さをするようになった病気です。そこでスキンケアは予防として重要な要素となります。気温や湿度が高くなる時期には、特に長毛種の犬種ではトリミングサロンに行き、毛を短めにしてみると通気性が良くなり、飼い主さんも管理がしやすくなります。

また室内飼育の場合は適宜換気やエアコンの除湿を使用するなどの管理をすると良いでしょう。人間が過ごしやすい環境であれば、悪くないと思います。ただし、エアコンの風が直に犬の身体に当たると、皮膚が乾燥しすぎたり、冷えすぎたりと逆効果になってしまう可能性があるため、注意が必要となります。

治療すれば良くなる膿皮症だけど愛犬は辛い

犬 膿皮症

犬の膿皮症は動物病院で見ることの多い疾患の一つです。特に繰り返して膿皮症になってしまうコも多く、皮膚の環境や背景に隠れている病気が原因であることが多くなります。日頃から愛犬の様子を観察して、皮膚ケアを意識してあげてくださいね。

◎監修者プロフィール

相澤 啓介/あさか台動物病院 獣医師

1988年生まれ。日本大学/生物資源科学部獣医学科公衆衛生学研究室を卒業し、その後、あさか台動物病院で勤務。一般外来のほか、循環器の分野に専門的に携わっています。獣医師という立場から、大切なワンちゃんの健康をサポートするために、正しく分かりやすい情報を伝えたいと思っています。

【 主な所属学会・研究会・団体 】
埼玉県獣医師会、日本動物病院協会、日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会

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