magazine

健康管理 / 病気

2020.02.05

犬もインフルエンザにかかることがある?その症状と対策について解説

インフルエンザといえば人間特有の病気だと思いがちですが、犬も罹患することはあるのでしょうか?
また、人から犬へインフルエンザがうつることはあるのでしょうか?そういったことも含めて犬のインフルエンザを考えていきたいと思います。

#Healthcare

Author :明石則実/動物ライター(監修:阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師)

この記事をシェアする

インフルエンザが人から移ることはある?

インフルエンザ 犬

人間のインフルエンザはA~D型に分類され、毎年何らかの形で流行するものですが、人間のインフルエンザが犬へうつることがあるのでしょうか。

人間のインフルエンザはうつるが、犬はほとんど発症しない

過去に人間のインフルエンザが犬にうつって感染したという報告例は1970年代からありますが、人間のように集団感染やパンデミックを引き起こしたということはないそうです。しかしアメリカではインフルエンザから肺炎に移行したという例があります。

また日本でも確かに犬の感染例は報告されているものの、実際にインフルエンザ特有の高熱や咳などの具体的な症例はなく、人間のインフルエンザが犬に感染する可能性はあるが、ほとんど発症しないという見解が一般的です。

インフルエンザを犬が媒介することもある

犬の場合、人間のインフルエンザを発症することはないものの、感染する可能性は否定できません。
言い換えれば、犬が感染したまま気付かずに人間と接触すれば、ウィルスの運び屋になるということなのです。

インフルエンザが大流行している時に、うがいや手洗いなどきちんとしていても、逆に犬からうつってしまう可能性も否定できないため、やはり予防接種などの対策は必要でしょう。

犬のインフルエンザとは?

インフルエンザ 犬

人間のインフルエンザがあるように、実は犬にも犬インフルエンザというものがあります。それは果たしてどんな症状を引き起こすのか?詳しく解説していきましょう。

近年になって発見された犬インフルエンザウィルス

2004年、アメリカフロリダ州のドッグレース場で犬インフルエンザの発症例が初めて報告されました。
感染した22頭のうち8頭が亡くなったとのことで大きな話題になりました。

ウィルスを解析したところ、鳥インフルエンザの亜種というべきもので、その後全米各地で犬インフルエンザは拡大していったのです。またタイでも同時期にアヒルを食べた犬が罹患し、死亡したことが報告されています。
ちなみに日本での発症例はなく、インフルエンザウィルスの侵入は確認されていません。

犬インフルエンザの症状とは?

犬種や年齢に関わらず感染する可能性はあります。症状としてはウィルスが気道で増殖するため、急性の呼吸器症状が現れますが、その症状は比較的軽く、合併症がなければ2~3週間以内に回復します。
咳を中心に鼻水、くしゃみ、発熱、倦怠、抑うつ食欲不振などを伴います。臨床的には「ケンネルコフ(ウィルス性呼吸器疾患)」と区別がつかないそうです。

インフルエンザに罹患するだけでは重い症状にはなりませんが、免疫力が低下することによる細菌の二次感染や、下部気道へのウイルス増殖に伴って症状は重篤化する可能性があります。また、40℃以上の高熱や呼吸不全を伴う肺炎を発症する場合もあります。

犬インフルエンザの対策・予防法について

インフルエンザ 犬

日本でまだ犬インフルエンザの発症例がないとはいえ、もしかしたらすでに感染している犬がいるかも知れませんし、2018年には中国で新型犬インフルエンザが発見されたという論文も発表されています。
感染を予防するためには何をすれば良いのか?対策や予防法を考えていきましょう。

犬インフルエンザのワクチンは開発されていない

犬インフルエンザのワクチンはありません。実際の治療法としては対症療法や栄養管理に頼る他なく、それ以外の有効な治療法としては以下の方法があります。

細菌の二次感染を防ぐ

犬インフルエンザじたいは重篤な症状を引き起こすことはありませんが、免疫力低下に伴う細菌の二次感染こそ注意するべきでしょう。
もし細菌感染が疑われる場合は、適正な抗菌薬や抗生物質を投与することが肝要です。

高熱対策もしっかりと

妊娠している場合や、基礎疾患、免疫不全などの有無なども考慮する必要はありますが、高熱や炎症症状が見られる場合には、非ステロイド系の抗炎症薬を投与します。また脱水症状には点滴で対処することがあります。
くれぐれも人間用の抗インフルエンザ薬(タミフルなど)は投与しないようにして下さい。

犬インフルエンザを予防するために

既述しましたが、ワクチンが開発されていない以上は予防接種もできません。そのため消毒と感染犬の隔離が最も重要となります。

万が一、日本で犬インフルエンザの流行が確認されたら、ドッグランなど他の犬と接触するような場所へ行くのは極力避けること、また感染犬と接触した飼い主さんは、他の犬に感染を伝播させないように最大限の努力を払うことが大切です。

インフルエンザウィルスは、消毒薬や洗剤で容易に不活化されるため、ウィルスが付着した可能性のある場所やケージ、容器やリネンなどの確実な消毒が重要となります。

対策と予防をしっかりとしてウィルスの侵入を防ぐことが大切

インフルエンザ 犬

近年、犬インフルエンザ対策のためにワクチンが実用化されたという情報も流れましたが、日本で使用できるかどうかはまだわかりません。
ですから、有効な予防法が確立されるまでは、飼い主さん自身がしっかりと対策と予防を心掛ける必要があると言えるでしょう。

(参考文献)
※犬インフルエンザ(公益社団法人 日本獣医師会)
※犬及び猫のインフルエンザ(日本獣医師会)

◎監修者プロフィール
阿片 俊介

阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師

茨城県出身。日本獣医生命科学大学を卒業し、認定動物看護師の資格を取得。 千葉県の動物病院に勤務後、動物用医薬品販売代理店にて動物病院への営業を経験。 犬とのより良い暮らしをサポートできるよう、飼い主の方の気持ちに寄り添いながら、安心して正しい情報をお伝えできるよう心がけています。

◎ライタープロフィール
明石則実 動物ライター

明石則実/動物ライター

フリーライターとして動物関連や歴史系記事の執筆を多数おこなう。柴犬と暮らす傍ら、趣味の旅行や城めぐりで愛犬と駆け回る週末。
愛犬家の皆さんにとって、お悩みを解決したり、有益な情報を発信することを心掛けています。

  • 更新日:

    2020.02.05

この記事をシェアする