
長い被毛でフサフサもふもふな犬種とは対照的に、アメリカンピットブルテリアの被毛は、まるで生えてないかのように思えるほど短くまるでビロードのような被毛で覆われていることが特徴です。だからこそ、美しく光沢のある筋肉質の体が存在感を示しているとも言えます。
アメリカンピットブルテリアのコートタイプはスムースです。毛質は太くて短いですが、触感は滑らかでビロードのような肌触りです。この肌触りのよさに加え、ブラッシングによってより美しく輝く光沢もこの犬種の魅力のひとつと言えます。
一見するとシングルコートにも見えるアメリカンピットブルテリアですが、保温性の高いアンダーコートと体を守るオーバーコートの2層構造のダブルコートです。一説ではシングルコートのアメリカンピットブルテリアも存在するようですが、一般的にはダブルコートがスタンダードとされています。
アメリカンピットブルテリアの代表的なカラーは、ブラック、ホワイト、グレー、黄褐色、茶色ですが、レッド、ブルーなどのさまざまな毛色が存在します。単色だけではなくブラック&ホワイト、ブラック&グレー、ブラック&茶などの2カラーも多く、中にはトライカラーのパターンもあります。また、虎ほど鮮やかではありませんが、同じようなストライプが入ったパターン柄のブリンドルのアメリカンピットブルテリアもよく見られます。
短毛なアメリカンピットブルテリアは、お手入れに手間がかからないことも特徴です。頻繁にシャンプーするというよりも、ブラッシングを基本とした最小限のお手入れで十分であるため、家庭でのケアがメインとなります。
水遊びをしたり山登りをしたあとなど、汚れが目立つときにはシャンプーが必要となりますが、アメリカンピットブルテリアは肌が弱いため、こまめにシャンプーをする必要はありません。また、シャンプーをしすぎることで、皮膚を守るための油分が落ちてしまうので、洗い過ぎには注意しましょう。
短毛のアメリカンピットブルテリアのブラッシングは、週に1回程度行うだけで大丈夫です。使用するブラシは柔らかいものではなく、スリッカーブラシなどの硬めの方が適しています。ブラッシングをした後に、軽くタオルなどで拭くと被毛の輝きが維持できます。
短毛のため被毛のカット不要のアメリカンピットブルテリアは、日常的なブラッシングと必要に応じたシャンプー、そして同時に皮膚などのチェックを家庭で行なっていれば、無理してトリミングサロンにお願いする必要はありません。手間いらずな面もアメリカンピットブルテリアの特徴の一つとされています。
トリミングサロンではカットだけでなく、シャンプーに加え爪切りや耳掃除、肛門腺絞りなどを基本メニューとして設定しています。アメリカンピットブルテリアはトリミング犬種ではないため、基本メニューの利用がおすすめです。特に、爪切りや肛門線絞りなどが家庭でできない時は、定期的に利用することがおすすめです。
カットの必要がないアメリカンピットブルテリアの場合、シャンプー(&ブロー)をメインにしているトリミングサロンが多くあります。料金は体重によって決められていますが、アメリカンピットブルテリアは中型犬の料金が適用されていて、4,000~6,500円程度です。カットや爪切りなどはオプション対応または、基本セットメニューとなり、8,000円~となっています。
短毛でお手入れが楽なアメリカンピットブルテリアは、抜け毛が少ないと思われがちですが、ダブルコートのため実は意外と抜け毛が多く出ます。特に、換毛期には一段と抜け毛が増えますが、日常でも短く太い抜け毛が衣類に付着したり、ときには繊維のなかにまで入って、チクチクと肌を刺激することもあります。
アメリカンピットブルテリアの抜け毛対策に有効なのが、毎日のブラッシングです。また、抜け毛となっているアンダーコートをとりのぞいていないと、毛穴が詰まってしまい、全体的にざらつき感が生まれてしまいます。そうなってしまうとアメリカンピットブルテリアの魅力であるスムースな手触りや光沢が損なわれてしまうのです。
お手入れには目の細かいコームやゴム製のミットなどを使い、日常的に抜け毛を取り除いてあげましょう。また、洋服を着せることも有効です。アメリカンピットブルテリアは寒さに弱く、皮膚も薄いので、抜け毛対策だけでなく防寒対策、安全対策にもなるのでおすすめです。
アメリカンピットブルテリアは、抜け毛対策は必要ですが、ダブルコートにも関わらず長毛種に比べると、格段に被毛のメンテナンスが楽な犬種です。
また、太く短いながらも光り輝くつや、ビロードのような滑らかでスムースな肌触りは、アメリカンピットブルテリアの隠れた大きな魅力と言えます。ぜひ、こまめなケアをして美しい被毛をキープしてあげてくださいね。
西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士
ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。
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