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2020.02.28

連載|シニアの愛チワワ|vol.15

君がそこにいる幸せ。犬を手放していい理由はあるのか

愛犬から犬の素晴らしさを教えてもらった私が、実際に犬を手放したいという飼い主さまと出会ったときの体験や、手放さなければならなくなった飼い主さまのお話などをまとめました。愛犬との生活に少しストレスを感じたときや、悩みを誰にも相談できず、愛犬を手放したいと思っている方にも読んでいただけたら幸いです。愛犬を手放していい理由はあるのか。皆さまはどう思われますか?

#シニアの愛チワワ

Author :只野 アキ/ドッグライター

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犬を手放したくなるとき

ドッグトレーニングをしていると、トレーニングだけでなく飼い主さまのお悩みを聞くことがとても多くあります。飼い主さまに相談をされた「愛犬を手放したくなるとき」のお話をしたいと思います。

先代の犬が心にいるAさん

愛犬を手放そうと思う瞬間は、様々です。ひとつめは、先代の犬が老衰で他界し、同犬種の子犬を迎えたAさんのお話です。

「只野さん。もうこの子を手放したいのですが」そうAさんから相談をされました。 トレーニングをしていて、うすうす気づいていたのですが、Aさんの中では、まだ先代の犬が生きていました。そのため、新しく家族に迎えた同犬種の子犬が愛せないのです。

老衰で愛犬を失くしているAさんにしてみたら、同犬種なのになぜこんなにも違うのか?という疑問を持たれていました。やんちゃ盛りの子犬と、おっとりとした老犬ではもちろん違います。そのように冷静に考えると老犬と子犬では大きな違いがわかるのですが、毎日やんちゃな子犬を見ていると徐々に心に余裕がなくなり、冷静な判断ができなくなるのだと思います。

しつけがうまくいかず疲れてしまったBさん

次に、子犬を家族に迎え、排泄をところかまわずしてしまう子犬に困り果て、疲れ切ってしまったBさんのお話です。

「なんど教えても、この子は分かってくれません、実は顔も見たくないくらい疲れてしまっています。」このようにお話をしてくださいました。Bさんはとても真面目な方だったので、顔も見たくないと思っている自分の所で、この犬が幸せになれるとは思えないと判断し、手放したいとおっしゃいました。

Bさんのケースは、トレーニング本などで独学をされ、一生懸命にしつけをしてもうまくいかず、誰にも相談ができずに、心もからだも疲れきってしまったことが、愛犬を手放したくなる原因になってしまったのだと思っています。

お伝えしたことと、今のAさんとBさん

Bさんには、適切なトイレトレーニング方法と、犬がどういう生き物なのかをお伝えしました。Bさんは前向きに愛犬と向き合ってくださり、今では、Bさんにとって愛犬は、かけがえのない存在になったそうです。

Aさんの場合はとても難しく、先代の犬と、今いる犬の違いを分かっていただくしかありません。しつけでコントロールをしながら、今いる犬の方に目が向くようにしました。ペットロスを抱えながら、同犬種の子犬を迎えているため、気持ちの浮き沈みはもちろんありましたが、Aさんも愛犬を見つめなおし、家族として大切にすると話してくださいました。

このように気持ちが追い詰められ、ひとりで悩みを抱えてしまうと「手放したい」と思ってしまうのです。それは悲しい事ですが、実際はどんな人にでも起こり得ることだと思っています。

愛犬を手放さなければならないとき

人生にはいろいろな転機があります。結婚、子どもが産まれる、仕事で転勤をする、病気になるなど、嬉しいこともそうでないことも様々です。

実際にあった話

実際に犬を手放すことになった飼い主さまのお話をご紹介します。

ご主人にとても愛され、なついていた犬がいました。ある日、ご主人に病気が見つかり、その後ご主人は他界されました。残された犬を家族でどうするか考えた結果、そのご家庭の事情もあり、譲渡という選択肢を選ばれました。

新しい家族が迎えに来たとき、その犬は、車に乗ることに抵抗をしていたのですが、何かを悟ったように急におとなしくなり、車に乗って新しい家に向かって行きました。

それを見ていて、亡くなったご主人のことは忘れられないだろうけど、今まで以上に幸せになって欲しいと、願わずにいられませんでした。

このように予期せぬ出来事は誰にでも起こります。そのとき、愛犬をどう守ることができるのか?が大切なのだと思いました。

幸せをつかめる犬と、そうでないコ

先ほどお話をしたご主人のように、病気などで、愛犬と暮らせなくなる可能性はゼロではありません。そのようなとき、愛犬が不幸にならない選択を必ずするべきだと、強く思います。

私の愛犬のように、病気を持ち、歳を重ねている犬が、愛護団体などに持ち込まれても幸せになる可能性はとても低いと思います。やはり犬を迎えたら最後までその命に責任を持つことはとても大切なのではないでしょうか?

殺処分が減っている反面、犬を手放す人も

東京都では平成28年から犬の殺処分はゼロと発表されています。(東京都公式ホームページより) ですが、全国の保健所では、平成30年に飼い主から犬を引き取った数は3,726頭と環境省自然環境局の公式ホームページで公開されています。

今は愛護団体や保護を積極的にされている方が増えているため、殺処分は減っています。ですがその反面、犬を手放している人が今でもいるということです。

犬を迎えたら、最後までその命を守ること、犬を迎える前に必ず最後まで愛犬と暮らせるか考えること、何かあったときに犬が不幸にならない準備をしておくなど、これらがとても大切になるのではないでしょうか。手放された犬たちは、どの子も幸せになれるとは限らないのです。

犬を手放していい理由

私の個人的な所論ですが、犬を手放していい理由はないと思っています。そのくらいの気持ちで犬を迎えて欲しいと心から願っています。

犬が家族になる素晴らしさを、愛犬が教えてくれました。愛犬がひとり、道端で路頭に迷っている姿を想像するだけで、震えるくらい切なく悲しい気持ちになります。

人に寄り添い、癒し、笑顔をくれる犬たちを不幸にしたくありません。犬はぬいぐるみではなく、私たちと変わりのない尊い命です。

もし、身近に犬を手放したいと思っている方がいたら、相談に乗ってあげてください。愛犬家の皆さまなら、ネガティブな気持ちを前向きな気持ちに変えられるはずです。私たちの小さな1歩が犬を手放さない飼い主を増やす、大きな1歩になると思っています。

◎ライタープロフィール
只野 アキ ドッグライター

只野 アキ/ドッグライター

犬の素晴らしさを皆様にお伝えし、犬を手放さない社会の実現を目指すドッグライターです。
家庭犬ドッグトレーナーとして、トレーニングやイベント運営を経験。愛犬の病気をきっかけにトレーナー業は休止し、現在はドッグライターとして活躍中。
趣味は犬とたわむれること。愛犬との生活が豊かになる情報や、皆様のこころがほんのりと温かくなるような記事をお届けします。

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