犬に教える基本的な動作のひとつである「フセ」。なぜ教えるべきなのか理由を知っているでしょうか?フセは犬へのメリットも大きく、人間社会でお利口にストレス無く過ごすために重要なしつけになります。
フセをすることで、トラブルや問題行動の予防に繋がります。オスワリの状態から立ち上がる時は、ワンアクションでさっと立てますが、お腹が床についた状態のフセではそうはいきません。立ち上がって動き出すまでに、時間がかかるために、フセは突発的な動きを未然に防いで抑制することができるのです。
犬にとってフセはオスワリよりも楽な姿勢です。体を休めることができる姿勢なので、気持ちも落ち着き、リラックスすることができます。また、興奮状態にある犬にフセをさせることで、心を落ち着かせて、コントロールできます。
ドッグカフェや公園など公共の場所で、少し長い時間落ち着いて待ってもらうには、オスワリよりもフセをさせていたほうが、犬への負担も少なく済ませることができます。
オスワリやオテ・マテなどをスムーズに覚えた犬であってもフセをすることが苦手な犬は意外と多くいます。なぜなのでしょうか?
私たち人間にとって「フセ」という動作は、ただお腹を床や地面につける動作に見えます。
しかし、犬にとっては姿勢を低くしなければならないフセは、服従心を示すボディーランゲージに該当します。まだ、飼い主さんを信頼して良いのか、従うべき相手なのかを見極めている途中であれば、なかなかそのポーズはしてくれません。
しつけでフセをしっかりと覚えさせることは、愛犬との主従関係を築く上でとても重要になるため、時間をかけて信頼できる相手だと理解させるようにしましょう。
左右対称に後ろ脚をしっかりと畳むことができず、横に流れて崩れたフセになっている場合、関節痛などの痛みを感じている可能性があります。
愛犬がきちんとフセができなかったり、フセをすることを嫌がる素ぶりが見られた場合には、関節に痛みを抱えている場合がありますので、その点も注意して見るようにしましょう。また、関節に痛みを抱えている場合は、フセだけでなくオスワリもできないことが多く見られます。俗に言う“女の子座り”のような座り方しかできない場合は、病院で診てもらうことも検討しましょう。
フセを教える場合には、まずオスワリを完璧にマスターしてから教えるようにしましょう。基本的なフセのしつけ方と上手く行かないときのやり方について紹介します。
1.リードを持ち、向かい合ってオスワリをさせる。
2.おやつの匂いをかがせて、おやつを持った手を低い位置に動かし、頭が下がるよう誘導する。
3.フセの姿勢になったらおやつをあげて褒める。
4.できるようになったら伏せる瞬間に「フセ」と声をかける。
上記の工程を覚えられるまで繰り返し教えましょう。
なかなかフセができないからといって、犬の前足を持ち、無理やりフセをさせるのはNGです。犬が自分からフセができるよう上手く誘導することが成功のコツです。繰り返しやっても出来ない場合は、やり方を少し変えてみましょう。
片膝を立てて、脚の下からおやつを見せ、脚の下を犬がくぐらせるような形に誘導します。こうすることで体を低くしないと、通ることができないので自然と愛犬がフセの体制を取ることができます。
フセは、体を低くするため、愛犬にとってはすぐには身動きがとれない動作です。そのため、犬が落ち着いて安心できる空間でトレーニングを行うようにしましょう。
また、トレーニング中に何度も身震いしはじめたら、犬が飽きてしまったサインです。集中力が切れてしまっている状態なので、無理にトレーニングを続けずにしばらく休憩させてあげるようにしましょう。
苦手なフセを克服するのはなかなか難しく時間がかかるかもしれません。犬は飼い主さんの苛立ちや焦りを敏感に感じ取るので、焦らず急がせずに少しずつ覚えてもらうようにしましょう。