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健康管理 / 病気

2020.01.22

マンゴーワームって一体何者?人や犬にも寄生するって本当?

最近ネットの画像検索で話題になっている「マンゴーワーム」。見た目はウジ虫のようで、お世辞にも気持ちが良いものではありません。寄生虫「マンゴーワーム」は、果たして人や犬にも寄生するのでしょうか。その実態や対策について解説します。

#Healthcare

Author :明石則実/動物ライター(監修:阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師)

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マンゴーワームっていったい何者?

マンゴーワーム

マンゴーワームとは、ハエの幼虫のことを指します。見た目がまるで果物のマンゴーのように丸っこいために、その名が付けられたとされています。
まずは、マンゴーワームが何者なのか解説します。

元来はウマに寄生する「ウマバエ」の幼虫

マンゴーワームはウマに寄生するウマバエの幼虫のことで、日本には生息していませんが、アジア大陸や北アメリカ大陸などに分布しています。

そのライフサイクルを解説しましょう。
まず、宿主(ウマ)の足の付け根に卵が産み付けられ、ウマがその部分を舐めます。それによって、口腔内へ卵が移動し口の中でふ化します。

そのまま消化器官を通過し、最終的にフンと一緒に排出されますが、その間に胃や小腸の粘膜を傷つけたり、胃腸粘膜の炎症、胃潰瘍、歯肉炎、疝痛、貧血、胃破裂などを引き起こします。また、それらの炎症などによって寄主は食べ物を食べられなくなり、次第に衰弱してしまいます。

マンゴーワームは犬にも寄生する?

ウマバエは日本に生息していないため、日本で犬に感染することはありません。しかし、ウマバエはヒツジバエ科に分類されるのですが、このヒツジバエ科に属するハエたちは非常に種類が多く、その中には犬に寄生するハエも存在します。

犬の身体に傷がある場合、その傷口に卵を産み付けたり、別の中間主(イエバエや蚊など)に卵を託して犬に寄生することもあります。産み付けられた卵は、ふ化すると幼虫が傷口周辺の生体組織を食い破り、蠅蛆症(ようそしょう)を引き起こします。

皮膚に明らかな異変が見られたり、あまりの痒みに耐えられず鳴き続けることもあります。また、食い破れた組織が腐敗するため、独特の臭いがします。愛犬の皮膚や様子に異変を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

人にも寄生するの?

寄生性のハエにとっては、もちろん人間も宿主になります。同じヒツジバエ科の仲間で、ヒトヒフバエというハエがそれにあたります。

ヒトヒフバエは、蚊などを捕らえて腹部に卵を付着させます。やがて、蚊が吸血しようと人の皮膚に到達すると同時に卵が付着し、ふ化すると皮膚の下に潜り込んで潜伏するのです。

こちらは日本には生息していないハエのため、現時点では被害が広まる可能性は低いでしょう。

もし愛犬がマンゴーワームに寄生されたら

マンゴーワーム

もし、愛犬がハエの卵や幼虫に寄生されてしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。予防と治療の観点から解説していきます。

予防が第一!蚊やハエを寄せ付けないために

まずは、そもそも蚊やハエが近寄ってこないような工夫をすることが大切です。寄生される根本原因を絶つという方法ですね。

予防薬と駆虫薬で寄せ付けない

経口薬を飲ませたり、害虫忌避剤を皮膚に点薬したりすることで、そもそも害虫を寄せ付けないことが重要です。最近の薬剤は、蚊やハエだけでなくノミやダニにも効果を発揮するので、定期的な投薬を検討しましょう。

蚊やハエが発生する場所に行かない

蚊が多く生息する草むらや、他の犬の排泄物が多くある場所へ近づかせないことも方法の一つです。
毎日の散歩コースも、そういった場所を避けるようにした方が良いでしょう。害虫駆除を徹底した、芝生のドッグランなどを積極的に利用するのもおすすめです。

寄生されてしまったら|治療法はあるの?

すでにハエの幼虫に寄生されてしまった場合、動物病院等での診察を何よりも優先してください。
基本的な治療法は、寄生したハエの幼虫を全て除去することです。具体的には、幼虫が隠れる場所をなくす為に広範囲に毛刈りを行い、幼虫を取り除きます。幼虫の完全な除去が難しい場合は、駆虫薬等を併用することもあります。

怖いマンゴーワームや寄生虫|日ごろから愛犬の観察とケアを

マンゴーワーム

マンゴーワームは日本に存在せず寄生もしないことがわかりました。しかし、その他のハエは日本にも普通に存在しており、寄生されてしまうリスクが無いとは言い切れません。寄生されないように日ごろの予防を行うことはもちろん、ちょっとしたケガや高齢犬の床ずれなど、ケガをしていないかどうか飼い主さんが日頃から観察することが大切です。

▼以下の資料を参考に執筆しました。
※公表特許公報(A)_ウマ科のウマバエの幼虫を内部抑制または処置する方法(バイオサイエンスデータサービスセンター)
※わが国のヒトヒフバエ症(国立感染症研究所)

◎ライタープロフィール
明石則実 動物ライター

明石則実/動物ライター

フリーライターとして動物関連や歴史系記事の執筆を多数おこなう。柴犬と暮らす傍ら、趣味の旅行や城めぐりで愛犬と駆け回る週末。
愛犬家の皆さんにとって、お悩みを解決したり、有益な情報を発信することを心掛けています。

◎監修者プロフィール
阿片 俊介

阿片 俊介/クロス動物医療センター 主任動物看護師

茨城県出身。日本獣医生命科学大学を卒業し、認定動物看護師の資格を取得。 千葉県の動物病院に勤務後、動物用医薬品販売代理店にて動物病院への営業を経験。 犬とのより良い暮らしをサポートできるよう、飼い主の方の気持ちに寄り添いながら、安心して正しい情報をお伝えできるよう心がけています。

  • 更新日:

    2020.01.22

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