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茶色の毛の柴犬がマンゴーワームに寄生されてしまい眠っている
健康管理 / 病気
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2021.11.04

マンゴーワームは犬を脅かす寄生虫!人を含む哺乳類も注意が必要

「マンゴーワーム」という寄生虫をご存じですか?マンゴーワームは犬に寄生する寄生虫です。体内に侵入して犬の身体の中を移動していきます。
今回は、犬がマンゴーワームに寄生されたらどうなるか、予防法や治療法について解説します。

監修:加藤 みゆき/獣医師(文:みなみ 愼子/名古屋ECO動物海洋専門学校非常勤講師)

マンゴーワームは恐ろしい寄生虫

白と茶色の毛の犬がマンゴーワームに寄生され後ろ足で体を掻いている

人や犬を含む哺乳類すべてが注意すべきマンゴーワームとは、一体どのような虫なのでしょうか。

マンゴーワームはウマバエの幼虫

マンゴーワームは、ヒツジバエ科の「ウマバエ」の幼虫で、世界中に28属、151種類もの仲間がいます。馬に寄生するためウマバエと呼ばれていますが、フルーツのマンゴーに形が似ていることからマンゴーワームとも呼ばれています。

マンゴーワームのライフサイクル

マンゴーワームは馬の前肢の毛に産卵し、馬が毛づくろいをするために前肢を舐める唾液の温度で卵が孵化し幼虫となります。そして、馬が毛づくろいをするために舐めるときに、口から体内に入ります。

口に入った幼虫は、歯茎に寄生して成長します。その後、胃や腸に移動し寄生を繰り返すというのがライフサイクルです。成虫になるのは馬の体内でなく、糞として体外に出たあとです。成虫になると一度産卵して死にます。

そして、寄生され た馬の体内では、寄生場所が炎症を起こすだけでなく潰瘍ができてしまうことがあります。また、大量のマンゴーワームに寄生されてしまうと、胃が致命的なダメージを受けて、最悪の場合死に至ることもあります。

マンゴーワームの生息地

マンゴーワームが生息するのは熱帯区域です。主な生息地は、南アフリカや中央アメリカですが、東南アジアやアフリカに生息する種類もいます。今のところ、日本国内での生息は確認されていません
しかし今後、気象条件か環境条件が整えば、日本が生息地となる可能性もあります。

国内でも2007年までにおよそ34例の発症が報告されています。いずれも国内で寄生されたのではなく、生息地に渡航した際に寄生されたとのことです。海外への行き来が多い渡航者は注意が必要です。

マンゴーワームに寄生されたらどうなる?

白の毛の犬がマンゴーワームに寄生されぐったりしている

マンゴーワームやその仲間のヒトヒフバエは、人や犬といった哺乳類に寄生します。もし人や犬が寄生されたらどのような症状がでるのでしょうか?

人や犬の体内への侵入経路

ヒトヒフバエは、蚊やダニなどの人や犬を吸血する昆虫に卵を産み付けます。その昆虫が人や犬を吸血するため皮膚に付いた瞬間、体温によって孵化します。

孵化した幼虫は、蚊やダニが吸血するためにあけた穴から体内に侵入します。その他にも傷口がある場合は、そこに卵を産み付けます。その卵が孵化し体内に侵入します。

犬が皮膚を激しく痒がる食欲がない血便や下痢といった症状が見られたら、早めに受診をしましょう。

人や犬の症状

寄生されると強い痒みを感じます。痒みに耐え切れずに眠れず、一日中泣き叫ぶ犬もいるといわれています。人の場合では、痛みや痒み、皮膚が腫れる、発熱などの症状がでます。
また、幼虫から分泌される体液によりアナフィラキシーショックを起こす場合もあります。

マンゴーワームの予防や治療法

クリーム色の毛の犬がマンゴーワームに寄生され飼い主の膝の上に乗っている

マンゴーワームに寄生されないためには予防が肝心です。もしマンゴーワームに寄生されてしまったとしても治療することが可能です。
ここからは、予防方法と治療法についてご紹介します。

寄生されないための予防方法

予防策は薬を飲ませること、蚊やハエが発生しないよう環境を整備することです。蚊の発生源となる水たまりをつくらないことや、雑草を刈り取るというのも有効です。

また、ハエの餌となるものは置かないようにしましょう。ハエは、残飯や虫や獣の死骸も餌とします。ハエが発生していると感じたら、その周辺の掃除を徹底しましょう。

もしも寄生されたら…自分で引き抜かないこと

体内に侵入してしまったマンゴーワームは外科的に摘出するしかありませんが、マンゴーワームにはトゲがあるため、自分で引き抜くことは絶対やめましょう。

無理に引き抜こうとしてもトゲが引っかかり、途中でちぎれてしまいます。犬の場合は動物病院、人の場合は皮膚科や外科を受診しましょう。

マンゴーワームに要注意

ベージュの毛の犬がマンゴーワームに寄生されぐったりとしている

マンゴーワームは、皮膚から侵入し体内を移動します。もし寄生されたら、激しい痒みや痛み、内臓が出血するため血便や下痢を伴います。
幸い日本国内にはまだ生息していませんが、今後、国内に生息しない保証もありません。

まずは、環境を整備し蚊やハエが繁殖しないようにすることが大切です。また、駆虫薬を使用し、万が一に備えるというのも有効な手段といえるでしょう。愛犬がマンゴーワームの被害にあわないよう、しっかりと環境を整えましょう。

参考文献
  • 公開日:

    2020.01.22

  • 更新日:

    2021.11.04

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ライター・専門家プロフィール
  • みなみ 愼子
  • 名古屋ECO動物海洋専門学校非常勤講師、ホリスティックケア・インストラクター
  • 非常勤講師のほか、ペットマッサージやアロマテラピーの教室を開講しており、犬の保護施設でもペットマッサージのボランティア活動を実施中。一緒に暮らしている犬はロットワイラー、フレンチブルドッグ、MIX犬の3頭で、犬との伸びやかな暮らしを楽しみたいと思っています。