まずはセントラル・アジア・シェパード・ドッグが、一体どんな歴史を辿ってきた見ていきましょう。この稀にみる大型犬が、なぜこんなに大きな体になったのかヒントが得られるはずです。
原産地は、名前からも推測しやすいように中央アジア、現在のカザフスタンやアフガニスタンなどカスピ海沿岸地域だと言われています。
その歴史は古く、約4000~6000年前にまで遡るとされていて、古来から羊などの家畜をオオカミから守るガードドッグ(番犬)として活躍してきました。
一説によれば、世界最大級の大きい体を持つチベタン・マスティフとは同系統で、その大きな体で敵を圧倒していたのだと考えられています。
海外ではドッグショーなどでも頻繁に出場し、日本国内ほど希少な犬種というわけでもありません。国際畜犬連盟(FCI)によって2010年から正式なスタンダードが発行されています。
そんなセントラル・アジア・シェパード・ドッグには、どんな特徴があるのか見ていきましょう。
何と言っても、オオカミなどの外敵を圧倒するだけの迫力と体力を持つため、非常に大きな体を持っています。
体高はオスで約65センチ、メスで約60センチ。体重はそれぞれ約50キロ、約40キロとなっており、かなりの大型犬だということがよく分かります。人間の女性並みの体重がありますから、散歩や運動をさせるには相当の体力が必要です。
元来は垂れ耳で、ゴールデンレトリバーのような長い尾を持つ犬種ですが、番犬だった頃の名残のためか、耳を短く切ったり断尾されている子が多いことも特徴です。
ホワイト、ブラック、グレー、ストロー(淡黄色)、ジンジャー(錆色)、グレー・ブラウン、ブリンドル(虎毛)、パイボールドなどの毛色があるとされています。
ちなみにパイボールドというのは、白地に黒などの班がある毛色のことです。
被毛はスムースコートが多いですが、皮膚は弛みぎみで重厚感があります。これも番犬の特徴で、外敵から攻撃を受けても身体に与えるダメージを最小限にするための仕組みです。
次に、セントラル・アジア・シェパード・ドッグの性格を見ていきます。大型犬は優しい性格のイメージがありますが、セントラル・アジア・シェパード・ドッグの場合はどうでしょうか。
同じ大型犬のゴールデンレトリバーやセントバーナードなどとは違って元々は番犬だったこともあり、非常に独立心や防衛本能が強く攻撃的だとされています。
近接種のチベタン・マスティフも同じような性格をしていると言いますから、初心者には不向きと言えるでしょう。
見知らぬ人や動物に対しては警戒心が強いセントラル・アジア・シェパード・ドッグですが、信頼関係で結ばれた飼い主さんに対しては従順そのもの。非常に穏やかな性格で、子供たちなどの家族にも優しく接してくれます。
初心者には不向きとされているセントラル・アジア・シェパード・ドッグですが、育て方やしつけ方に関してはどのような注意点があるのでしょうか。
飼育に関しての悩みがあれば、ネットで調べたり周囲の人たちに聞いたりと色々な手段があります。しかし、この犬種に関してはほぼ情報が皆無だと言っても良いでしょう。何せ、日本国内での飼育頭数は少なく、ネット上でも情報が少ない現状です。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグを飼われている飼い主さんのブログを読むこともできますが、やはり的確なアドバイスを得られる相談相手を探すとなると難しいところでしょう。
体重が40~50キロにもなる大型犬ですし、活発で独立心の強い犬種ですから、日々の散歩であっても相当な体力が必要です。
体力で負けない大人の男性が散歩させることが必須になってこようかと思いますし、室内飼いするにしても広い間取りが必要になります。
しつけに関しても、根気と粘り強さが肝要でしょう。まずは信頼関係を築くことが大切です。そのためには子犬の頃からのリーダーウォークをはじめとした、パピートレーニングをしっかり行うことですね。
普段はなかなかお目にかかることができないセントラル・アジア・シェパード・ドッグですが、まれにドッグショーなどに出場している場合があります。2018年には、東京インターナショナルドッグショーへの出場もあったようなので、比較的大きな会場なら見ることができるかも知れません。生粋の番犬気質で家族想いのセントラル・アジア・シェパード・ドッグは、知識と経験を持った飼い主さんにおすすめの犬種です。